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ライアン・プレスリー


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Ryan Pressly (フルネーム/Thomas Ryan Pressly)

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1988-12-15生|188cm93kg|リリーフ 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 テキサス州ダラス

ドラフト/2007年BOS11巡目(全体354位)指名

メジャーデビュー/2013-4-4
■選手紹介

アストロズが重宝している、スピンレートの高いカーブが懐刀の救援投手。ルール5ドラフトで入団したツインズでリリーバーとしてメジャー定着した後、2018年にアストロズにトレードされた。2019・21年にオールスターに選ばれたが21年はパタニティリスト(産休リスト)に入っていたため辞退した。

地元ダラスにあるアメリカン・ヘリテージ高校で投手兼遊撃手としてチームを支えていたが、野球部の廃部が決まったため最終学年だけマーカス高校に転入した。マーカス高校は同じテキサス州内にあり、同州で最も過酷なリーグに所属している強豪校だった。ちなみに、アメリカン・ヘリテージ在籍時にフットボールもプレーしていたが、2006年にフットボールの試合中に左膝前十字靱帯を断裂したため野球に専念し、ポジションも投手に限定するようになった。

高校最終学年の2007年にドラフト11巡目でレッドソックスから指名され入団。事前の予想では20~30巡目と言われていたため驚き、テキサス工科大学への入学を断ってレッドソックスと契約した。マイナーでの最初の3年はスターターとして投げていたが制球力に疑問符をつけられブルペンへ移動。すると短いイニングでは速球の球速とコントロールに改善の兆しが見え始めた。それに目を付けたツインズが2012年のルール5ドラフトでプレスリーを獲得した。

ツインズ移籍初年度の2013年はシーズン終了まで25人ロースターに残り、76イニングを投げて防御率3点台。リリーフのみの登板で、5月には4イニングを無失点に抑えてメジャー初勝利を記録した。2015年は広背筋を痛めて27試合しか登板できなかったが、以降は大きな故障なく一線級で投げ続けている。

2018年7月、ツインズとアストロズとの間でホルヘ・アルカラなど2人のプロスペクトと交換トレードが成立。移籍後アストロズでは26試合に登板し23回1/3・防御率0.77・32奪三振と躍動。以降、オールスター選出や40試合連続無失点のメジャー新記録樹立など、アストロズではセットアップとクローザーとして重要な場面で結果を残し続けている。2010年代中頃のメジャーではスタットキャストの導入で集められたデータをどう扱うか球団間で大きな差があった。その中で最も先駆的だったアストロズがカーブの回転数に着目し、獲得したコリン・マキューやプレスリーが大ブレイクしたことで後にアストロズの方針が大きく評価され、『アストロボール』が書籍化された。

寄稿日:2021-10-22 最終更新日:2021-10-22
オールスター:2回(19,21)

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ツインズ在籍時、キャリア初セーブを記録するプレスリー

▼カウント間違いによりアレナドから"四振"(?)を奪うプレスリー

▼2021年ALCSで1イニングを抑えるプレスリー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2013 MIN 49 3 3 0  3.87 76.2 71 33  5 27 0 49 1.28 1.81

2014 MIN 25 2 0 0  2.86 28.1 30  9  3  8 1 14 1.34 1.75

2015 MIN 27 3 2 0  2.93 27.2 27  9  0 12 0 22 1.41 1.83

2016 MIN 72 6 7 1  3.70 75.1 79 31  8 23 2 67 1.35 2.91

2017 MIN 57 2 3 0  4.70 61.1 52 32 10 19 3 61 1.16 3.21

2018 MIN 51 1 1 0  3.40 47.2 46 18  5 19 2 69 1.36 3.63

2018 HOU 26 1 0 2  0.77 23.1 11  2  1  3 1 32 0.60 10.6

2019 HOU 55 2 3 3  2.32 54.1 37 14  6 12 0 72 0.90 6.00

2020 HOU 23 1 3 12  3.43 21.0 21  8  2  7 1 29 1.33 4.14

2021 HOU 64 5 3 26  2.25 64.0 49 16  4 13 0 81 0.97 6.23


チャズ・マコーミック


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Chas McCormick (フルネーム/Chas Kane McCormick)

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1995-04-19生|183cm94kg|中堅手 左投右打

出身地/アメリカ合衆国 ペンシルバニア州ウェストチェスター

ドラフト/2017年HOU21巡目(全体631位)指名

メジャーデビュー/2021-4-1
■選手紹介

アストロズの外野の砦として存在感が増しつつある外野手。左投げ右打ち。2021年ポストシーズンでも好守を魅せている。

ペンシルベニア州ウェストチェスターで育ったチャズは地元ヘンダーソン高校に通う。そこでは野球とバスケットボールの両方で所属リーグの1stチームに複数回選出されるほど大活躍する。バスケットボールで通算1,000ポイント、野球でも100安打を記録して高校のレジェンドとなる。同州にあるミラーズビル大で通算打率.371を残したが所属リーグがNCAA2部リーグ(ディビジョンⅡ)だったためジュニア(3年生)ではドラフトにかからず、シニア(4年生)でようやくアストロズから21巡目指名された。契約金は1,000ドルだった。

