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タイラー・ロジャース


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Tyler Rogers (フルネーム/Tyler Scott Rogers)

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1990-12-17生|191cm82kg|リリーフ 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 コロラド州リトルトン

ドラフト/2013年SF10巡目(全体312位)指名

メジャーデビュー/2019-8-27
■選手紹介

メジャー史上10組目の双子メジャーリーガー、ロジャース兄弟の兄。弟のテイラーと見た目はそっくりだがこちらは右投右打。完全なアンダースローなので平均83マイル(134km/h)しか出ないが、強打者を相手に翻弄する。サンフランシスコ・ジャイアンツに欠かせないセットアップマンの地位を築いた。

コロラド州でテイラーより30秒先に生まれたタイラーは高校までを兄弟で通ったあと、大学はカンザス州のコミュニティカレッジからオースティンピー州立大学へ転学。2013年にジャイアンツからドラフト10巡目指名を受けて入団した。

プロ入り後はリリーバーとして好投。これまでのキャリアが地味なためなかなか正当な評価を受けられず、プロスペクトとは見なされなかった。2017~18年には通年トリプルAで2年連続防御率2点台をマークしながらメジャーから呼ばれず、28歳になった2019年にようやくメジャー昇格を果たした。

メジャー1年目は17試合の登板ではあったが防御率1.02といきなり好投。翌年以降もスタットキャストが示すバレル率やハードヒット率といった指標で軒並みメジャートップレベルの数字を継続して残し続け、ジャイアンツ救援陣の最重要投手にまで成長した。

ピッチングはアンダーハンドから平均83マイルのシンカーと73マイルのスライダーをちょうど半々ぐらい投げ分けるツーピッチスタイル。ファストボールはメジャー平均よりちょうど10マイル、スライダーは12マイルも下回るが、逆に打球速度の遅さはメジャー上位2%以内にランクする優秀さだった(2022~23年)。また、なぜか昔から右打者相手の方を苦手にしている。

メジャー昇格までのキャリアでは、双子メジャーリーガーになったことやその特異なピッチングフォームに目が行きがちだったが、続けて結果を残すと段々と優れたリリーバーとして認められるようになっていった。先にブレイクした弟と違って故障耐性があるのも見逃せない。地味な存在だがメジャー最高レベルのリリーバーであることは疑いようがない。

寄稿日:2024-04-03 最終更新日:2024-04-03
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2019 SF  17 2 0 0  1.02 17.2 12  2  0  3 1 16 0.85 5.33

2020 SF  29 3 3 3  4.50 28.0 31 14  2  6 4 27 1.32 4.50

2021 SF  80 7 1 13  2.22 81.0 74 20  5 13 5 55 1.07 4.23


テイラー・ロジャース


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Taylor Rogers (フルネーム/Taylor Allen Rogers)

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1990-12-17生|191cm86kg|リリーフ 左投左打

出身地/アメリカ合衆国 コロラド州リトルトン

ドラフト/2012年MIN11巡目(全体340位)指名

メジャーデビュー/2016-4-14
■選手紹介

メジャー史上10組目の双子メジャーリーガー、ロジャース兄弟の弟。兄のタイラーと見た目はそっくりだがこちらは左投左打のロー・スリークォータースロー。兄より3年先にメジャーデビューし、ミネソタ・ツインズのクローザーに上り詰めたが安定感を欠くシーズンが続く。2023年からサンフランシスコ・ジャイアンツと3年契約を結んだことで、兄弟でダブルセットアッパーを務めることになった。

コロラド州でタイラーとともに誕生し、高校では野球とアメフトで活躍。ケンタッキー大学に進み、兄より1年早くドラフト指名を受け、ツインズに入団した。

2016年の春先にメジャーにコールアップ。デビュー1年目から57試合に登板すると、翌年からセットアップを任され、2019年にはクローザーに抜擢された。しかし、2020年は防御率4点台。パドレスからブリュワーズに移籍した2022年には膝の不調を押して出場した影響から成績が悪化。クローザーとしては信頼が置けないシーズンが続いた。

