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カイル・ライト


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Kyle Wright (フルネーム/Kyle Hardy Wright)

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1995-10-02生|193cm98kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 アラバマ州ハンツビル

ドラフト/2017年ATL1巡目(全体5位)指名

メジャーデビュー/2018-9-4
■選手紹介

ドラフト全体5位の好素材ながら脆いメンタル面が課題と言われ続けてきた本格派右腕。同じドラフト1巡目スターターのイアン・アンダーソンがポストシーズンで大活躍するのとは対照的に、メジャーになかなか定着できずにいた。しかし2022年は開幕からエース級のピッチングを続け、オールスター前に11勝をマーク。少し時間がかかったが、ドラフト時からの大きな期待に応えつつある。

アマチュア時代のライトは強豪バンダービルト大学で3年間プレーし、2017年のドラフト前には全体1位指名候補に挙げられるほど高く評価されていた。最終的に全体5位でブレーブスが指名。ブレーブスは2016年にも全体3位で大学生のイアン・アンダーソンを指名しており、2年連続でエース候補の大学生の獲得となった。

プロ入り後、2018年にメジャーデビューすると2020年にチャンスを掴みかける。同年はシーズンが進むにつれて防御率が良くなり、ライトはポストシーズンの先発投手のメンバーに入った。地区シリーズ第3戦で6回無失点・7奪三振と好投し、地区シリーズ突破に導いた。しかし次の登板はある意味転機となる。ドジャースとのリーグ優勝決定シリーズ第3戦で先発マウンドを任されるが、2アウトしか取れずに7失点を喫し、その後ブレーブス投手陣は初回に11失点。歴史的な敗戦の戦犯となったライトは当然その後は登板機会が与えられなかった。

翌2021年は本人だけでなく、ブレーブスとファンも屈辱の敗戦を引きずっているかのようだった。ライトは1年のほとんどをAAAで過ごし、2回だけあった登板機会も2試合とも5回持たずに降板。球団から見切られたまま終わるかと思われたが、最後に奇跡が起きる。ワールドシリーズまで進んだブレーブスだったが、チャーリー・モートンが打球を足に受けて骨折。先発投手が足りなくなり、シリーズ第4戦でディラン・リーがオープナーとして登板するも1回持たずに降板。あとを継いだライトは初回のピンチを乗り切ると5回まで1失点と好投。その後逆転勝ちを収め、ブレーブスのワールドチャンピンへの大きな1戦となった。

2022年は開幕から先発ローテに食い込むと、前年の勢いそのままに好投を披露。以前はマウンド上で感情が顔に出すぎ、それがピッチングにも伝染してしまっていたが、もはや精神面の脆さは消え去ったようなマウンドでの振る舞いを続けている。ライトはオールスター前に11勝を挙げ、ブレーブスでは11年のジェア・ジャージェンス以来11年ぶりとなる快投を披露した。

2010年代のブレーブスには何年か暗黒期があったが、ドラフトでエースになれる人材をしっかり指名し、20年代に入って質の高い先発投手陣を築きつつある。一時はドラフト指名された時がピークなどと言われたこともあったライトが、その先発陣のエースに成り上がれるかは弱点だったメンタルが完全に克服できているか次第だろう。

寄稿日:2022-07-24 最終更新日:2022-07-24
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼11三振を奪いゲームを支配するカイル・ライト

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2018 ATL  4 0 0 0  4.50  6.0  4  3  2  6 0  5 1.67 0.83

2019 ATL  7 0 3 0  8.69 19.2 24 19  4 13 1 18 1.88 1.38

2020 ATL  8 2 4 0  5.21 38.0 35 22  7 24 0 30 1.55 1.25

2021 ATL  2 0 1 0  9.95  6.1  7  7  2  5 4  6 1.89 1.20


チャーリー・モートン


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Charlie Morton (フルネーム/Charles Alfred Morton)

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1983-11-12生|196cm98kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 ニュージャージー州フレミントン

ドラフト/2002年ATL3巡目(全体95位)指名

メジャーデビュー/2008-6-14
■選手紹介

30歳を過ぎてから球速が増した、リーグでも有数の頼れる先発右腕。パイレーツで投げた若手時代は2勝12敗のシーズンを経験するなど苦労したが、いまや若手投手のお手本のような存在になっている。プレーオフの経験も豊富で、チャンピオンリングを2つ獲得している。アストロズ在籍時の2017年には、ワールドシリーズ第7戦で6回から登板し、最後まで投げて優勝投手になった。

モートンは2002年のドラフト3巡目でブレーブスに入団し、2008年に24歳でメジャー初登板。翌2009年にオールスター外野手のネイト・マクロースのトレード要員でパイレーツに移籍。2015年まで在籍した。弱小球団のパイレーツでは、メジャーレベルのスターターが常時不足していて、多少打たれても先発陣の一角として起用され続けた。2010年は開幕後10試合で1勝9敗・防御率9.35を記録する苦しいシーズンを送った(最終的に2勝12敗を記録)が、ロイ・ハラデイの投球フォームを完コピして立ち直り、翌年初めて規定投球回をクリアしての10勝・防御率3点台をマーク。2016年にフィリーズに移籍するまでの7年間で142試合・801イニングに先発登板した。