打撃がパワーレスだと見られていてあまり期待されていなかった中、マイナーでは低い三振率と1打席当たりの投球数を多く稼ぎ、打ち取りにくい打撃を磨いて球団内の評価が高まった。2019年には早くもAAAに到達。同年5月にライトの守備でブルペンに飛び込みながらホームランを奪ったプレーはスポセンのトップ10プレイで取り上げられた。2020年はワイルドカードプレーオフのロースターに入れられたが残念ながら出番はなかった。もし出場していればメジャー史上3人目のメジャーデビューをプレーオフで果たした選手となるところだったが、同年はプレーオフ出場チームが拡大した影響もあってシェーン・マクラナハン、デービッド・ウェザーズ、アレックス・キリロフと3人もプレーオフでデビューした。チームのプレーオフ敗退後にドミニカに渡ってウィンターリーグに参加し、ネイト・ロウルイス・レンヒフォと同じチームでプレーして大きな刺激を受けた。

メジャー昇格のチャンスはすぐに訪れた。FAとなっていたジョージ・スプリンガーがブルージェイズと契約。レフトのジョシュ・レディックも退団しレギュラー外野手が2枚消え、第4の外野手の有力候補になった。2021年開幕してすぐ4/1にメジャー初出場。ライトのマイケル・ブラントリーは休養と守備固めが必要なためマコーミックはある程度出場機会が得られ、7月末にはスプリンガーの後釜のマイルズ・ストローがトレードされて後半戦はほとんどの試合で出場した。レギュラーシーズンでは14本塁打を放ち、メジャー公式(MLB Pipeline)から新人ベストナインの2ndチームに選出された。

ケガの耐久性はある方で、2020年オフのドミニカウィンターリーグで太腿をケガしたのを除けば大きな故障歴はない。打撃ではマイナーリーグ時代にパワーをつけ、2021年レギュラーシーズンでは106試合・320打席で14本塁打と長打力をアピールできたが、25四球に対して104三振とマイナーでは通用していたはずのアプローチ力不足を露呈した。左投手相手だとコンタクト能力が若干劣る。バントやエンドランなどの小技やベースランニングは意外と苦手。外野守備の評価は総じて高く、打球反応の速さと落下点に入る能力が優れ、球際にも強い。ただし肩の強さと送球の正確性が平凡なため、センターを守れるだけの守備範囲の広さを誇っても両翼に回されがちなのは残念だ。

ちなみに、チャズが産まれたマコーミック家は両親と4人の息子の6人家族で、兄弟全員大学で野球をやった。長兄ライアンはチャズと同じミラーズビル大で4年間プレーして2011年に卒業した。次兄ショーンはカッツタウン大学で社会福祉学を専攻していた。双子のジェイソンはイマキュラタ大学で打率4割・OPS1.100超の中心選手だったが3部リーグ所属のためドラフトにかからなかった。

寄稿日:2021-10-20 最終更新日:2021-10-20
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ALCSでキケ・ヘルナンデスの打球をダイビングキャッチするマコーミック

▼大谷のタッチアップを阻止するマコーミック

▼スポセンにも取り上げられたマコーミックのホームラン強奪キャッチ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2021 HOU 108 284  73 12 0 14 50 25 4 104  4 .257 .319 .447


ホゼ・アルトゥーベ


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Jose Altuve (フルネーム/Jose Carlos Altuve)

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1990-05-06生|168cm75kg|二塁手 右投右打

出身地/ベネズエラ カラボボ州プエルトカベジョ

プロ入り/2007年3月HOU契約

メジャーデビュー/2011-7-20
■選手紹介

背が高くないスポーツ選手の代表格という扱いを受けている小兵二塁手。2017年にMVPに輝いたが、後にアストロズがサイン盗みをしていたことが発覚し激しいバッシングを受けた。一方で根強い人気も健在で、2020年のユニフォームの売上ランキングは全チームで18位だった(前年は7位)。公表は5フィート6インチ(168cm)だが実際はもっと小さいと思われている。2012年には歴代メジャーリーガー最高身長のジョン・ラウシュ(211cm)と対戦する機会があり、"真剣勝負の打席"としてはメジャー史上最大の身長差だと考えられている。

アルトゥーベが16歳のとき、ベネズエラの地元マラカイでアストロズがトライアウトキャンプを開催した。参加したアルトゥーベのプレーはスカウトの眼に止まったが、同時に身長が低すぎて年齢をサバ読んでいると疑われて家に帰された。翌日、アルトゥーベは出生証明書を持ってキャンプに戻ると、スカウトはアルトゥーベをアストロズ入りさせようと奔走し、2007年3月に正式契約に至った。ちなみに、サルバドール・ペレスは地元が近くて7歳の頃から知り合いである。2011年、初めてAAに昇格したで打率.361を残すとAAAを飛び越えてメジャーに呼ばれ、最初の21試合で打率.346を記録した。最終的には.276に落ち着いたが、8月にメジャー初ホームランをRHR(ランニングホームラン)で記録した。また同年はフューチャーズ・ゲーム(マイナーリーグのオールスター)に選出されている。翌年の2012年には早くも正二塁手としてレギュラーに就き、今度はメジャーの舞台でオールスターに選出された。

