WBC2023(9)プエルトリコ代表 選手名鑑


 2年連続で準優勝のプエルトリコ代表。今回は悲願の優勝をかけて戦う。カルロス・コレアが家庭の事情で不参加となったが、投手はマーカス・ストローマンの加入とディアス兄弟の成長で前回よりバランスの取れたチームになっている印象。初めて正式に監督を務めるモリーナ・プエルトリコがどのような試合運びをするか見ものだ。

▼目次 – プエルトリコ代表選手一覧
【1.投手】
【2.捕手】
【3.内野手】
【4.外野手】
【5.監督・コーチ】
【6.参加できなかった有力選手】

【投手】
0 マーカス・ストローマン(シカゴ・カブス)
 前回WBCはアメリカ代表として出場してMVPを受賞した先発投手。野手に比べ先発投手の層が薄いプエルトリコには有難い新戦力となった。
 身長170cm台ながら闘志をむき出しにして投げる熱いハートの持ち主。多彩な球種とTwitterを自在に操る。
13 エミリオ・パガン(ミネソタ・ツインズ)
 毎年勝ち試合を中心に登板数を重ねるワークホース。キャリアハイだった2019年には防御率2.31・20セーブを挙げるも最近はコンディション不良で球威が低下。復肩が待たれる。
16 ジョバニ・モラン(ミネソタ・ツインズ)
 21年にメジャーデビュー、昨季防御率2.21の好成績を残した若手リリーフ左腕。チェンジアップが高評価。
28 フェルナンド・クルーズ(シンシナティ・レッズ)
 昨季32歳でメジャーデビューした遅咲きのリリーフ右腕。もとは内野手でプロ入りしている。
30 デレック・ロドリゲス(ツインズ傘下AAA)
 殿堂入り捕手イバン・ロドリゲスの息子として知られる右投げ投手。メジャー1年目がキャリアハイ、昨季は2年ぶりにメジャー昇格も2試合しか出られなかった。前腕にバットマンのタトゥーを入れている。
32 ドミニク・ハメル(メッツ傘下A+)
 2021年にドラフト3巡目指名でメッツ入りした有望先発右腕。イタリア系の父親を持ちイタリア代表からオファーがあったが、プエルトリカンの亡き母のためプエルトリコ代表入りを決断した。
37 ホセ・ベリオス(トロント・ブルージェイズ)
 プエルトリコ生まれの投手では1番の先発投手。ツインズのエースとして活躍後、2021年のトレードデッドライン間際にブルージェイズに移籍。7年契約を結んだが昨季は防御率5点台に終わり、自身もファンも不満の残るシーズンだった。
 WBCは2013・17年に続き3回目の選出。投手層の薄いプエルトリコはこれまでベリオスにおんぶに抱っこだったが、ストローマンの加入はベリオスにも好影響をもたらすだろう。ハビエア・バエズの奥さんはベリオス妻の姉妹。
39 エドウィン・ディアス(ニューヨーク・メッツ)
 昨季メッツで一段上の投手に成長したクローザー。マリナーズのクローザーとしてプレーしていたがロビンソン・カノーとディアスの2対6のトレードでメッツに移籍、昨季の好成績で5年1億200万ドルの大型契約を獲得した。
 登場曲に使用しているティミー・トランペットの生演奏でマウンドに上がったシーンは有名。
41 ニコラス・パディーヤ(シカゴ・ホワイトソックス)
 ブロンクス生まれのニューヨークっ子。ドラフトに掛かるためテキサス州の短大に通いプロ入り。昨季メジャー初昇格を果たして1試合に登板した。カットボーラー。
43 アレクシス・ディアス(シンシナティ・レッズ)
 エドウィン・ディアスの弟で昨年メジャーデビューした若手リリーフ右腕。弱いレッズ所属のため注目度は低いが昨季の成績は防御率1.84・WHIP0.958・奪三振率11.7と圧巻。WBCでは兄弟リレーが見られるか?