2022年オフの年末に、タイラーのいるジャイアンツと契約。3年3300万ドルの好待遇で迎え入れられた。絶対的なクローザーのカミロ・ドーバルへのつなぎ役を兄とともに担うことになった。

ピッチングはメジャーデビュー時はシンカーを中心にカーブと時々フォーシームやチェンジアップを投げていたが、今ではスライダーとシンカーの2種類しか使っていない。2020年に成績を落としてからはスライダーに大きく依存するようになり、全投球の半分以上を占めるようになっている。また、そのスライダーも変化量を大きくしたスイーパータイプに改良した。

兄弟で勝ち試合に登板するリリーバーになったが、ロジャース家は消防士の家系。祖父母の代から4代続けて消防士を輩出しているため、野球界でも火消しを仕事にしている、というのが鉄板の持ちネタである。

寄稿日:2024-04-03 最終更新日:2024-04-03
オールスター:1回(21)

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2016 MIN 57 3 1 0  3.96 61.1 63 27  7 16 5 64 1.29 4.00

2017 MIN 69 7 3 0  3.07 55.2 52 19  6 21 3 49 1.31 2.33

2018 MIN 72 1 2 2  2.63 68.1 49 20  3 16 2 75 0.95 4.69

2019 MIN 60 2 4 30  2.61 69.0 58 20  8 11 6 90 1.00 8.18

2020 MIN 21 2 4 9  4.05 20.0 26  9  2  4 1 24 1.50 6.00

2021 MIN 40 2 4 9  3.35 40.1 38 15  4  8 0 59 1.14 7.38


キートン・ウィン


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Keaton Winn (フルネーム/Keaton E. Winn)

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1998-02-20生|193cm108kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 アイオワ州ニューポートコースト

ドラフト/2018年SF5巡目(全体136位)指名

メジャーデビュー/2023-6-13
■選手紹介

アイオワ州のド田舎出身のアスリート投手。プロ入り直後にヒジを痛めたが、トミー・ジョン手術後にパワーアップした球威を手に入れ、メジャーの先発ローテーション定着が狙える位置にたどり着いた。メジャー1年目はスプリッターに頼りがちになり、投球全体の50%を超えた。

高校時代に野球、アメフト、バスケットボールのすべてで代表に選ばれ、陸上競技も200メートルリレーでも州大会で優勝。屈指の身体能力オバケと知られるようになった。ドラフトではサンフランシスコ・ジャイアンツから高卒時、短大時代と2度指名され、2018年に入団した。

2023年6月にメジャーに初めて昇格し、カージナルス戦でリリーフ登板。6回から登板するとリードした状態のまま投げ切ったため、セーブが記録された。長いジャイアンツの歴史を遡っても、デビュー戦でセーブを挙げたジャイアンツの選手はウィンが初めてだった。

また、ウィンの実家の町が田舎すぎてメジャーの試合を観戦したことがなく、この試合が人生で初めてメジャーの球場に足を踏み入れた試合になった。しかも敵地ブッシュスタジアムは実家から250マイル離れているものの、30球団の中では一番距離が近く、家族や友人たち30人が押し寄せ、彼らの前で好投を披露することができた。

ピッチングは平均95~96マイルのフォーシームとスプリットを中心に組み立てる。マイナーではコントロールに優れていた。ただ、先発投手でありながらほぼこの2種類しか使っていないのは苦しく、先発として生きていくためには他の球種を磨いていく必要がありそうだ。

寄稿日:2024-04-02 最終更新日:2024-04-02
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼家族と友人の前でメジャーデビューのキートン・ウィン

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

(~2022年メジャー経験なし)


ローガン・ウェブ


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Logan Webb (フルネーム/Logan T. Webb)

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1996-11-18生|185cm100kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 カリフォルニア州ロッキン

ドラフト/2014年SF4巡目(全体118位)指名

メジャーデビュー/2019-8-17
■選手紹介

ヘビのようにクネクネするシンカーと激しく回転するスライダーが効果抜群の先発右腕。2021年のポストシーズンで好投したあたりからエースの風格が漂い始め、2023年にはサイ・ヤング賞争いでは2位の票を集める大躍進。名実ともにジャイアンツのエースと認められる投手に成長した。

