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ブライソン・ストット


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Bryson Stott (フルネーム/Bryson Jeremy Stott)

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1997-10-06生|191cm91kg|二塁手、遊撃手 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 ネバダ州ラスベガス

ドラフト/2019年PHI1巡目(全体14位)指名

メジャーデビュー/2022-4-8
■選手紹介

走攻守に高い能力を発揮しているフィリーズの正二塁手。2019年にスター候補生として期待を受けてドラフト1巡目指名で入団し、メジャーデビュー年の2022年にスタメンの座を掴んだ。アマチュア時代からショートを守ってきたが、チームがトレイ・ターナーを大型契約で受け入れたためセカンドに回ってフィリーズをけん引する。近い将来WBCやオリンピックのアメリカ代表でもターナーとの二遊間コンビが見られるかもしれない。

ストットはラスベガスで生まれ、地元の高校から大学もラスベガス大学へ進学。3年間に渡って安定した成績を収め、2019年ドラフトで同大からはエリック・フェッディ以来5年ぶりに1巡目指名を受けた。また、フィリーズが1巡目に"大学生のショート"を指名したのはストットが初めてであった。

高度なアプローチ能力と広角打法はプロに入っても変わらなかった。2021年にマイナーのレギュラーシーズンとアリゾナ秋季リーグで好成績を残し、実戦1年目にしてデーブ・ドンブロウスキー編成本部長から「メジャーリーグのロースターでのスポットを獲得しようとする気持ちで(来年の)春季トレーニングに臨むように」と言葉をかけられた。翌年の春季トレーニングで見事に結果を残し、周囲の期待通り早い段階でのメジャーデビューを果たした。

デビュー後すぐは凡退が続き1度マイナーへ行ったが、夏場になると持ち前のアプローチ能力を発揮。空振りが少なくなり、打ち取りにくい打者へと成長を遂げた。翌2023年の夏場にはMLB公式サイトが組んだ特集記事"予想を上回る選手8人"のうちの1人に取り上げられ、フィリーズでの立場を確固たるものにした。

【プレーヤーとしての特徴】
空振りが少ない。足が速い。セカンドの守備範囲は極めて広い。平凡と思われている長打力もメジャー2年目は10→15本へ増加させた。また、速球よりもブレイキングボールを得意としている。守備はデビューイヤーはショートのほかセカンドとサードで出場。打球処理は評判通りもショートでの送球エラーが多く、平凡な守備指標の要因となっていた。2023年はターナーの加入によりセカンドに固定され、送球ミスが大幅に減ったことでゴールドグラブのファイナリストになっている(23/10/21時点では受賞者未発表)。

【その他】
前述のように生まれてから大学卒業までを一貫してラスベガスで過ごした正真正銘のベガスっ子であるが、高校卒業後はネバダ州外の大学に行こうと考えていたそうだ。だが両親がラスベガス大を強く勧めたことに加え、実際にキャンパスと練習場を訪れてから心境が変わり、自らの意思でラスベガス大進学を選択した。なお、両親ともにラスベガス大出身で、父親はアメフトのレギュラーでクォーターバックを務め、母親はチアリーダーをやっていた。

また、同郷のブライス・ハーパーとの絆は割と知られているが、それ以上にリリーフ左腕のアミール・ギャレットととても仲が良い。狂犬タイプのギャレットとの組み合わせは意外に思えるが、兄のブレナン・ストットと中学校の同級生で親友だった関係でブライソンとも仲が良く、ギャレットも"弟のように"接している。ブライソンの高校時代には、コーチがギャレットと昔チームメイトだった縁でギャレットが野球部をサポートしていたこともあった。

寄稿日:2023-10-24 最終更新日:2023-10-24
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ディビジョンシリーズで試合を決定づける満塁ホームランを放つブライソン・ストット

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2021年メジャー経験なし)


オリオン・カーカリング


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Orion Kerkering (フルネーム/Richard Orion Kerkering)

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2001-04-04生|188cm93kg|リリーフ 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 カリフォルニア州ハンティントンビーチ

ドラフト/2022年PHI5巡目(全体152位)指名

メジャーデビュー/2023-9-24
■選手紹介

異例とも言える早さでメジャーに昇格した将来のクローザー候補。2022年ドラフト5巡目の入団で、翌年は開幕のシングルAからA+→AA→AAA→メジャーと4階級を一気に駆け上がった。ポストシーズン直前の9月下旬にメジャーに初昇格し、3試合投げただけで秘密兵器的な扱いを受けポストシーズンのロースターに登録された。メジャーでもトップクラスとの評価のスイーパーと時々100マイル超を計時するツーシームの2球種だけでどこまで勝負できるか注目される。