2014年は首位打者(.341)と盗塁(56盗塁)を獲得する大活躍でキャリアで初めてシルバースラッガー賞を受賞。最多安打も記録し、この3部門でトップに立ったのは2001年のイチロー以来13年ぶりとなった。盗塁数はオールスター前だけで40個に達しており、6月には97年ぶりとなる4試合連続複数盗塁を記録した。同年オールスターに選ばれたが、アストロズは2013年にア・リーグへ引っ越ししていたので、MLB史上唯一の同一チームにいながら両リーグのオールスターに出場した選手となった。レギュラーシーズン終了後、日米野球のメンバーに追加召集されたことで来日している。また、オフには最高のパフォーマンスを発揮したベネズエラ人に贈られるルイス・アパリシオ賞を授与された。

2015年シーズンに備えて前年の秋季リーグで打撃フォームを改造。右脚の蹴りを入れる動作を組み込んだ。レギュラーシーズンで初めて2桁となる15本塁打を放ち、最終戦で200本目の安打を記録した。守備でも初めてのゴールドグラブ賞に輝いた。翌2016年は6月に月間MVPを受賞、通年では2年ぶりの首位打者に輝いただけでなく24ホーマー。四球率も劇的に上昇しOPSを9割台に乗せ、MVP投票で3位につけた。

2017年はWBC第4回大会に出場。レギュラーシーズンではキャリアハイの成績を残す。7月に5試合連続3安打以上を記録するなど、前年に続いて2度目の月間MVPを受賞。153試合で打率.346・24本塁打・81打点・OPS.957。4年連続200本安打で2年連続3回目となる首位打者を獲得。プレーオフではディビジョンシリーズ初戦で1試合3本塁打の猛打を見せた。シーズン終了後の表彰でシルバースラッガー賞、ハンク・アーロン賞のほか数々の表彰を受け、そしてア・リーグMVPを受賞した。チャンピオンリングも獲得し、これ以上ない最高のシーズンになるはずだった。

2018シーズン開幕前にアストロズと2020~24年をカバーする5年1億5100万ドルで契約延長をした。レギュラーシーズンは前半は好調で5月に10打席連続安打を記録。オールスターゲームにはファン投票で全選手中最多となる484万票を集め、5年連続で選出された。しかし7月に右膝を痛めてキャリア初のDL入りを経験する。連続シーズン200本安打の記録は途切れ、ALCS敗退直後に右膝の手術を受けたが、5年連続でシルバースラッガー賞を受賞した。2019年は31本塁打・OPS.903を記録したが、シルバースラッガー賞はこの年からヤンキースへ下山してきたD.J.ルメイヒューにさらわれた。シーズンオフの間に2017年から18年途中までの間にアストロズの選手・コーチらによるサイン盗みを告発され、とりわけ2017年にMVPを獲得したアルトゥーベは激しいバッシングにさらされた。

チームメイトからはアルトゥーベはゴミ箱を使ったサイン盗みに関わっていなかったとの証言もあったが、サヨナラHRを放った際にユニフォームを破らないようジェスチャーしたシーンがあったことで、身体に取り付けたブザーで球種を伝達されていた疑惑が浮上した。破らないよう言った理由が鎖骨付近に彫ったばかりのタトゥーを見られたくなかったからだと説明したが、翌年アルトゥーベの上半身が映った映像ではタトゥーが分かりにくく、釈然としないまま現在に至っている。2020シーズンでは打撃不振とポストシーズンでの送球エラー連発で不本意なシーズンとなった。

アストロズのサイン盗み騒動はアルトゥーベには大きな痛手となった。しかし2010年代後半のアストロズは強豪で、アルトゥーベはチームの主砲であったことは紛れもない事実。身長168cmから放つ長打とハイレベルな守備で、3年連続地区優勝や2017年のワールドシリーズ制覇に多大な貢献をした。2021年時点でリーグ優勝決定シリーズ進出を5年連続に伸ばしたアストロズをこれからも支え続けるだろう。

寄稿日:2021-10-19 最終更新日:2021-10-19
オールスター:7回(12,14,15,16,17,18,21)

主な表彰:ALL-MLB 2nd1回(19), MVP1回(17), ゴールドグラブ賞1回(15), シルバースラッガー賞5回(14,15,16,17,18), ハンク・アーロン賞1回(17), ア・リーグチャンピオンシップシリーズMVP1回(19),

タイトル:首位打者3回(14,16,17), 盗塁王2回(14,15),

▼日米野球で攻守に躍動するアルトゥーベ

▼2021年のALCSで2ランホームランを放つアルトゥーベ

▼三塁打を狙うも途中で転倒するアルトゥーベ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2011 HOU 57 221  61 10 1  2 12  5 2 29  7 .276 .297 .357

2012 HOU 147 576 167 34 4  7 37 40 6 74 33 .290 .340 .399

2013 HOU 152 626 177 31 2  5 52 32 2 85 35 .283 .316 .363

2014 HOU 158 660 225 47 3  7 59 36 5 53 56 .341 .377 .453

2015 HOU 154 638 200 40 4 15 66 33 9 67 38 .313 .353 .459

2016 HOU 161 640 216 42 5 24 96 60 7 70 30 .338 .396 .531

2017 HOU 153 590 204 39 4 24 81 58 9 84 32 .346 .410 .547

2018 HOU 137 534 169 29 2 13 61 55 6 79 17 .316 .386 .451

2019 HOU 124 500 149 27 3 31 74 41 3 82  6 .298 .353 .550

2020 HOU 48 192  42  9 0  5 18 17 1 39  2 .219 .286 .344

2021 HOU 146 601 167 32 1 31 83 66 4 91  5 .278 .350 .489


エイブラハム・トロ


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Abraham Toro (フルネーム/Abraham Josue Toro)

