WBC2023(12)アメリカ代表 選手名鑑


▼目次 – アメリカ代表選手一覧
【1.投手】
【2.捕手】
【3.内野手】
【4.外野手】
【5.監督・コーチ】
【6.参加できなかった有力選手】

【投手】
0 アダム・オッタビーノ(ニューヨーク・メッツ)
 フリスビーのように大きく曲がるスライダーを身につけ有名になったベテランリリーバー。これとツーシームを合わせた左右の揺さぶりをピッチングの基本線とする。2009年のWBCではイタリア代表として出場した。国を変えても背番号0は変わらない。
21 カイル・フリーランド(コロラド・ロッキーズ)
 コロラド・ロッキーズの地元出身先発左腕。投手の墓場クアーズフィールドでゴロを量産し弱小投手陣を必死に支えている。2018年に残した17勝7敗・防御率2.85・fWAR7.7の成績は圧巻。昨季は惜しくも2桁勝利を逃したが4年ぶりに規定投球回超えを達成した。
22 ニック・マルティネス(サンディエゴ・パドレス)
 日本ハムとソフトバンクでプレーした、プロ野球ファンにはお馴染みの右投げ投手。クレイトン・カーショウが保険の問題で出られなくなり代替選出された。一昨年の東京オリンピックではアメリカ代表の主戦として奮闘した。
 グループCで先発登板も3回途中5失点と打ち込まれ、その後決勝トーナメントでの登板の見込みが無くなり、アメリカの結果を待たずにパドレスに合流した。
26 アーロン・ループ(ロサンゼルス・エンゼルス)
 左殺しが得意な横手投げ左腕。故障離脱したブルックス・レイリーの代替で同じリリーフ左腕のループが選ばれた。
 2021年にフルシーズン登板し防御率0,95の好成績をマーク。オフに相場より高い2年1700万ドルでエンゼルスと契約した。
29 メリル・ケリー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)
 KBO(韓国プロ野球)で4年プレーした後にメジャー契約を取り付け、先発ローテの座を手にした異色の右腕。球速は平均以下だが変化球のコントロールに長け、昨季は被打率.226と良く抑えた。
33 ランス・リン(シカゴ・ホワイトソックス)
 低めの球威ある速球で凡打の山を築くベテランスターター。キャリアの前半はセントルイス・カージナルスで活躍。退団後は高い与四球率があだとなり成績が下降したが、ストライク先行の投球ができるようになり先発表ローテの投手に返り咲いた。
 大柄な体格で、某Youtubeチャンネルでは武闘派として取り上げられている。
38 デビン・ウィリアムズ(ミルウォーキー・ブリュワーズ)
 ”エアベンダー”の通称のチェンジアップでいつでも三振を奪える球宴リリーバー。昨季シーズン中のジョシュ・ヘイダー放出によってクローザーに昇格。65試合に登板し防御率1.93の好成績を収めたが、地区優勝の美酒に酔いすぎて壁パンチ→骨折の失態を演じてしまった。
39 マイルズ・マイコラス(セントルイス・カージナルス)
 元読売ジャイアンツ所属で、メジャー復帰後に18勝を挙げた先発投手。コンディション不良のシーズンがあったが、昨季200イニング超を投げ防御率3.29と復調した。本人より美人妻のことばかりを取り上げる日本のメディアに喝。
47 ジェイソン・アダム(タンパベイ・レイズ)
 メジャー5年目の昨季ようやく定着できたリリーフ右腕。4球団目のレイズで魔改造されスライダー投手に変貌。67試合・防御率1.56と大ブレイクした。
49 ケンドール・グレイブマン(シカゴ・ホワイトソックス)
 160km/hに迫る高速シンカーで押すグラウンドボーラー。現在はホワイトソックスでセットアップマンを担い、緊急時にはクローザーもできる。
 かつてはスターターで2ケタ勝利を記録したシーズンがあるが、首にできた腫瘍の影響でリリーバーに転向している。
50 アダム・ウェインライト(セントルイス・カージナルス)
 今シーズンを最後に引退を表明しているカージナルスのベテラン先発投手。通算195勝、最多勝2回、オールスター選出3回、ゴールドグラブ2度、シルバースラッガー賞1度。
 サイ・ヤング賞をとってもおかしくない年が4度あったが巡り合わせが悪く受賞できなかった。特にティム・リンスカム、同僚のクリス・カーペンターとの三つ巴になった2009年のサイ・ヤング賞では僅差で3位に、トレバー・ホフマン以来2人目の”最も多く1位票を集めながらサイ・ヤング賞を逃した”投手になった。