48 ホルヘ・ロペス(ミネソタ・ツインズ)
 前回に続き2度目のWBC出場となるリリーバー。以前は先発投手だったが見切られ、昨季リリーフに転向するとオールスター初選出、シーズン全体で67試合登板・防御率2.54と大ブレイクした。
53 ヘクター・サンティアゴ(モンクローバ/メキシカンリーグ)
 しぶとく現役を続ける元メジャーリーガー左腕。ホワイトソックスの先発投手として活躍した。2021年のシーズン中から取り締まりが強化された粘着物質の違反者第1号。
56 デュアン・アンダーウッド・ジュニア(ピッツバーグ・パイレーツ)
 2021年にパイレーツに移籍してから酷使されているリリーフ右腕。昨季の防御率は4.40もFIP2.92・被本塁打1。被バレル率もメジャートップクラスと案外打たれていない。
64 アンソニー・マルドナド(マーリンズ傘下AAA)
 フロリダ出身の恵まれた体格を持つリリーフ右腕。昨季AAAで15試合に登板し防御率1.74・3セーブと好成績を挙げ期待が高まっている。
75 ヤクセル・リオス(ブレーブス傘下AAA)
 メジャーで投げた年が5年あるがAAAから再昇格を狙う速球派リリーバー。155km/hのファストボールとスライダーが中心。
87 ホセ・デレオン(ツインズ傘下AAA)
 8月7日生まれなので背番号87にこだわっているリリーフ右腕。前回大会に続いて2度目のWBC選出。
 2016年にメジャー初昇格して以降毎年メジャーで投げていたが初めてマイナーのみの登板に終わった。19年にトミー・ジョン手術を受けてからは低調なパフォーマンスが続いたが、奪三振能力に衰えは見られず復調は近いと予想。
【捕手】
7 クリスチャン・バスケス(ミネソタ・ツインズ)
 打撃と守備両面で好結果を出し続ける元レッドソックスのキャッチャー。昨季シーズン中にアストロズに移籍し、今季からツインズと契約。
10 MJ・メレンデス(カンザスシティ・ロイヤルズ)
 強打の若手捕手。昨季デビューイヤーにして18本塁打を放った。打撃を活かすため外野でも出場している。
 プエルトリコ人の両親のもとに生まれ、5歳の時にフロリダに移住した。
15 マーティン・マルドナード(ヒューストン・アストロズ)
 守備に定評があるベテラン捕手。打撃はからっきしという評価だが昨季は予想外の15本塁打を放った。
【内野手】
5 キケ・ヘルナンデス(ボストン・レッドソックス)
 打てるユーティリティの代表格のようなプレイヤー。センターとセカンドのほかショートでも出場可能。2020年にドジャースでワールドシリーズ制覇後、FAでレッドソックスに移籍した。
9 ハビアー・バエズ(デトロイト・タイガース)
 華麗な守備と直らない荒い打撃が魅力のショート。チーム事情でセカンドに回るシーズンが多く、今大会もメッツ時代と同様リンドーアとの二遊間コンビを結成する。
12 フランシスコ・リンドーア(ニューヨーク・メッツ)
 某Youtubeチャンネルの影響で日本人にも知名度が高いショート。オールスター4度、ゴールドグラブ賞2度、シルバースラッガー賞2度にプラチナ・ゴールドグラブの受賞歴もある。
 なお、前々回・前回と続けて準優勝に終わり3度目の正直に燃えているであろうメッツのフランシスコ・リンドーアはプールD2試合を終えて8打数3安打。打率を.375としています。
18 エドウィン・ディアス(レッドソックス傘下AAA)
 じゃない方のエドウィン・ディアス。投手のエドウィン、アレクシス兄弟とは赤の他人。レッドソックス傘下のAAAで内野のユーティリティとして試合に出ている。
26 エマニュエル・リベラ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
 昨季12本塁打を放ち成長を見せた三塁手。今季がメジャー3年目。
31 ビマエル・マシン(フィリーズ傘下AAA)