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1996-12-20生|183cm93kg|二塁手、三塁手 右投両打

出身地/カナダ ケベック州ロンゲール

ドラフト/2016年HOU5巡目(全体157位)指名

メジャーデビュー/2019-8-22
■選手紹介

肩を活かした内野守備とアプローチの良い打撃が魅力のスイッチヒッター。右打席の技術が若干劣っていたのをマイナー時代に克服した。ベネズエラ系カナダ人で、ドラフトではトロ=ヘルナンデスと表記されていた。12歳年上の兄はドラフトにかからず独立リーグ止まりだった。

トロの両親は結婚後ベネズエラからモントリオール近郊の町へ移住、それからエイブラハムが誕生する。両親はベネズエラ人なので家ではスペイン語で会話し、外では公用語のフランス語を話した。子供時代はサッカーとバレーボールに勤しんでから野球にハマる。高校はエリック・ガニエやラッセル・マーティンが卒業したエデュアール・モンプチ高でショートとしてプレーする。大学はモントリオールにあるバニエー大学に2年在学後、セミノール州立大のジュニア(3年生)に編入して1年間だけ所属した。バニエー大はモントリオールで2番目に大きい英語系大学で、在学中に英語力が向上して仏・西・英のトライリンガルになった。転学したのは強い野球部を求めたからではなく、バニエー大の2年コースの1つPre-university Program を受講したため。同大は大学編入プログラムに力を入れており、このプログラム満了後は他大学へ転学する受講生が多い。ケベック州の他大学へ進む同期が多い中、トロは国境を越えてオクラホマ州のセミノール州立大へ行き、野球部ではサードを守った。ちなみにガニエはセミノール州立大の卒業生でもある。短い期間だったが55試合で打率.439・20本塁打・86打点・出塁率.545・長打率.849を記録、三振はホームランより少ない18個しか喫しなかった。

2016年にドラフト5巡目で指名したアストロズは両打ちの打撃と肩を評価した。アストロズの三塁手は2016年全体2位指名のアレックス・ブレグマンのメジャー昇格が確定的で、サードでのレギュラー奪取は難しいと考えてA-とAAではキャッチャーに挑戦した。その後、球団から内野手としてメジャーを目指すように促され、サードへの再コンバートと同時にセカンドとファーストの出場機会を増やした。2018年のAAの終了直後に打席でのアプローチを改良に取り組み、その年のアリゾナ秋季リーグでOPS1.000超えを記録する。翌年もAAでOPS.906、AAAで1.112を記録し、もはや打撃面でマイナーで学ぶことはないとアストロズに認めさせた。同年8月にメジャー昇格し、9/1のブルージェイズ戦で0-0の9回に勝ち越し2ランホームランを放ち、ジャスティン・バーランダーのキャリア3度目のノーヒッターをアシストした。プレーオフのロースターにトロはラインナップされなかったがチームはワールドシリーズ制覇を達成した。メジャー2年目となった2020年は33試合の出場機会で出塁率・長打率とも.300を下回ったが、プレーオフで1試合出場機会を得た。

2021年、トレード期限を数日後に控えた7月27日に、トロはちょっとした議論が湧き起こったトレードに巻き込まれる。アストロズは本拠地での対マリナーズ3連戦の第2戦の試合前、両チーム間でトレードが成立したと報じられたが、マリナーズが手放した1人はクローザーとして防御率0.82と完ぺきな働きをみせていたケンドール・グレイブマン。マリナーズは勝率5割を超えプレーオフ進出は不可能ではない位置にいた。にもかかわらず最大のライバルにクローザーを譲り渡したマリナーズの姿勢にチーム内外から異論が噴出した。そのような逆風の中、マリナーズのユニフォームに着替えたトロはアストロズ相手に2戦連続でホームランを放つと、9月にはアストロズとの再戦で交換相手のグレイブマンから0-0から劇的な満塁ホームラン。この一発でトロは完全にマリナーズの一員としてファンに受け入れられた。

マリナーズ加入後は正二塁手の座についたトロ。下部組織を含めて二塁手でメジャー定着が見込める選手は誰もいない。故障リスクも低いので、当面は彼を見られる日が毎日続きそうだ。

寄稿日:2021-09-29 最終更新日:2021-09-29
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼0-0の8回に先制2ランホームランを放ち、バーランダーのノーヒッターに貢献するトロ

▼トレードの交換相手のグレイブマンから満塁ホームランを放つトロ

▼"ワイルドな"取り方でフライをキャッチするトロ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2019 HOU 25  78  17  3 2  2  9  9 1 19  1 .218 .303 .385

2020 HOU 33  87  13  2 0  3  9  3 7 23  1 .149 .237 .276

2021 HOU 35 109  23  1 0  6 20  9 3 21  3 .211 .287 .385

2021 SEA 60 226  57 11 0  5 26 22 4 33  3 .252 .328 .367


J.P.クロフォード


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J.P. Crawford (フルネーム/John Paul Crawford)

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1995-01-11生|188cm90kg|遊撃手 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 カリフォルニア州ロングビーチ