ウェブはオークランドやサンフランシスコと距離が近いサクラメント出身。幼少期から両球団のスタジアムによく連れられて育った。父親がアスレチックスのファンだった影響で、どちらかというとアスレチックス寄りのファンになっていった。2000年代ではティム・ハドソンとボビー・クロスビー、2010年代ではスティーブン・ボートがお気に入りの選手だった。なお、奇しくもウェブのメジャーデビュー時にマスクを被ったのがボートだった。

"2番目に好きなチーム"ジャイアンツに入団後、2019年にメジャーに初昇格。先発ローテの座を争い、3年目の2021年に規定投球回不足ながら11勝3敗・防御率3.03とブレイク。ポストシーズンではドジャースとのディビジョンシリーズの第1戦と5戦に登板。いずれも7回以上を投げて1失点、17個の三振を奪いながら与えた四球はたった1個と完全に支配。ドジャースを相手に投げたウェブは自信に満ち溢れており、彼がジャイアンツのエースになった瞬間がここにあるように見えた。

自身初の開幕投手を務めた2022年は192回1/3を投げて15勝9敗・防御率2.90と向上。翌23年は出だしこそ3連敗したもののすぐに立ち直り、シーズンを11勝13敗・防御率3.25。勝ち星は伸びなかったが投球回数は両リーグ最多の216イニング、与四球率もナ・リーグではNo.1の1.3個と素晴らしい数字を残し、サイ・ヤング賞選考では投球内容を評価されて2位の得票数を集め、リーグを代表する投手に成長した。

ファストボールのシンカーの球速はメジャー平均より遅いが、通常のシンカーボーラーより一回余分にズレるような動きを見せ、バットの芯で捉えるのは難しい。激しい横回転がかかるスライダーとチェンジアップ、すべての球種を狙ったコースに投げ分ける高い制球力を持つ。若くして球速に頼らないピッチングを見せるウェブは、今後長きに渡ってジャイアンツのエースであり続ける。

寄稿日:2024-03-31 最終更新日:2024-03-31
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ディビジョンシリーズ第1戦を抑えたあたりからエースの風格が漂い始めたローガン・ウェブ

▼左翼席に自身唯一のホームランを打ったローガン・ウェブ


※2021年のレギュラーシーズン最終戦でウェブはホーラムンを放っているが、この年限りでナ・リーグは指名打者制度が当面廃止される決定がなされていた。ウェブのこのホーラムンが、投手が記録した最後のホームランになる可能性がある。

▼102球でキャリア初完封を飾るローガン・ウェブ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2019 SF  8 2 3 0  5.22 39.2 44 23  5 14 1 37 1.46 2.64

2020 SF  13 3 4 0  5.47 54.1 61 33  4 24 7 46 1.56 1.92

2021 SF  27 11 3 0  3.03 148.1 128 50  9 36 8 158 1.11 4.39


李 政厚(イ・ジョンフ)


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Jung-Hoo Lee (フルネーム/Jung-Hoo Lee)

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1998-08-20生|185cm87kg|外野手 右投左打

出身地/日本 愛知県名古屋市

プロ入り/2023年12月SF契約

メジャーデビュー/2024/3/28
■選手紹介

かつて中日ドラゴンズでプレーした李鍾範(リー・ジョンボム)を父に持つ韓国の人気外野手。2021年の東京オリンピックや23年のWBCで存在感を示し、日本でもよく知られている。23年オフにポスティングシステムでのメジャー移籍を目指し、サンフランシスコ・ジャイアンツと6年総額1億1300万ドルの大型契約を結んだ。

父ジョンボムが中日在籍時に名古屋で生まれた。帰国後に英才教育を受け、リトルリーグの頃から注目されるアマチュア時代を過ごした。2016年のKBO(韓国プロ野球)のドラフトで旧ネクセン・ヒーローズに入団。1年目からレギュラーで出場し、新人王を皮切りに首位打者、打点王、そしてMVPを獲得。韓国No.1のスター選手に成り上がった。

父親が風の子と呼ばれていたため「風の孫」と呼ばれたが、父親と違う左打ち。プレイヤーとしてはイチローの方が比較対象にふさわしく、また政厚自身もイチローのことを尊敬していた。ジャイアンツでの背番号も51番を選択。母国のファンを少し複雑な気分にさせた。