 守備がうまいアスレチックスの内野手。Machinと綴ってマシンと読む。長打力が無くメジャーでホームランが打てるのか?と思われていたが昨季1本塁打を記録した。
99 ネフタリ・ソト(横浜DeNAベイスターズ)
 今季DeNAで6シーズン目を迎える一塁手。メジャーには2年上がり34試合・打率.071に終わったが、来日してすぐに打棒を発揮。2年連続40本以上を放ちホームラン王になった。セカンドや両翼に就いた時期があったが、基本的には一塁手専任で守備は堅い。
【外野手】
14 ヘンリー・ラモス(レッズ傘下AAA)
 昨季KBO(韓国プロ野球)を経験後マイナーに戻ってきた外野手。プロ入り後5球団目となるダイヤモンドバックスで初めてメジャー昇格を果たすも21年オフにDFA。22年はKBO(韓国プロ野球)入りしたがケガですぐに退団した。
 弟のエリオット・ラモスの方が期待されているが今回代表入りしなかった。
17 エディ・ロサリオ(アトランタ・ブレーブス)
 2021年途中に移籍したアトランタ・ブレーブスでワールドシリーズ制覇に貢献した外野手。俊足強肩だが外野守備はイマイチ。昨季は眼の不調で手術、途中離脱した。
32 ジョネスウィ・ファーガス(FA)
 2021年にメジャー初昇格を果たした外野手。21年はメッツのレギュラー陣に故障者が続出した年で、ブランドン・ニモの故障離脱の代わりに入ったケビン・ピラーが顔面にデッドボールを受け、代役の代役でメジャー昇格。だが、ファーガスも7試合目の外野守備中にフェンスに激突して故障離脱してしまった。
 俊足とそれを活かした外野守備が魅力。19年にAAで50盗塁、昨季もAAAで76試合ながら28盗塁を記録している。
40 ネルソン・ベラスケス(シカゴ・カブス)
 昨季メジャーデビューした長打が打てる若手外野手。一昨年のアリゾナ秋季リーグでMVPを獲得する大活躍をみせ、昨季のメジャーデビューに繋げた。今季のブレイク候補。
【監督・主なコーチ】
監督 ヤディア・モリーナ
 昨季限りで現役を退いたカージナルス一筋のレジェンド捕手。予定通り引退後に今回のWBCプエルトリコ代表監督に就任した。殿堂入り間違いなし。
打撃コーチ補佐 ホアン・ゴンザレス
 1990年代に活躍したMLB通算434本塁打のスラッガー。MVP2回、ホームラン王2回、打点王1回、オールスター選出6回の輝かしい実績を残した一方、所属チームと揉めたりステロイド疑惑が付きまとったりと問題児のイメージが強かった。19年のプレミア12では代表監督を務めた。
ベンチコーチ アレックス・シントロン
 2006年のWBCプエルトリコ代表経験者の元遊撃手。現在はヒューストン・アストロズで打撃コーチを務めている。20年に死球を受けて怒るラモン・ロレアーノに対して母親を侮辱したことで大乱闘を引き起こし、20試合出場停止の厳罰に処された。
一塁ベースコーチ ホゼ・モリーナ
 モリーナ3兄弟の次男。レギュラーにはなかなかなれなかったがバックアップ捕手としては充分な実力があり、39歳になるまでメジャーでプレーした。
【参加できなかった有力選手】
カルロス・コレア(ミネソタ・ツインズ)
 思ったことをすぐに口にしてしまう、良くも悪くも目立つリーグを代表するショート。前回大会ではチームトップの3本塁打・9打点を記録、今回も出る気満々だったが大会期間中に第2子が誕生予定となったため辞退した。
ホゼ・ミランダ(ミネソタ・ツインズ)
 ミネソタ・ツインズの期待の長距離砲。WBCプエルトリコ代表のクリーンナップ候補として名前が挙げられていた。初めてのWBCに本人は出たがっていたが、大会直前に右肩を痛めて出場辞退となった。
ジョー・ヒメネス(アトランタ・ブレーブス)
 100マイルボーラーのリリーフ右腕。昨季腰を痛めたことが影響し参加を希望していなかった。
 実績はあるが昨季故障者リスト入り後にアトランタ・ブレーブスにトレード。厚いブルペン陣に割って入るためには猛アピールが必要。

by【MLB名鑑.com専属コラムニスト】デッドボーラー