カーカリングはカリフォルニア州ハンティントンビーチで生まれ、高校卒業後は南フロリダ大学へと進んで3年間を過ごした。ソフモア(2年生)からリリーフ専任となりチームのクローザーを任されるようになった。2022年にフィラデルフィア・フィリーズから5巡目を受けて入団した。

入団したての頃のファストボールは93~94マイルだったものが、翌2023年には平均97マイル超と急成長。100マイルを超す球も計時するようになり、メジャートップ級のスイーパーとのコンビネーションはマイナーでは敵なしとなった。開幕時のシングルAからA+、AA、AAAを経て類を見ない速さでメジャーに到達した。特にAAAではたった1試合の出場のみでメジャーに引き上げられている。

100マイルに迫るツーシームとスイーパーのツーピッチであるが、カーカリングの良さは球速や変化量といった表面的な数字のみに留まらない。パワータイプの投手には欠けがちな制球力を合わせ持ち、コーチ陣からはフィジカル・メンタル両面を認められている。マイナーでの与四球率は1.9と極めて優秀で、メジャーでもコマンドを乱さなければ球種を増やすことなくメジャーで投げ続けていけそうだ。

【その他】
カーカリングの叔父に球団とコネがあったため、チケットを買ってもらい2022年のワールドシリーズを客席から見ることができた。その時本人は2、3年後にメジャーのマウンドで投げる姿を想像していたそうだ。

フルネームはリチャード・オリオン・カーカリングだが、3世代続けてファーストネームがリチャードのため(祖父がリチャード・ジョン、父がリチャード・トッド)、常にミドルネームで呼ばれてきた。そのおかげ(?)で、名と姓の両方とも初めてのメジャーリーガーとなった。名前が"オリオン"の選手は過去にマイナーリーグに数名だけ存在し、"カーカリング"はマイナーも含めて1人もいない。

寄稿日:2023-10-24 最終更新日:2023-10-24
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

(~2022年メジャー経験なし)


クリストファー・サンチェス


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Cristopher Sanchez (フルネーム/Cristopher Alexis Sanchez)

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1996-12-12生|185cm75kg|先発 左投左打

出身地/ドミニカ共和国 ラ・ロマーナ州ラ・ロマーナ

プロ入り/2013年7月TB契約

メジャーデビュー/2021-6-6
■選手紹介

92~93マイルのシンカーでゴロアウトを量産するサウスポー。メジャー3年目の2023年にフィリーズの先発5番手の座を勝ち取りプチブレイクした。レイズからトレードで来たときの交換要員が釣り合っていない、などとファンから批判を浴びる雌伏の時を過ごしたが、実力で批判を賞賛へと変えたのは立派だ。趣味は釣り。

サンチェスは2013年7月にタンパベイ・レイズと契約し、母国で行われるドミニカン・サマーリーグで3年間過ごした。アメリカに渡って更に3年過ごすもマイナー上部では結果を残せず、19年オフに豪州出身のカーティス・ミードと交換トレードでフィラデルフィア・フィリーズに移籍した。このトレードには疑問の声が聞かれ、移籍後にミードがルーキーリーグで好成績を上げたことで余計にファンから批判が上がっていた。

2021年4月と5月にメジャー昇格を果たすも不出場のままマイナーに戻され、6月にようやくメジャーデビュー。1回1/3を無失点で抑えたがまたマイナーに落とされ、同年は計4回メジャーとマイナー間を行き来した。翌22年はもっと酷いを扱いを受け、6度も往復させられた。

2023年にようやくチャンスが到来する。フィリーズ先発投手陣のザック・ウィーラー、アーロン・ノラ、レンジャー・スアレス、タイワン・ウォーカーに続く5番手をベイリー・ファルターと争うことに。ファルターはサンチェスと同じ年齢、同じ左腕ながら前年数試合の先発で好投した実績があり優勢とみられていたが、スプリングトレーニングのパフォーマンスが良かったサンチェスが5番手の座を勝ち取った。レギュラーシーズンに入るとコントロールが大幅に改善し、規定投球回には達しなかったがメジャートップクラスの与四球率とゴロ率を記録。プチブレイクと言える好成績を残した。