51 ブレイディ・シンガー(カンザスシティ・ロイヤルズ)
 フロリダ大学時代に抜群の実績を上げ、鳴り物入りでプロ入りした若きエース候補。貧打のロイヤルズで負けが込む苦しいシーズンが続いたが、昨季ついにブレイクした。
 キレよく動く高速シンカーを軸にスライダーを混ぜるゴロ打たせ系のピッチングスタイル。制球力も毎年良くなっている。
52 ダニエル・バード(コロラド・ロッキーズ)
 イップスを克服して7年越しにメジャー復帰を果たして話題になったクローザー。ただ今大会ベネズエラとの準々決勝ではホゼ・アルトゥーベにぶつけ骨折させ、その後もストライクが入らず無死満塁にして降板。その後が心配される。
53 デービッド・ベドナー(ピッツバーグ・パイレーツ)
 パイレーツのブルペンを支えるリリーバー。持ち球は100マイルに達するファストボールとスプリッターやカーブも、スライダー使いの弟ウィルの方が先に有名になってしまった。トレードの噂が絶えない。
55 ライアン・プレスリー(ヒューストン・アストロズ)
 アストロズの守護神。回転数の高いカーブに着目したアストロズに拾われハイレベルな投手に生まれ変わった。アメリカ代表でもクローザーに起用され世界一を目指す。
【捕手】
10 J.T.リアルミュート(フィラデルフィア・フィリーズ)
 5ツールに優れた異能のキャッチャー。昨季20-20達成。オールMLBの1stチームにも選出され、メジャーNo.1キャッチャーの名を欲しいままにしている。
16 ウィル・スミス(ロサンゼルス・ドジャース)
 銀河系集団のドジャースのレギュラーを実力で勝ち取った強打好守のキャッチャー。昨季All MLB 2ndチームに選ばれる活躍だったが代表には1stチームのリアルミュートがおり、出場機会は限られるか。
66 カイル・ヒガシオカ(ニューヨーク・ヤンキース)
 日系4世の守備がうまいヤンキースのキャッチャー。フレーミングやブロッキングが上手く投手陣からの信頼も厚い。
【内野手】
1 ジェフ・マクニール(ニューヨーク・メッツ)
 昨季ナ・リーグで首位打者に輝いたシュアな打撃のユーティリティ。本職はセカンドで、過去に同僚のフランシスコ・リンドーアと連携をめぐって揉めたが、昨季は劇的に改善し攻守に充実したシーズンを過ごした。
7 ティム・アンダーソン(シカゴ・ホワイトソックス)
 毎年打率3割以上をマークし続けているショートストップ。早打ち。昨季はケガで稼働率は半分程度に終わり、プレー以外ではジョシュ・ドナルドソン(ヤンキース)からジャッキーと呼ばれ激怒。人種差別の点で問題になりドナルドソンは謝罪に追い込まれた。
8 トレイ・ターナー(フィラデルフィア・フィリーズ)
 2021年にナ・リーグ首位打者と盗塁王の二冠の遊撃手。大卒でドラフト1巡目指名も当初は非力さを懸念されていたが、いまや長打も打てる非の打ち所の無いショートに成長した。
15 ボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)
 将来のスーパースター候補。昨季なかば我慢するような形で起用され150試合に出場。攻守に課題が見つかり今季は成長した姿を見せたい。
 親子メジャーリーガーで父は通算142勝のスターター。
20 ピート・アロンソ(ニューヨーク・メッツ)
 白熊の愛称で人気のホームランアーチスト。新人王の大穴候補だった2019年にルーキーのホームラン記録を大きく塗り替える53本塁打を放った。
 球宴前のホームラン競争の賞金額が激増して以来2度優勝している。
28 ノーラン・アレナド(セントルイス・カージナルス)
 2013・17年に続く3回目のWBCとなる、メジャー最高の三塁手。昨季ロッキーズから移籍。優等生タイプが多いカージナルスの中でアレナドの熱いプレイスタイルが上手くはまった。今シーズンは10年連続ゴールドグラブが掛かっている。
46 ポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カージナルス)
 球宴7回、ゴールドグラブ4度、シルバースラッガー5度のトップクラスの成績を残し続ける一塁手。昨季は三冠王を狙えるほどの活躍が続き4年ぶりの球宴出場、最終的にOPS.981はナ・リーグトップだった。昨季終了時点までに積み上げたrWARは58.5もある。前回のWBC優勝メンバー。