ドラフト/2013年PHI1巡目(全体16位)指名

メジャーデビュー/2017-9-5
■選手紹介

かつての期待値ほどには大成できていないアスリート型ショート。盗塁王に4度輝きデビルレイズで活躍したカール・クロフォードの従兄弟だが、J.P.の足はそれほど速くない。

2013年にドラフト全体16位でフィリーズから指名される。フィリーズではショートの元MVPジミー・ロリンズのピークが過ぎようとしていて、後継者としてロリンズ以上の選手になれるよう大きな期待を受けて指名された。トレードの引き合いが来ても受け付けない"アンタッチャブル"な有望株となった。打撃はミート力と辛抱強さ、守備では広い守備範囲に正確なスローイングを高く評価された。

2013年にRookie級のガルフコーストリーグからスタートすると、持ち前の打撃と守備を見せつけあっさり卒業。2014・15年に2年連続でフューチャーズゲームに選出された。AAAに初めて到達した2016年はメジャー公式の有望株ランキングで全体2位のランクされるほど期待値が高まった。その後AAAでは打撃面で苦労したが翌年メジャーリーグに初昇格した。もともとパワー以外の4ツールと打席での辛抱強さを高く評価され、いずれパワーがついて15本ホームランが打てるぐらいに成長するだろうと周囲に思われていた。しかし2年プレーして打率が.250を割り込み、長打の数も伸びなかった点が心象を悪くした。各機関のパワーランキングで評価が急落し、フィリーズもトレード話があれば検討するようになっていった。2018年オフにジーン・セグラらとのトレードでマリナーズに移籍した。同じショートのセグラは攻守で好成績を残した一方、チームメイトと揉め事を起こしクラブハウスの雰囲気を悪くしたことがマリナーズ幹部の評価を下げていた。俄然高い守備力を誇っていたクロフォードはマリナーズのチーム事情にマッチした。移籍後はトレーニング方法を見直し、その守備力が強化された。2020年にはア・リーグのショートではDefensiveWAR4.9はフランシスコ・リンドーアに、DRSもカルロス・コレアに次いで2番目に優秀な守備を披露。とりわけスローイングの精緻さが他選手より優れており、初のゴールドグラブ賞に輝いた。

左打ちのクロフォードは対左投手のミート力は平凡だが、対右投手になるとメジャーでも上位の巧打者になる。対左投手のコンタクト率が落ちてきたら、将来的にはプラトーンとして出番を制限されるかもしれない。球場のせいもあるが、ビジターでの打撃成績の方が良い。また、選球眼が良く四球を多く選ぶのに初球から打ちにいきヒットを放つ打席が頻繁にあるのも特徴のひとつだ。2019年に1ヶ月半ほど離脱した以外は大きなケガがない、耐久性も魅力の一つだ。

寄稿日:2021-09-25 最終更新日:2021-09-25
オールスター:なし

主な表彰:ゴールドグラブ賞1回(20)

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2017 PHI 23  70  15  4 1  0  6 16 0 22  1 .214 .356 .300

2018 PHI 49 117  25  6 3  3 12 13 5 37  2 .214 .319 .393

2019 SEA 93 345  78 21 4  7 46 43 2 83  5 .226 .313 .371

2020 SEA 53 204  52  7 2  2 24 23 3 39  6 .255 .336 .338

2021 SEA 160 619 169 37 0  9 54 58 5 114  3 .273 .338 .376


ローガン・ギルバート


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Logan Gilbert (フルネーム/Logan Keith Gilbert)

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1997-05-05生|198cm102kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 フロリダ州ウィンターパーク

ドラフト/2018年SEA1巡目(全体14位)指名

メジャーデビュー/2021-5-13
■選手紹介

キング・フェリックス以来の本格派エースに育ってほしいマリナーズの長身スターター。シーズン途中にデビューした2021年は球数制限がある中でチームで4番目に多い100イニング以上を投げ、あっさりローテーション定着を果たした。

フロリダ州にあるウェキバ高校で絶対的エースとしてプレーしていたギルバート。ウェキバ高からは過去に球界入りした選手は36巡目指名のマイナーリーガー1人しかいない無名高だったため、コーリー・クルーバーとジェイコブ・デグロムを輩出したステッソン大学からの勧誘に飛びついた。ステッソン大ではフレッシュマン(1年生)から先発のマウンドに上がっていたが、この頃はコントロールにかなり難があった。しかし、マウンド上でのメンタルの保ち方を追求するようになると確かな効果があり、長い腕から放たれる94~97マイルの速球の威力そのままにフォアボールを出さなくなった。ジュニア(3年生)ではシーズン中に単核球症による不調で球速が出にくくなった時期があったが、カレッジレコードとなるシーズン163個の三振を奪い、2年連続でASun(アトランティック・サン・カンファレンス)の最優秀投手に選ばれた。

2017年のドラフト会議では1巡目での指名が予想され、マリナーズに全体14位でコールされた。ちなみにマリナーズが1巡目でピッチャーを指名したのは2011年のダニー・ハルツェン以来6年ぶりだった。入団後はシングルAからスタートするはずだったが、球団が単核球症の治療に専念させることにしたため2018年は試合に出られなかった。2019年はシングルAでスタートしたが5試合22回2/3を投げて被安打9・奪三振36と、この階級の打者をまったく相手にしなかった。AAでも防御率2.88に抑え、早期のメジャー昇格を期待させた。