【投球内容】
サイドスローに近いロー・スリークォーターからクロスステップ気味に投げ、さらに球持ちが非常に良いため打ちにくそうな印象を受ける。速球は92~93マイルのシンカーで、コントロールを重視しマイナー時代より球速を抑え気味にしている。また、横に滑るチェンジアップとVスライダーもミックスし、3球種すべてピンポイントに投げるハイレベルな制球力を持っている。2023年はメジャー最上位レベルである60%台のゴロ率を誇った。

寄稿日:2023-10-21 最終更新日:2023-10-21
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2021 PHI  7 1 0 0  4.97 12.2 16  7  1  7 0 13 1.82 1.86


セランソニー・ドミンゲス


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Seranthony Dominguez (フルネーム/Seranthony Ambioris Dominguez)

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1994-11-25生|185cm102kg|リリーフ 右投右打

出身地/ドミニカ共和国 バルベルデ州エスペランザ

プロ入り/2011年10月PHI契約

メジャーデビュー/2018-5-7
■選手紹介

ヒジの故障を乗り越えブルペンを支える投手に成長したパワーピッチャー。平均97~98マイルの豪速球に自信を持つ。2022年のシーズン途中に勝ちパターンで起用され活躍、フィリーズの"下剋上"リーグ優勝に大きく貢献した。

【球歴】
ドミニカ共和国のエスペランサにある町で生まれたドミンゲス。セランソニーという珍しいファーストネームは「どこから来たのか分からないが、たぶん両親がテレビで聞いた何かじゃないかな」と過去に本人が語っている。なお、2人いる自分の息子にはオーソドックスな名前を付けている(サイモンとサンダー)。

2011年10月にフィラデルフィア・フィリーズと2万5千ドルで契約し、ドミニカン・サマーリーグで2年投げてから渡米した。当時は先発投手として順調にマイナーリーグの階級を上がっていたが、時折肩やヒジの故障で離脱することが多かった。そのため、2017年オフにメジャー40人枠に登録された際、リリーバーへの転向を命じられた。2018年は初めてのAAで成功を収め、AAAでも圧倒的なピッチングを見せたドミンゲスは、5月上旬にはメジャーにコールアップされて即登板となった。

デビューしてからのドミンゲスは凄まじかった。初登板の1イニングを打者3人で打ち取ると、6試合続けて無安打のまま無失点に抑える。これはメジャー初の快挙だった。続く7試合目で初めてヒットを許すも点は許さず、12試合連続無失点の記録を作った。その間に出塁を許したのはヒット2本とデッドボール1つだけで、無四球で達成したものだった。最終的に防御率2.95・16セーブと14ホールドを挙げ、奪三振率とゴロ率でともにメジャー全体でもトップクラスの素晴らしい投球内容だった。新人にしてフィリーズブルペンの柱となったシーズンだった。

しかし、翌2019年は前年よりパフォーマンスが下降し、後半になり右肘に痛みが出て戦線を離脱した。負傷者リスト入りしてから1年以上経っても復帰の目途が立たず、結局トミー・ジョン手術を回避することはできなかった。

2022年になると故障が癒え、再びフィリーズのブルペンに戻った。特にシーズン中盤にジラルディ監督の解任後、監督代行を務めたロブ・トムソンが真っ先に手を付けたのがブルペン陣の運用方法だった。クローザーの地位をドミンゲスやホゼ・アルバラードに与え、相手打線との兼ね合いで柔軟な投手起用をする方針に転換すると、彼らはポテンシャルに見合った成績を残すようになった。

【投手としての特徴】
身長6.1インチ(約185cm)と上背は大きくないものの強靭な足腰を持ち、ファストボールはしばしば100マイル超を計時する。制球力はマイナー時代からコマンドが課題とされており、今でもコーナーを突くというよりストライクゾーンに大雑把に投げ込んでいるように見える。

球種はマイナーで先発をしていたときは4球種を使えるテイであったが、実際はフォーシームとスライダーのほぼツーピッチだった(他にチェンジアップとカーブが投げられるテイになっていた)。メジャー昇格後もしばらくはチェンジアップを投げるのをためらい、左打者にはフォーシームを狙われボコボコに打たれていた。現在はチェンジアップに加えてシンカーを織り交ぜており、対左の被打率はだいぶマシになった。速球系の球速が落ちてくる前にチェンジアップの精度を高め、息の長いリリーバーとして活躍できることを期待している。

寄稿日:2023-10-21 最終更新日:2023-10-21
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2018 PHI 53 2 5 16  2.95 58.0 32 19  4 22 4 74 0.93 3.36