2023年オフのストーブリーグでは、代理人スコット・ボラスが珍しく苦戦したことが話題に上った。CY賞のブレイク・スネルやジョーダン・モンゴメリー、コディ・ベリンジャーらの交渉が3年契約しか結べなかったが、李は12月のうちに6年の大型契約をゲット。大谷翔平を逃したジャイアンツの"panic buy"だと否定的な声も一部にあり、1年目から李にはリードオフマンとして結果が求められる。

寄稿日:2024-03-31 最終更新日:2024-03-31
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

(~2023年メジャー経験なし)


パトリック・ベイリー


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Patrick Bailey (フルネーム/Patrick Bailey)

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1999-05-29生|183cm95kg|捕手 右投両打

出身地/アメリカ合衆国 ノースカロライナ州グリーンズボロ

ドラフト/2020年SF1巡目(全体13位)指名

メジャーデビュー/2023/5/19
■選手紹介

新人にしてメジャー最高レベルの守備力を発揮したドラフト1巡目捕手。スイッチヒッター。2023年にメジャーデビューするとフレーミングでメジャートップの数字を叩き出し、強肩と素早いポップタイムで牽制刺を何度も記録。ゴールドグラブ賞の次点に選ばれ、たった1年でレギュラーを確実なものとした。

ベイリーは高校生のときから全国区のプレイヤーで、U-18アメリカ代表に選ばれた。地元のノースカロライナ州立大学へ進んでからも、大学のアメリカ代表に2年続けて選出。サンフランシスコ・ジャイアンツに2020年に全体13位で入団。プロ入りするまで野球エリートの道をひた走ってきた。

マイナー最初の階級をシングルA+で過ごし、打撃に大きな課題を残すも守備では22年にマイナーのゴールドグラブを受賞。守備面では最高級の評価をもらっていた。

2023年5月にメジャー昇格すると、6月までOPS.900超えの大当たり。その後急に打てなくなったが、出場試合数・イニング数が少なかったにも関わらずナ・リーグのゴールデングラブ賞にノミネートされた。同賞は、圧倒的な盗塁阻止率を記録していたガブリエル・モレノに軍配が上がったが、実質的にどちらが取ってもおかしくないほどの実力差であった。

2021年にバスター・ポージーが電撃引退して以来、正捕手問題はジャイアンツ有数の課題であった。2018年ドラフト1巡目・全体2位指名のジョーイ・バートが期待に応えられずにいる間、瞬く間にレギュラー奪取に成功。長期化の懸念があったポスト・ポージーの解決は思いのほか目前まできている。

寄稿日:2024-04-01 最終更新日:2024-04-01
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2022年メジャー経験なし)


ライアン・ウォーカー


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Ryan Walker (フルネーム/Ryan Patrick Walker)

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1995-11-26生|188cm91kg|リリーフ 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 ワシントン州アーリントン

ドラフト/2018年SF31巡目(全体916位)指名

メジャーデビュー/2023-5-21
■選手紹介

そんな投げ方で大丈夫?と思ってしまうほど極端なクロスステップ投法が特徴のリリーフ右腕。大学から低評価でプロ入りしたが、コロナ渦を乗り越えて見事にメジャー定着を果たした。球種は曲がりの大きいスライダーと高速シンカーのツーピッチ。

ウォーカーは大学生まで地元のワシントン州で過ごした。ワシントン州立大学では刑事司法の学士号を取得する傍ら、フレッシュマン(1年生)からブルペンの柱として活躍。しかし、ジュニア(3年生)から先発に回るも球威が大幅に低下してしまい、コンバートは失敗に終わる。ドラフト前の2年間の微妙な成績はスカウトの厳しい評価につながり、2018年のドラフトでは31巡目、契約金わずか2500ドルの金額でサンフランシスコ・ジャイアンツに入団することになった。