2021年は開幕前のメジャー公式有望株ランキングで全体33位にランクイン。同年開幕を初のAAAで迎え、1試合投げただけでメジャーリーグで投げることが決まった。5/14(※日本時間)にメジャー初出場となったが、この日は同年開幕前のランキング6位のジャレッド・ケルニックもメジャーデビューした。メジャー公式ランキングで上位100人に名を連ねる有望株が同じチームで同じ日にメジャーデビューする珍しい出来事となった。ギルバートの最初の4試合は0勝2敗・防御率5.94と苦しんだが、初勝利を挙げた後はギルバートの登板試合でチームが9試合連続勝利を記録した。

ピッチングは94~97マイルのフォーシームを軸に、70マイル中盤~後半のブレーキの効いたカーブ、80マイル前半のチェンジアップ、85マイルのスライダーを投げる。その日の調子で上手く使い分け、4球種ともどのカウントからでもストライクを取る能力がある。フォアボールを出さない投球はメジャーでも実践できているので、あとはコマンドが良くなればサイ・ヤング賞級のエースになれるはずだ。

寄稿日:2021-09-25 最終更新日:2021-09-25
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2021 SEA 24 6 5 0  4.68 119.1 112 62 17 28 6 128 1.17 4.57


フィル・ゴスリン


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Philip Gosselin (フルネーム/Philip David Gosselin)

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1988-10-03生|185cm85kg|二塁手、三塁手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 ペンシルバニア州ブリンマー

ドラフト/2010年ATL5巡目(全体164位)指名

メジャーデビュー/2013-8-16
■選手紹介

エンゼルスでいつの間にか上位打線を打つようになった便利屋の内野手。大谷翔平とそれほど絡みがないため、日本人からの知名度は低いかもしれない。

高校時代にショートを守っていたゴスリンはバージニア大学に進学。ACC(アトランティック・コースト・カンファレンス)所属のバージニア"キャバリアーズ"では主にリードオフマンを任された。ソフモア(2年生)の2009年はサンディエゴ州立大で旋風を巻き起こしていたスティーブン・ストラスバーグからホームランを放つなど、キャバリアーズ初のカレッジワールドシリーズ進出の立役者となった。ジュニア(3年生)では歴代キャバリエのシーズン最多安打(100本)を放ち、打率.382を記録する大活躍でオールACC1stチームとオールアメリカ3rdチームに選ばれた。

プロ入り後、2012年にAAに到達。翌2013年にはAAA到達して同年中にメジャーデビューも果たす。メジャー初ヒットをセーフティバントで決め、ここまでは順調そのものだった。2014年はAAAでは打率.344・OPS.866の好成績を残すもメジャーではOPS.624と平凡な成績に終わる。46試合の出場機会のうち38試合で4つのポジションに就き、代打8回、代走4回とこの年から便利屋として起用されるようになっていく。

2015年は開幕から打撃好調で打率.320を維持していたが5月に守備中にゴロに飛び込んだ際に左手親指を剥離骨折。60日故障者リストに入っている最中にダイヤモンドバックスへトレードされた。2016年は初めてフルシーズンをメジャーで過ごした。全試合の半分以上にあたる83試合で代打として起用され、シーズン最終戦は延長11回に劇的な代打サヨナラ適時打を放った。守備に就いた50試合では一塁・二塁・三塁・両翼を守った。

2016年以降は開幕でメジャー契約が取れないシーズンが続き、チームを転々とする。2020年までにパイレーツ、レンジャース、ブレーブス、レッズ、フィリーズに所属しては出場機会に恵まれず、不遇の時を過ごす。

2021年にエンゼルスから招待選手として声がかかる。開幕メジャーとはならなかったが、5月にメジャーへ昇格するとスタメンで起用されるようになる。相変わらずポジションは固定されないが、アンソニー・レンドンやジャスティン・アップトンの長期離脱やテイラー・ウォードの守乱などで空いた穴を埋め、いつの間にか外せない選手となった。打順も長打はないが打率が残せるため3~5番にラインナップされる試合が増えた。

スペックについては、バッティングはミート力に長けていて、相手投手の利き腕やピッチングスタイルに関係なく打球を前に飛ばす能力がある。得点圏にランナーがいると打率が上がるクラッチヒッター。シチュエーション別だと満塁時の打率が最も高い"満塁男"でもある。走力は盗塁技術が無いため盗塁数が少ないため、実はメジャーでも指折りの俊足であることはあまり知られていない。守備は便利屋として一塁手、二塁手、三塁手、両翼で起用されている。守れるポジションが多いがレギュラーレベルに比べると少し動きが鈍い。肩は平均レベル。

Twitterのアカウント"PGosselin15"は2013年暮れにメジャー40人枠に入った時に与えられた背番号15から来ている。メジャー公式によるとゴスリンの趣味はゴルフとハイキングと読書だそうだ。

寄稿日:2021-09-25 最終更新日:2021-09-25
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼2015年のレギュラーシーズン最終戦で延長代打サヨナラタイムリーを放つゴスリン

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2013 ATL  4  6  2  0 0  0  0  1 0  2  0 .333 .429 .333