2019 PHI 27 3 0 0  4.01 24.2 24 11  3 12 1 29 1.46 2.42

2021 PHI  1 0 0 0  0.00  1.0  0  0  0  0 0  1 0.00  ∞


ヨハン・ロハス


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Johan Rojas (フルネーム/Johan Stiven Rojas)

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2000-08-14生|180cm75kg|外野手 右投右打

出身地/ドミニカ共和国 ドゥアルテ州サン・フランシスコ・デ・マコリス

プロ入り/2018年1月PHI契約

メジャーデビュー/2023-7-15
■選手紹介

ゴールドグラブ級の外野守備とスピードが魅力の中堅手。守備は申し分ないけどバッティングが… というタイプも、スイング改良を経てメジャー1年目の打率を3割台に乗せた。メジャーでも大事な場面でファインプレーを連発しており、今後の打撃面での成長しだいで不動のセンターに君臨できるかもしれない。

ドミニカ共和国生まれのロハスは17歳の時に国際FAでフィラデルフィア・フィリーズと契約。当時の国際FAは7月解禁だったがなかなか契約を取り付けず、2018年1月まで決まらなかったうえに契約金はたった1万ドルに過ぎなかった。

しかし契約してすぐにドミニカン・サマーリーグで打率.320を残して以降、打撃が課題と言われる割には及第点のスタッツを残す。新型コロナによる2020年のマイナーリーグ中止を挟みながらも躓くことなくマイナー階級を上がっていった。22年途中に昇格したAAレディングで打撃コーチとともに重点的にスイング改良に着手すると、結果はすぐに表れた。オフのアリゾナ秋季リーグで打率.310・OPS.875、翌シーズンのAAでも打率.306・OPS.845をマークし打撃のレベルアップを印象付けることに成功。7月にAAAを飛び越えてメジャーにコールアップされ、得意の守備・走塁をそのままに打撃でも大検討。フィリーズの2年連続ポストシーズン進出を延長10回サヨナラタイムリーで決め、自身のレギュラーシーズンを打率.302で終えた。

ロハスのスピードと外野守備は入団時から高評価で、トップクラスの強肩も併せ持つ。課題のバッティングは打球がゴロになりやすく、アプローチに問題ありとみられていたがAAとメジャーでは期待以上の結果を出している。フィリーズの有望株ランクの上位に食い込んできていたが、チームは似たタイプでもっと期待値が高かったクリスチャン・パチェを獲得したことでロハスがトレードチップになる線が濃厚だったが、放出される前にメジャー定着を果たし、パチェと立ち位置を完全に逆転させている。

寄稿日:2023-10-17 最終更新日:2023-10-17
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2022年メジャー経験なし)


アレック・ボーム


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Alec Bohm (フルネーム/Alec Daniel Bohm)

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1996-08-03生|196cm99kg|三塁手、一塁手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 ネブラスカ州オマハ

ドラフト/2018年PHI1巡目(全体3位)指名

メジャーデビュー/2020-8-13
■選手紹介

打撃は良いがサードの守備に難があるフィリーズの若手三塁手。2018年ドラフト全体3位指名。球団とファンからの高い期待を背負い、時に攻守で不振に喘ぎ、時に熱狂的なファンの反応に心を乱しながらもなんとかレギュラーを死守している。学生の頃から空振りすることをひどく嫌がっている。

【球歴】
ボームの出身地はカレッジワールドシリーズ開催の地でもあるネブラスカ州オマハ。高校時代から強打の内野手として知られ、卒業前の2年間はそれぞれ打率.533と.526のハイアベレージをマークし、2年連続してオールネブラスカ1stチーム選出の実績を残した。にもかかわらず最終学年のドラフトではどの球団からも敬遠され、本人にとって予想外の指名漏れとなった。当時彼はいわゆる成長期の真っ只中で、精神的にも肉体的にも不安定との評判が立ってしまったのが原因だった。

その評判から、希望していたネブラスカ大学の奨学金も得ることができなかった。ネブラスカ州No.1高校生は地元の強豪大学に入り損ねたが、一方で熱心な勧誘を受けていた隣の州にキャンパスを置くウィチタ州立大学へ進学することを決めた。

進学を決める前180cmほどだった身長は大学に入る頃には現在の6'5ft(196cm)と急激に成長していた。フレッシュマン(1年生)になったボームは公式戦初打席でいきなりホームランを放つと、シーズンを通して打棒を振るい新人オールアメリカ1stチームに選ばれた。決して強豪ではないウィチタ州立大だったが振り返るとボームの学年だけは黄金世代だった。投手にはボームより先にメジャーデビューしたコディ・ホイヤーがいて、野手はリードオフマンのルーク・リッター、2番にグレイソン・ジェニスタ、3番ボームと1年生だけで上位打線を組んでいた。とりわけ、のちにドラフト2巡目でプロ入りすることになるジェニスタとのコンビは"バッシュ・ブラザーズ"と呼ばれるほど他校から恐れられた。