入団から3年目にコロナパンデミックによりマイナーの全試合が中止にされ、多くのマイナーリーガーと同様に野球以外の職探しを余儀なくされた。鍵屋の仕事に就くと同時に筋力強化を目指し、球団OBのトレーナーに頼み込んで指導を受けるようになった。その生活は毎朝5時に起床してトレーナーの家に足を運び、終わってから1日10時間働く過酷なものだったが、ウォーカーはがむしゃらに1年間こなし続けた。

年は明けてマイナーのシーズン再開が決まると、ウォーカーはシンカーの球速を5マイル(7km/h)もアップさせてフィールドに戻ってきた。ドラフトでの低評価を完全に覆し、マイナーの階級を極めて順調に上がっていく。2023年はオープン戦から猛アピールすると、開幕からトリプルAで防御率0点台を守り続け、5月にメジャー初登板を果たした。

ルーキーイヤーの2023年、ジャイアンツは多くの新人を積極的に起用。その中にはカイル・ハリソン、キートン・ウィン、トリスタン・ベックといった有望株リストの最上位に載っている投手たちも混じっていた。彼らは全員漏れなくマイナーオプションを発動され、必ず1度はマイナーに落とされていたが、ウォーカーだけはシーズン終了まで26人枠を守り続けた。

この年のウォーカーのハードヒット率上位99パーセンタイルをはじめ、多くの指標で非常に優秀な数字を残した。役回りもオープナーを13試合こなし、何度も3イニングを投げ切った。クセのあるタイプであり研究されやすいはずだが、いまやジャイアンツにとって替えの利かない存在に成長したウォーカー。これからも逆境を乗り越え続けるだろう。

寄稿日:2024-03-31 最終更新日:2024-03-31
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼オープナーとして2回2/3を無失点に抑えたライアン・ウォーカー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2023 SF  49 5 3 1  3.23 61.1 61 22  8 24 2 78 1.39 3.25


スティーブン・マッツ


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Steven Matz (フルネーム/Steven Jakob Matz)

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1991-05-29生|188cm91kg|先発 左投右打

出身地/アメリカ合衆国 ニューヨーク州ソトーニーブルック

ドラフト/2009年NYM2巡目(全体72位)指名

メジャーデビュー/2015/6/28
■選手紹介

試合ごとの好不調が激しい左のシンカーボーラー。100球以内で完投したかと思えば1イニング持たずにノックアウトされることもある。ストライクスロワーであり技巧派といえるピッチングスタイルだが、ファストボールの平均球速はメジャー平均を上回る。マイナー時代からケガが多く、2020年以降はロングリリーフでの起用が増えてきている。かつては打撃の良い投手としても知られ、メジャーデビュー戦は3打数3安打4打点。チャンスに代打起用され、勝ち越しタイムリーを打った試合もある。

マッツは祖父の代からメッツファンの両親の間に生まれ、ロングアイランドで育った。8歳から本格的に野球を始め、高校入学時には既に90マイル(145km/h)を投げていた。近隣の中学と高校に在籍していたマーカス・ストローマンとは友人でありライバルでもあり、2人は次第に全国区に名が知られるようになっていった。

高校生の最終学年で好成績を残したマッツは、多くのディビジョンⅠの大学から勧誘を受けたが、希望のメッツがドラフト2巡目で指名したためプロ入りを決意した。Rookie級でプレーする直前にヒジの違和感を訴え、トミー・ジョン手術を受けたことで公式戦出場が遅れたが、マッツの翌年に9巡目で入団してきたジェイコブ・デグロームもトミー・ジョン手術を受けており、二人はリハビリを通じて親友になった。

2015年6月のレッズ戦でメジャーデビュー。7回2/3を2失点で初勝利を挙げ、打撃でも3打数3安打4打点の華々しい活躍を見せた。レギュラーシーズンでは6試合先発・4勝無敗をマーク。ポストシーズンでも先発起用され、ワールドシリーズで登板。通算6試合しか投げていない投手がワールドシリーズで先発するのは35年ぶりの珍しい記録となった。

2016年以降はケガに悩まされ、2020年には30回2/3で14被弾・防御率9.68という最悪の成績でFAとなり、トロント・ブルージェイズに移籍した。ブルージェイズでピッチングを立て直したマッツは、2022年から4年4400万ドルの大型契約でカージナルス入り。実績のある先発投手を必要として、かつ鉄壁の内野陣を誇るカージナルスは、グラウンドボーラーのマッツと相性抜群であるため大きな戦力アップになると思われた。