2014 ATL 46 128  34  4 0  1  3  5 2 27  2 .266 .304 .320

2015 ATL 20  40  13  4 0  0  2  2 0  5  2 .325 .357 .425

2015 ARI 24  66  20  5 1  3 13  7 2 11  0 .303 .382 .545

2016 ARI 122 220  61 12 1  2 13 15 1 46  3 .277 .324 .368

2017 PIT 28  40  6  1 0  0  2  2 0  9  0 .150 .190 .175

2017 TEX 12  8  1  1 0  0  0  0 0  3  0 .125 .125 .250

2018 CIN 20  24  3  0 0  1  2  4 0  8  0 .125 .250 .250

2019 PHI 44  65  17  3 0  0  7  3 0 16  0 .262 .294 .308

2020 PHI 39  92  23  5 0  3 12 10 0 27  0 .250 .324 .402

2021 LAA 104 345  90 14 0  7 47 24 3 81  4 .261 .314 .362


マックス・スタッシ


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Max Stassi (フルネーム/Max Robert Stassi)

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1991-03-15生|178cm91kg|捕手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 カリフォルニア州ウッドランド

ドラフト/2009年OAK4巡目(全体123位)指名

メジャーデビュー/2013-8-20
■選手紹介

2020年にエンゼルスで正捕手の座をゲットしたキャッチャー。大谷の登板試合でマスクを被っていたことで日本でも知名度は上々だ。

高校時代、自宅からほど近いユバシティ高校でプレーし、国際大会にも出場するほど活躍していた。2010年のドラフトでは1巡目レベルの前評判だったが、UCLAに内定していたことで多くの球団が指名を回避し、最終的にアスレチックスが4巡目で指名。高卒選手最上位のキャッチャーと言われた選手の指名順位が4巡目まで下がったことをベースボール・アメリカ誌に「今ドラフト最大の驚き」と書かれた。それでもスタッシは4巡目としては歴代最高額(当時)の契約金150万ドルを提示され、UCLA進学を辞退してアスレチックスと契約した。

2013年シーズン前、ジェド・ラウリーをメインとするトレードでアストロズに移籍する。同年8月に22歳の若さでメジャー初昇格。デビュー戦はスタメンで起用され2安打を放ったが、翌日の試合で顔面にデッドボールを食らい故障者リストに入った(満塁だったためメジャー初打点が記録された)。そこから5年間はシーズン終盤に昇格しては申し訳程度に試合に出るシーズンが続いた。2018年はバックアップ捕手だったエバン・ガティスの守備が酷くなり、スタッシにチャンスが回ってきた。開幕から常時メジャーに帯同し、打撃好調で前半戦は準レギュラーのような立場になった。正捕手の座にも手が届きそうだったが、オールスター後は打撃成績が低下。.792だったOPSがオールスター後は.485に落ち、ホームランも7本から1本と大きく減らした。また、8月に入るとアストロズはマーティン・マルドナドを補強。翌2019年にはFAとなっていたロビンソン・チリノスも加入して猛打を奮ったため、スタッシは同年7月31日にエンゼルスへ放出された。選手層の薄いエンゼルスでは正捕手の座に収まっている。

打撃は長打力が魅力。選球眼はあまり良くないが意外と四球を稼いでおり及第点の出塁率を残している。対左投手のボールコンタクトが悪いため、できれば左を苦にしないキャッチャーとプラトーンを組ませるのがチーム編成上は理想。守備はボールブロッキングと打球反応の評価が非常に高い。肩も強い方なのにメジャーではイマイチ盗塁を刺せていない。スピードはキャッチャーであることを差し引いても足が遅く、2021年現在で今まで1度も盗塁を試みていない。

兄のブロック・スタッシはマックスよりも遅れて2017年にメジャー初昇格、51試合に出場している。2021年は開幕を独立リーグで迎え、シーズン中にフィリーズと契約してAAでプレーしている。兄のほかにもスタッシの家系は野球選手が多い。父ジムは元マイナーリーガーのキャッチャーで、ユバシティ高校時代にマックスを指導したことがある。父と同じく祖父、曾祖父もキャッチャーとしてプレーしたが3代ともメジャー昇格を果たせなかった。大叔父のマイリル・ホーグは第二次世界大戦前に活躍した選手で、オールスター1回・ワールドシリーズ3回出場経験がある本物の元メジャーリーガーである。

寄稿日:2021-09-22 最終更新日:2021-09-22
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ファウルフライをダイビングキャッチするスタッシ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2013 HOU  3  7  2  0 0  0  1  0 1  2  0 .286 .375 .286

2014 HOU  7  20  7  2 0  0  4  0 0  6  0 .350 .350 .450

2015 HOU 11  15  6  0 0  1  2  1 0  5  0 .400 .438 .600

2016 HOU  9  13  1  0 0  0  0  0 0  5  0 .077 .077 .077

2017 HOU 14  24  4  1 0  2  4  6 0  4  0 .167 .323 .458

2018 HOU 88 221  50 13 0  8 27 23 6 74  0 .226 .316 .394

2019 HOU 31  90  15  1 0  1  3  7 1 34  0 .167 .235 .211

2019 LAA 20  42  3  0 0  0  2  5 0 15  0 .071 .163 .071

2020 LAA 31  90  25  2 0  7 20 11 1 21  0 .278 .352 .533

2021 LAA 87 282  68 11 1 13 35 28 8 101  0 .241 .326 .426


パッキー・ノートン


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Packy Naughton (フルネーム/Patrick Joseph Naughton)

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1996-04-16生|188cm88kg|先発 左投右打