ソフモア(2年生)に少しだけ"2年目のジンクス"的な短いスランプがあったものの打率を3割台に戻し、サマーリーグでも変わらぬ猛打を続けた。この頃には全米レベルで注目される選手になっていた。ウィチタ州立大での3年間で166試合・打率.317・33本塁打・126打点の堂々たる成績を残した。最終年でのサードの守備率.899は玉にキズではあったが…

フィラデルフィア・フィリーズに全体3位で入団したボームは、初年度は脛にデッドボールを受けての離脱があったが順調にマイナーを駆け上がり、翌2019年にはフューチャーズゲーム(マイナーのオールスター)に出場。コロナでマイナーリーグ中断のなか2020年8月にメジャー昇格を果たし、規定打席未満ではあったが打率.338と得点圏打率はMLBトップの.452をマークし、デビン・ウィリアムズに次ぐ新人王投票2位となった。

2021年にしっかり2年目のジンクスに嵌り、マイナー降格を経験。ホームランが少ないことを気にして長打狙いになり、ボール球にことごとく手が出てしまった。3年目の22年には守備で低迷。多くのエラーを犯し、ナーバスになっていたボームはイージーゴロを処理しただけで喜ぶフィリーズファンの声援を皮肉と捉え、「ここは大嫌いだ」と言ったとされる話題を作ってしまった。それでも打撃は復調し、ジョシュ・ヘイダーに同点ホームランを浴びせてあと1イニングに迫っていた連続無失点のメジャー記録を途切れさせ、初めてのワールドシリーズでは同シリーズ通算1000本目となるホームランを記録するなど随所に爪痕を残した。2023年にはオフの筋肉増量に努めた成果か20本塁打に到達した。

【プレーヤーとしての特徴】
打撃面では、ホームランはレフト方向が多いがインフィールドの打球は広角に飛ばしている。また、あまり苦手な球種がない。強いて言えばツーシームやカットボールの速球系に打ち取られる傾向が若干見られる程度でこの点は強みと言える。その影響かチャンスで高打率を残しているのも見逃せない。初打席でいつも結果を残してきていて、大学時代はホームラン、マイナーは三塁打、メジャーでは二塁打を初打席で記録している。守備走塁に関しては前述の通りサードの守備はかなり悪いだけでなく、足が速くないうえに走塁技術もひどい。

また、メジャーデビューの前から慈善活動を積極的に行っていて、メジャー2年目にして2021年のロベルト・クレメンテ賞にノミネートされている。

寄稿日:2023-10-17 最終更新日:2023-10-17
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2020 PHI 44 160  54 11 0  4 23 16 2 36  1 .338 .400 .481

2021 PHI 115 380  94 15 0  7 47 31 2 111  4 .247 .305 .342


カイル・シュワーバー


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Kyle Schwarber (フルネーム/Kyle Joseph Schwarber)

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1993-03-05生|183cm104kg|左翼手、指名打者 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 オハイオ州ミドルタウン

ドラフト/2014年CHC1巡目(全体4位)指名

メジャーデビュー/2015-6-16
■選手紹介

アダム・ダンを超える極端な打撃成績を残すメジャー屈指のスラッガー。2022年に打率.218ながら46本塁打を放って自身初のホームラン王に輝くと、翌23年はさらに打率を下げ.197となるもキャリア最多の47本塁打・104打点・126四球・215三振とスタッツを進化?させた。2010年にマーク・レイノルズ(三振のメジャー記録を更新したことがある大型扇風機として知られていた)がマークした打率.198・32本を大きく超える、"打率2割未満の最多本塁打"記録となった。また、シーズン100打点を打率2割未満で達成したのもメジャー初の珍記録だった。2023年WBCアメリカ代表としてプレーし、決勝でダルビッシュ有からホームランを放った。