だがフタを開けてみれば移籍1年目は15試合登板にとどまり防御率5.25。2023年には後半に持ち直したものの、最初の11試合に0勝6敗・防御率5.60と精彩を欠き、ブルペンに配置転換された。マッツは故障さえなければ信頼できる投手であり、無駄な動きのないスムーズな投球フォームで再び輝きを取り戻せるか注目される。

寄稿日:2024-03-30 最終更新日:2024-03-30
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼スティーブン・マッツの衝撃的なデビュー戦

▼99球シャットアウトのスティーブン・マッツ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2015 NYM  6 4 0 0  2.27 35.2 34  9  4 10 1 34 1.23 3.40

2016 NYM 22 9 8 0  3.40 132.1 129 50 14 31 5 129 1.21 4.16

2017 NYM 13 2 7 0  6.08 66.2 83 45 12 19 3 48 1.53 2.53

2018 NYM 30 5 11 0  3.97 154.0 134 68 25 58 10 152 1.25 2.62

2019 NYM 32 11 10 0  4.21 160.1 163 75 27 52 7 153 1.34 2.94

2020 NYM  9 0 5 0  9.68 30.2 42 33 14 10 0 36 1.70 3.60

2021 TOR 29 14 7 0  3.82 150.2 158 64 18 43 6 144 1.33 3.35


ランス・リン


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Lance Lynn (フルネーム/Michael Lance Lynn)

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1987-05-12生|196cm122kg|先発 右投両打

出身地/アメリカ合衆国 インディアナ州インディアナポリス

ドラフト/2008年STL1巡目追補(全体39位)指名

メジャーデビュー/2011/6/2
■選手紹介

7年ぶりに古巣に戻ってきたベテランスターター。キャリアの前半をカージナルスで過ごし、2011年のワールドチャンピオンも経験。6年間で72勝47敗と大きく勝ち越している。2018~23年の間はホワイトソックスなど5球団に所属した。某Youtubeチャンネルでは武闘派として紹介されている。

リンはインディアナポリスで生まれ、ヤンキースファンとして育った。リトルリーグの頃からインディアナ州を代表し、多くの賞を獲得してきた。高校では投打で圧倒し、強豪のミシシッピ大学では投手専任になり単年146個、通算332個の三振を奪い大学記録を塗り替えた。

2008年のドラフト1巡目(全体39位)でカージナルスに入団。カージナルスでは5度の2桁勝利を挙げ、6年間で72勝47敗・防御率3.38とエース格の実績を残した。ただ、それまでの道のりは平坦ではなく、体重管理に苦労して成績を落としかけ、2016年にはトミー・ジョン手術を受けシーズン全休を経験した。

カージナルスをFAとなってからリンは5球団を渡り歩き、どのチームでも先発ローテに入って存在感を示してきた。特にホワイトソックスでプレーした2021年は9年ぶりにオールスターに選出された。

低めの球威ある速球で凡打の山を築くスタイルを持つリンだが、2023年は明らかに衰えが見られた。ホワイトソックスとドジャースで合計32試合に先発し、183回2/3・13勝11敗・防御率5.73・191奪三振。ローテーションは守ったが、両リーグワーストの44被弾、防御率5.73は飛び抜けて酷いキャリアワースト記録であった。Dバックスとの地区シリーズでもプレーオフでは初の1イニング4本塁打を浴び、看過できないレベルの一発病を解決しなければならない。

寄稿日:2024-03-30 最終更新日:2024-03-30
オールスター:2回(12,21)

主な表彰:無し

タイトル:無し

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2011 STL 18 1 1 1  3.12 34.2 25 12  3 11 1 40 1.04 3.64