出身地/アメリカ合衆国 マサチューセッツ州ボストン

ドラフト/2017年CIN9巡目(全体257位)指名

メジャーデビュー/2021-8-8
■選手紹介

いわゆる"実戦向き"という表現がぴったりなサウスポー。スペック的にずば抜けたものはないが、打ちにくそうな投球フォームから同じ腕の振りで変化球を投げ分けることができる。将来スターターとして前評判以上の成績を残すかもしれない。学生時代は文武両道。

レッドソックスのお膝元ボストンのウエストロックスベリー出身。高校はボストンラテンスクール(全米最古の高校)に通学。3年次にトミー・ジョン手術を受けたが、学校1の高い運動能力と評判で、高校卒業後はバージニア工科大学に奨学金付きで入学した。大学3年間では7勝14敗・防御率6.13・WHIP1.76とよく打たれたが、カレッジサマーリーグのケープコッドリーグではエース級の大活躍。その甲斐あってスカウトの間で名前が知られ、2017年にドラフト9巡目でレッズに指名された。

翌年シングルAで1年間投げ、被打率がリーグで100人中ワースト14と打ち込まれた。しかしオフに球の出所が見にくくなるよう腕の振り出し方と変え、コマンドの改善にも取り組む。すると翌年は目に見えて効果が出たため階級が上がっても全試合先発として起用された。短縮シーズンとなった2020年は、トレード期限ギリギリの8月31日にブライアン・グッドウィンとのトレードでエンゼルス入りした。移籍後はロングビーチにある代替トレーニング地でプレーした。翌2021年は開幕直後に初のAAAに昇格すると、後半戦に入ってポストシーズンを諦めたエンゼルスは若手投手中心の起用にシフトし、ノートンのメジャー昇格と先発としてテスト登板させることを決めた。

投球内容はメジャー平均より遅い平均91マイルのフォーシームと同じく91マイルのシンカーに加えて、82マイルのチェンジアップ、83マイルのスライダーを効果的に投げ分ける。やや上体を捻りながらインステップ気味に投げる打ちにくそうな投げ方で、特に左バッターは手を焼きそうだ。球の遅さが弱点になっていない。スライダーは打球がフライになる傾向があるが、速球とチェンジアップはゴロ比率が高い。縦落ち系のカーブも持っているがたまにしか投げない。コントロールはどの球種も優秀。

長所がいくつもあるノートンだが一番の長所は頭脳だろう。バージニア工科大では人間発達科学を専攻、学部内でも優秀な学生だった。打ち込まれた2018年のオフに投球改造を成功させたのは、頭を使ってトラブルから抜け出す能力によるものだ。メジャー元年の2021年は恐らく勝負球を見極められるだろうが、翌年はレベルアップして先発ローテーションに食い込むのではないだろうか?なお、生粋のボストンっ子だがレッドソックスファンというわけではないそうで、強いて挙げるなら自身もプレーしたケープコッドリーグのハーウィック・マリナーズを応援すると語っている。

寄稿日:2021-09-19 最終更新日:2021-09-19
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼パドレスを5回無失点に抑えるノートン

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2021 LAA  7 0 4 0  6.35 22.2 27 16  3 14 1 12 1.81 0.86


オリバー・オルテガ


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Oliver Ortega (フルネーム/Oliver Ortega)

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1996-10-02生|183cm75kg|リリーフ、先発 右投右打

出身地/ドミニカ共和国 マリア・トリニダー・サンチェス州ナグア

プロ入り/2015年2月LAA契約

メジャーデビュー/2021-9-8
■選手紹介

フォーシームとパワーカーブが武器のドミニカ出身右腕。2021年のエンゼルスの有望株ランキング14位にランクされていた。2021年9月にメジャーデビュー。

2015年2月にエンゼルスと契約しプロ入りしたが、この時すでに18歳だった。契約金も1万ドルと少額で契約。Aに昇格した2017年は背中のケガで丸1年以上プレーできなかった。2019年はAAに到達するも2020年オフのルール5ドラフトではプロテクトも指名もされなかった。2021年はAAAに昇格すると奪三振能力の高さを買われて9月にリリーフとしてメジャー初登板を果たした。

グラブ側の腕をやや高く上げるのが特徴的なフォーム。オルテガの一番の長所は威力あるフォーシーム。短いイニングでは95~96マイルを計時することが多く、2019年にはマイナーで自己最速の99マイルを記録した。変化量の大きいパワーカーブもメジャーでも打ち取れそうな球だが、狙ったコースに投げられず、低めのストライクゾーンに投げる能力がない。一応チェンジアップも持っているが精度が低すぎてメジャーでは投げれない。また、フォーシームのコントロールはそこまで悪くないが、どの階級でもイニングの半分近くの数のフォアボールを出してしまう。

マイナーでは先発とクローザーを両方試されてきたが、三振奪取能力の高さと変化球の少なさから完全にブルペン向きだと思われている。もし先発投手としてメジャーに残りたいのであればコントロールとチェンジアップの向上が不可欠。2ストライク後の投球パターンも内角高めのフォーシームかワンバウンドするカーブのどちらかしかないので引き出しを増やしたいところだ。

寄稿日:2021-09-19 最終更新日:2021-09-19
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼メジャーで初めての対戦相手となったマイヤーズを三振に仕留めるオルテガ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2021 LAA  8 1 0 0  4.82  9.1 12  5  1  2 1  4 1.50 2.00