【外野手】
3 ムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)
 レッドソックス時代にシーズンMVPを受賞、現在ドジャースで変わらぬハイレベルなプレーをし続ける人気外野手。ホームラン数はキャリアハイの35本、DRS+15の好成績でゴールドグラブ、シルバースラッガーをダブル受賞。
12 カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)
 昨季のナ・リーグのホームラン&三振王。守備走塁はまったくダメだがそれを補って余りある破壊的な打撃力を持つ。
27 マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)
 日本人にもお馴染みのトラウト。今大会のアメリカ代表メンバー召集の立役者。
 昨季ホームラン王は逃したが119試合で40本を放り込んだ。
30 カイル・タッカー(ヒューストン・アストロズ)
 アストロズの不動のレフト。2年連続30本塁打、ゴールドグラブを初受賞し攻守両面で結果を残している。トラウトやベッツに比べるとネームバリューは弱いが、決して能力的には劣っていない。
31 セドリック・ムリンズ(ボルティモア・オリオールズ)
 小柄で俊足・好守の中堅手。2021年に30-30を達成したが昨季は成績を落とし、WBCでは控えの扱いを受けることが濃厚。
【監督・主なコーチ】
監督 マーク・デローサ
 昨年WBCアメリカ代表監督に就任が決まった48歳の監督。WBC2009年大会の選手で、キャリアハイは08年の打率.285・21本塁打・87打点。そのほかのシーズンはレギュラーらしいシーズンが無かったが、本職のセカンド以外に外野も含め様々なポジションをこなすユーティリティだった。
 指導者歴がないのが不安。直近では大谷マニアのベン・バーランダー氏とテレビ番組の司会をしていた。
ベンチコーチ ブライアン・マッキャン
 わりと最近までプレイヤーだった39歳の元捕手。ジョージア州の産まれでジョン・スモルツのファンとして育ち、アトランタ・ブレーブスで活躍し最後もブレーブスに在籍して引退した。
 現役時代は守備がうまいイメージがあったが守備指標はキャリアを通じて悪い、捕手版ジーターだった。
投手コーチ アンディ・ペティット
 ニューヨーク・ヤンキースの”コア4”の1人。通算256勝やポストシーズン歴代最多の19勝など輝かしい実績の一方、禁止薬物のスキャンダルが暗い影を落としている。盟友だったロジャー・クレメンスとも疎遠に。
打撃コーチ ケン・グリフィーJr.
 イチローが憧れていたレジェンド外野手。通算630本塁打、親子2者連続本塁打など数々の偉業を成し遂げ、2016年に史上最多得票率(当時)で野球殿堂入りを果たしている。
【参加できなかった有力選手】
ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)
 説明不要のスーパースター。トラウトに誘われ参加するつもりでいたが、昨オフにトミー・ジョン手術を受ける決断をしたため出場できなくなった。次回大会ではぜひ参加を。
ローガン・ウェブ (サンフランシスコ・ジャイアンツ)
 一昨年のポストシーズンで好投、エースの風格が出てきた若き先発右腕。今年初めまでは出場する方向だったが翻意し、ジャイアンツでのプレーに専念する意向が伝えられた。
ネスター・コルテスJr.(ニューヨーク・ヤンキース)
 幻惑投法で話題を攫った技巧派左腕。春季キャンプ中に故障してしまい止む無く事態となった。
クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)
 将来殿堂入り確実なドジャースのレジェンド左腕。早くからWBC出場を楽しみにしてきたが、保険の問題で出場が難しい状況に。本人は不満を表明した。
ジェイコブ・デグローム、マックス・シャーザー、ジャスティン・バーランダー、コルビン・バーンズ、ゲリット・コール、シェーン・ビーバー、カルロス・ロドンらエース級
 いずれも不参加。

by【MLB名鑑.com専属コラムニスト】デッドボーラー