2012 STL 35 18 7 0  3.78 176.0 168 74 16 64 10 180 1.32 2.81

2013 STL 33 15 10 0  3.97 201.2 189 89 14 76 11 198 1.31 2.61

2014 STL 33 15 10 0  2.74 203.2 185 62 13 72 7 181 1.26 2.51

2015 STL 31 12 11 0  3.03 175.1 172 59 13 68 5 167 1.37 2.46

2017 STL 33 11 8 0  3.43 186.1 151 71 27 78 10 153 1.23 1.96

2018 MIN 20 7 8 0  5.10 102.1 105 58 12 62 6 100 1.63 1.61

2018 NYY 11 3 2 0  4.14 54.1 58 25  2 14 0 61 1.33 4.36

2019 TEX 33 16 11 0  3.67 208.1 195 85 21 59 8 246 1.22 4.17

2020 TEX 13 6 3 0  3.32 84.0 64 31 13 25 6 89 1.06 3.56

2021 CWS 28 11 6 0  2.69 157.0 123 47 18 45 2 176 1.07 3.91


ジオバニー・ガイエゴス


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Giovanny Gallegos (フルネーム/Giovanny Gallegos)

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1991-08-14生|188cm98kg|リリーフ 右投右打

出身地/メキシコ ソノーラ州シウダ・オブレゴン

プロ入り/2011年1月NYY契約

メジャーデビュー/2017-5-12
■選手紹介

ヤンキースでメジャーデビュー後、カージナルスのブルペンを支え続けているメキシコ出身右腕。フライボールピッチャー。WBCメキシコ代表に2大会続けて選ばれている。2023年にはクローザーを務めプールCで活躍するも、決勝ラウンドでは「WBC史上最高の試合」で村上宗隆にサヨナラ2点タイムリーを浴びた。

2012年、20歳の年にヤンキース傘下でプロのキャリアをスタート。当初は先発投手だったがシングルAに昇格したあたりからリリーバーに転向。メジャー初昇格を果たした2017年オフ、ルーク・ボイトとの1対2の交換トレードでカージナルスに移籍した。ボイトは2020年にホームラン王を獲得。ともにカージナルスに来たチェイレン・シュリーブは早い段階でDFAになったが、ガイエゴスは勝ちゲームで起用される投手に成長。最終的にはWIN-WINのトレードであった。

2021年、かねてよりチームの最上位の有望株だったアレックス・レイエスをクローザーに据えていたが、制球がままならない状態が続きガイエゴスをクローザーに固定。リリーフだけで80イニングを投げた。逆に22年はガイエゴスがクローザーとして開幕を迎えるも、セーブ機会20回中14セーブにとどまり、104マイル右腕ライアン・ヘルズリーにその座を奪われた。それでも試合展開を問わず登板を繰り返し、ブルペンの重要な一角であり続けている。

【投球スタイル】
ファストボールの球速はメジャー平均より1マイル速い94マイル。2017年のメジャーデビュー以降、四捨五入すると毎年94マイルをきわめて安定して記録している。クローザータイプの投手ではないが、マイナー時代から与四球率が低く、メジャーでも制球に困る場面はほとんど見られない。変化球はスライダーと2021年あたりから使いだしたチェンジアップ。スライダーは意図してやっているのか不明だが、毎球回転方向がランダムに自転しながら小さく動く、見慣れないボールだ。

なお、2023年からピッチクロックが導入されたが、2022年まではガイエゴスのテンポ(投球間隔の中央値)が長い投手として知られていた。ジョナサン・ロアイシガやケンリー・ジャンセンとともにピッチクロックへの対策が急がれる代表格とされた。特に満塁時のテンポはメジャーで最遅だったが、ガイエゴス自身前向きにとらえてきっちり順応していた。

寄稿日:2024-03-29 最終更新日:2024-03-29
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2017 NYY 16 0 1 0  4.87 20.1 21 11  3  5 0 22 1.28 4.40

2018 NYY  4 0 0 1  4.50 10.0 10  5  2  3 0 10 1.30 3.33

2018 STL  2 0 0 0  0.00  1.1  1  0  0  0 0  2 0.75  ∞

2019 STL 66 3 2 1  2.31 74.0 44 19  9 16 3 93 0.81 5.81

2020 STL 16 2 2 4  3.60 15.0  9  6  1  4 0 21 0.87 5.25

2021 STL 73 6 5 14  3.02 80.1 51 27  6 20 6 95 0.88 4.75