【球歴】
シュワーバーはオハイオ州生まれのためシンシナティ・レッズファンとして育った。地元ミドルタウンの高校に通い、野球とアメフトをこなすアスリートだった。野球では高校通算18本塁打・打率.408、アメフトでもラインバッカーとしてオールオハイオ2ndチームに選出されるなど実績を残したが、ドラフトで指名されなかった。進学したインディアナ大学ブルーミントン校でキャッチャーと外野手を務め、打撃で大きな成功を収めた。入学してすぐにレギュラー入りすると、ソフモア(2年生)の時にOPS1.102をマークして"インディアナ・ホージャーズ"を初めてカレッジワールドシリーズに導く。自身はこの年全米大学野球記者協会からオールアメリカの1stチームに、また翌年のジュニア(3年生)ではOPS1.124でジョニー・ベンチ・アワードの最終選考選手に選ばれる大活躍を見せた。

2014年のドラフトで全体4位指名を受けてシカゴ・カブスに入団。翌15年までにマイナーすべての階級で打率3割・OPS.950超えの猛打を振るい、同年6月にメジャーリーグデビューを果たした。

デビュー2年目の2016年の開幕カード3戦目、レフトの守備に就きフライを追った際に味方と衝突するアクシデントによって左ひざを故障した。前十字靭帯と外側側副靭帯を断裂しており、レギュラーシーズンを全休する大ケガだった。復帰は翌シーズンになると思われたがカブスは躍進し71年ぶりにワールドシリーズに進出。シュワーバーをロースター入りさせると打率.412・OPS.971を記録してビリー・ゴートの呪いを解いた。なお、この年は負傷離脱する前まで無安打だったため、ワールドシリーズでのみヒットを打った史上初めての選手となっている。

2019年に38本塁打の好成績を残したが翌年.188・OPS.701と大不振に終わり、ノンテンダーFAとなってカブスを追われた。FAイヤーでもあった21年は単年契約を結びナショナルズ入り。6月に入るとシュワーバーのバットは火を噴き、同月は月間16本塁打をマーク。7月はケガのため辞退したものの自身初のオールスターに選出され、トレード期限の迫るなかコンテンダーのボストン・レッドソックスにトレードされた。移籍後も好調を維持し、年間を通じての打撃成績は32本塁打・OPSは初めての9割超えとなる.928だった。シーズンオフに4年総額7900万ドルの大型契約を得てフィラデルフィア・フィリーズに入団した。フィリーズでは冒頭の通り2年続けて低打率・40本塁打と期待以上の結果を残している。

全体4位でキャッチャー登録での入団ではあるがプロ入り前から守備面に大きな疑問符を付けられ、メジャー2年目以降はほとんどレフトしか守っていない。外野の守備範囲も非常に狭く本来ならDHで起用したいが、ブライス・ハーパーがトミー・ジョン手術から回復途上のままでの出場のため、多くのイニングで守備に就いた。打撃ではもとは広角打法を評価されていて、長打力はプロ入り前の期待以上に成長した一方、ここまで酷い(極端な)アダム・ダン型になるとは想像できなかった。なお、2022年夏頃から1番打者に起用されるようになっているが、単に四球が多いというだけでなく同じ左打ちのハーパーが3番固定なので連続しないように打順を組んでいる。

【その他】
父親は警察官だが叔父が元マイナーリーガー(最高位はダブルA)。カイル自身は以前から救助隊員に敬意を表し、彼らをサポートする慈善事業を夫婦で積極的に活動している。ロベルト・クレメンテ賞の有力候補であり、2023年は実際にノミネートされた。
2023年のWBCではアメリカ代表としてプレー。前年のナ・リーグ優勝決定シリーズではダルビッシュ有から豪快なホームランを見舞ったが、WBC決勝でもダルビッシュから似たような打球を放ち、侍ジャパンに一矢を報いた。

寄稿日:2023-10-17 最終更新日:2023-10-17
オールスター:2回(21,22)

主な表彰:ALL-MLB 2nd1回(22), シルバースラッガー賞1回(22),

タイトル:ホームラン王1回(22),

▼ダルビッシュから豪快なHRを放つシュワーバー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2015 CHC 69 232  57  6 1 16 43 36 4 77  3 .246 .355 .487

2016 CHC  2  4  0  0 0  0  0  1 0  2  0 .000 .200 .000

2017 CHC 129 422  89 16 1 30 59 59 5 150  1 .211 .315 .467

2018 CHC 137 428 102 14 3 26 61 78 1 140  4 .238 .356 .467

2019 CHC 155 529 132 29 3 38 92 70 5 156  2 .250 .339 .531

2020 CHC 59 191  36  6 0 11 24 30 3 66  1 .188 .308 .393

2021 WSH 72 265  67  9 0 25 53 31 5 88  1 .253 .340 .570

2021 BOS 41 134  39 10 0  7 18 33 1 39  0 .291 .435 .522


ドミニク・キャンゾーン


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Dominic Canzone (フルネーム/Dominic Gene Canzone)

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1997-08-16生|180cm86kg|外野手 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 オハイオ州クリーブランド

ドラフト/2019年ARI8巡目(全体242位)指名

メジャーデビュー/2023-7-8
■選手紹介

ややアッパー気味な打撃フォームが特徴の強打の外野手。速いスイングスピードから強烈な打球を放ち、プロ入り以来マイナーで猛打を振るってきた。2023年7月にメジャーデビューして間もなくシアトル・マリナーズにトレードされ、新天地でのレギュラー獲得を目指す。"カンツォーネ"という表記をするサイトが多くみられる。

オハイオ州クリーブランド出身のキャンゾーンはクリーブランドから近いウォルシュ・ジーサイット高校に通い、野球では投手兼外野手として活躍。ドラフトにはかからなかったもののオールオハイオ賞を受賞し、地元オハイオ州立大学に進学した。

大学では正右翼手としてプレーし、3年間で着実に打撃成績を伸ばした。毎年.320以上の打率を記録しながら、本塁打の数を3→4→16本と長打力を身につけた。また選球眼も向上し、ソフモア(2年生)からは三振を上回る四球を選ぶ成熟ぶりを見せた。

2019年のドラフトでアリゾナ・ダイヤモンドバックスから8巡目指名を受けて、契約金17万ドルで入団した。新型コロナ後の21年をシングルA+で迎えると持ち前の打撃でアピールし、翌年に早くもトリプルAに到達。23年7月のオールスター直前にメジャー初昇格すると、ひと月と経たないうちにクローザーのポール・シーウォルドのトレード要員としてマリナーズへトレードされた。

キャンゾーンの長所はコンタクト能力、パワーともに優秀なバッティング。マイナーリーグでは初年度以外どの階級でも毎年OPS.800超えを記録した。ポジションは外野両コーナー。移籍1年目のマリナーズではレフトでこんな好プレーをしたかと思えば、ライトでは照明が目に入りRHRを献上してしまう失態を犯したりと忙しい。いずれにしても守備と走塁は平均以下との評価をされているため、メジャーでは常に打ち続けなければ定着は難しい。

寄稿日:2023-09-13 最終更新日:2023-09-13
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2022年メジャー経験なし)


ブライアン・ウー


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Bryan Woo (フルネーム/Bryan Joseph Woo)

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2000-01-30生|188cm93kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 カリフォルニア州オークランド

ドラフト/2021年SEA6巡目(全体174位)指名

メジャーデビュー/2023-6-3
■選手紹介

ノビのあるファストボールに自信を持つ右投げ先発投手。ドラフト6巡目だがポテンシャルを高く評価され、プロ入りから2年足らずでメジャーの舞台にたどり着いた。名前のとおり中華系がルーツと思われるが正確な情報は知れ渡っておらず、詳細が待たれる。

ウーはカリフォルニアのベイエリア、オークランド近くの小さな町アラメダで生まれ、サンフランシスコ・ジャイアンツファンとして育った。5~6歳から野球を始めて内野をメインに守ってきたが、地元アラメダ高校3年生のときにチーム事情で投手を任される。エースになったウーは8勝2敗・防御率1.25を記録し、アラメダ高校をリーグ優勝に導き自身もMVPに選ばれた。ただ投手としては遅咲きだったために注目度は高くなかった。

ウーのもとには複数の大学から奨学金付きの誘いが来たが、その中で(二刀流でなく)投手専任でオファーしてきた唯一の大学だったカリフォルニア州立工科大学サンルイスオビスポ校に進学した。大学では先発兼ロングリリーフの役割で出場した。ジュニア(3年生)の公式戦で右ヒジを負傷し残りのシーズンを欠場、2021年4月にトミー・ジョン手術を受けた。3ヶ月後、ドラフトでシアトル・マリナーズから予想外の6巡目(全体174位)指名を受けて入団した。

リハビリ中の状態でプロ入りしたウーだったが、翌年ルーキーリーグに初めて登場すると高い奪三振能力と安定した投球内容を見せ、マイナー下位を早々に卒業する。2023年開幕を迎えたダブルAでも9試合に先発登板し44回・防御率2.05・被安打27・奪三振59の優秀な成績を残し、6月にトリプルAを飛び越えてメジャーにコールアップされた。限られた球数のなかで次第に6回前後まで投げる試合を増やし、コンテンダーの先発ローテーションの座を勝ち取った。

【投球スタイル】
ややシュート回転が掛かりながら浮き上がるフォーシームが一番の持ち球で、コースを狙わず思い切り投げ込むこともある。横方向に滑るシンカーとともに平均95マイル超を計時し、この2つの速球を70%前後投げている。ほかにカットボールとスライダー、チェンジアップを使う。スライダーとチェンジアップの精度は低く、特にチェンジアップは思い通りにコントロールできておらず、メジャー昇格後の対左打者の対戦成績が今季(2023年)被打率3割台・被OPS.900超えと打ち込まれている原因になっている。マイナー下位でプレーした2022年も左打者に派手に打たれていたが、翌年のAAでは大きく改善させた実績があるだけに、チェンジアップの制球力を磨けばローテーションの上位を任せることも可能だ。

【その他】
2021年に6巡目でプロ入りしたウー。この年のマリナーズはモックドラフト(ドラフトの事前予想)と乖離する指名を幾度となく繰り出し、1~3巡目に全員高校生を指名する傍ら4巡目以降にはポテンシャル重視の大学生を集めるジェリー・ディポト編成部門長の意思のこもったドラフトが展開された。まだ2年しか経っていない段階だが、23年5月にもウー以上にギャンブル要素が高かったブライス・ミラー(21年4巡目)が一足先にメジャーデビューしている。またWBCイギリス代表として活躍した1巡目のハリー・フォードも順調に評価を高めており、21年ドラフト組は大豊作となる雰囲気が漂っている。

寄稿日:2023-09-11 最終更新日:2023-09-11
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼祖父母や元同級生たちが見守るなかジャイアンツ相手に好投するブライアン・ウー

▼大谷翔平に18号HRとなる弾丸ライナーを浴びるブライアン・ウー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

(~2022年メジャー経験なし)


アンドリュー・アボット


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Andrew Abbott (フルネーム/Andrew Cole Abbott)

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1999-06-01生|183cm87kg|先発 左投左打

出身地/アメリカ合衆国 バージニア州リンチバーグ

ドラフト/2021年CIN2巡目(全体53位)指名

メジャーデビュー/2023-6-5
■選手紹介

2023年に鮮烈なメジャーデビューを飾り好投を続ける実戦向きな先発左腕。フォーシームの球速が平均レベルなこともあり決してトッププロスペクトではなかったが、デビュー戦を6回1安打無失点で勝利したのを皮切りに最初の6先発で4勝無敗・防御率1.21・奪三振率10.13・被打率.155を記録し一気に新人王候補に名乗りを上げた。なお、同じサウスポーだったせいか隻腕投手として知られたジム・アボットの息子と勘違いしそうになるが血縁関係は無し。

バージニア州で生まれ育ったアボットは地元ハリファックス郡高校からバージニア大学に進学して3年間をリリーフ投手として活躍。ジュニア(3年生)ではベースボール・アメリカのドラフト有力選手132位にランクされ、2020年のドラフトで例年であればプロ入りするはずだった。しかし、コロナパンデミックの影響でドラフトが5巡目指名までに縮小されることになり、当日160人指名されたが最後まで名前は呼ばれなかった。これに奮起したアボットはシニア(4年生)に先発投手へ転向すると大ブレイクを果たし、翌年のドラフトでシンシナティ・レッズから2巡目指名を受けて入団した。

入団後は2年でトリプルAAAまで到達すると、2023年6月にハンター・グリーンの負傷者リスト入りに合わせてメジャー初昇格。デビュー戦で6回を被安打1・無失点・4与四球・6奪三振とスタンディングオベーションを受けるほど圧巻の内容で初勝利を挙げる。その後も好投を続けレッズの先発ローテーションに定着した。

フォーシームは92マイル後半とメジャー平均程度だがカーブ、スライダー、チェンジアップの3球種を巧みにミックスして三振を奪う。大学時代からスラーブに近い動きをするカーブを高く評価されてきた。また、プロ入り後に使用頻度を上げたスライダーと課題があると言われるチェンジアップも2ストライク後に投じるとメジャーの打者相手によく機能している。バラツキの多いチェンジアップの制球力を磨きたい。

ちなみに大学時代は学業成績にも優れ、生物学の学位を3年で取得したほか心理学の修士号も取得済み。優秀なカレッジ出身投手にみられる洞察力を持っており、トッププロスペクトでなくてもマイナーの階級を上がるたびに投球成績を向上させることができたのも納得だ。

寄稿日:2023-08-23 最終更新日:2023-08-23
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼勝ち星は付かなかったものの自己最多の12奪三振の快投を披露したアボット

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

(~2022年メジャー経験なし)