フィリーズではケガのため4試合登板に終わったモートンだったが、2017年にアストロズが2年1400万ドルの好待遇で獲得した。この頃のアストロズはスピンレートの高いカーブを持ち球とする投手を掻き集めたり、データを活用して球種の割合を変えて投手をブレイクさせていた。パイレーツ時代は91~94マイルのツーシームがメインだったモートンにフォーシームを多く投げさせるようにすると、なぜか急に球が速くなった。本人曰く、速い球を投げようと思ったら自然とスピードが出たとのこと。35歳にして95~97マイルを投げるようになり、MAXは99マイルにも到達。2017年のフォーシームの被打率.221はクリス・セールやジェイコブ・デグロームを抑えてメジャーベストの数字だった。2017~18年の2年間で29勝10敗・防御率3.36の素晴らしい成績。17年のワールドシリーズでは優勝投手となった。

2019~20年はレイズに所属。モートンはフロリダにある自宅から通えることを重視して契約を決めたが、レイズにとっては優勝請負人になることを期待して2年3000万ドルで迎え入れた。2021年は引退も選択肢にあったがモートンだったが、キャンプ地が自宅に近いこともありブレーブスと契約。2008年にメジャーデビューを果たした古巣に13年ぶりの復帰となった。ブレーブス復帰1年目はエース左腕のマックス・フリードに勝るとも劣らない成績を残し、プレーオフでも好投。ワールドシリーズでの腓骨を骨折しながら投球はチームを鼓舞し、ワールドチャンピオンに貢献した。

投球内容はキャリアの前後半で大きく違っている。パイレーツ時代はツーシームを低めに集めるピッチングで、評価の高かったカーブとチェンジアップに、並のスライダーを投げていた。グラウンドボーラーで、あまりホームランを食らわない投手として評価されていた。しかし、アストロズではフォーシームの投球割合を増やし、横の変化量が極めて大きいカーブとスプリッターで打者を圧倒するパワーピッチャーに変貌。以前のような究極のグラウンドボーラーのイメージはなくなった。また、キャリアを通じてデッドボールを与えることが多く、2021年までで4度リーグ与死球王になっている(投稿時点での12与死球も2022年ア・リーグワースト)。

なお、2021年9月にブレーブスから、レギュラーシーズン中に関わらず2022年の年俸2000万ドル+クラブオプション1年2000万ドルの契約延長を与えられている。投稿日(22/7/24)の投手成績だと前年より悪くなりそうで、ブレーブスが2023年のクラブオプションを破棄したうえで契約交渉をする可能性がある。その場合、モートンにはまだ小さい子供が4人おり、ここ何年か引退かを検討しているだけに、今年が最後と思ってモートンのピッチングを見た方が良いかもしれない。

寄稿日:2022-07-24 最終更新日:2022-07-24
オールスター:2回(18,19)

主な表彰:ALL-MLB 2nd1回(19)

タイトル:なし

▼4回をリリーフし、ワールドシリーズ優勝投手になったモートン

▼ワールドシリーズ第1戦で腓骨を骨折しながら投げるモートン

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2008 ATL 16 4 8 0  6.15 74.2 80 51  9 41 2 48 1.62 1.17

2009 PIT 18 5 9 0  4.55 97.0 102 49  7 40 5 62 1.46 1.55

2010 PIT 17 2 12 0  7.57 79.2 112 67 15 26 7 59 1.73 2.27

2011 PIT 29 10 10 0  3.83 171.2 186 73  6 77 13 110 1.53 1.43

2012 PIT  9 2 6 0  4.65 50.1 62 26  5 11 2 25 1.45 2.27

2013 PIT 20 7 4 0  3.26 116.0 113 42  6 36 16 85 1.28 2.36

2014 PIT 26 6 12 0  3.72 157.1 143 65  9 57 19 126 1.27 2.21

2015 PIT 23 9 9 0  4.81 129.0 137 69 13 41 12 96 1.38 2.34

2016 PHI  4 1 1 0  4.15 17.1 15  8  1  8 0 19 1.33 2.38

2017 HOU 25 14 7 0  3.62 146.2 125 59 14 50 13 163 1.19 3.26

2018 HOU 30 15 3 0  3.13 167.0 130 58 18 64 16 201 1.16 3.14

2019 TB  33 16 6 0  3.05 194.2 154 66 15 57 12 240 1.08 4.21

2020 TB  9 2 2 0  4.74 38.0 43 20  4 10 4 42 1.39 4.20

2021 ATL 33 14 6 0  3.34 185.2 136 69 16 58 17 216 1.04 3.72


ライアン・マウントキャッスル


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Ryan Mountcastle (フルネーム/Ryan Lee Mountcastle)

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1997-02-18生|193cm104kg|一塁手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 フロリダ州ウィンタースプリングス

ドラフト/2015年BAL1巡目追補(全体36位)指名

メジャーデビュー/2020-8-21
■選手紹介

オリオールズの新人ホームラン記録を更新した長距離砲。2021年にほぼフルシーズン出場して33本塁打をマーク、カル・リプケンJr.が持つ新人記録(28本)を塗り替えた。日本では某ネット掲示板のオリオールズのスレッドで"山城さん"と呼ばれている。高校2年から付き合っている最初の彼女と結婚した。

フロリダで生まれたマウントキャッスルが3歳の頃、両親が離婚。実の両親は両方とも再婚したが、お互い車で15分と離れていない場所に住み責任を持って育てた。また、兄弟が増えたことが彼には決してマイナスにならなかった。野球の指導者に定評があったハガティ高校を自ら希望、入学後はショートで活躍した。

地元の強豪フロリダ州立大学からコミットがあったため、高校卒業後は進学を考えていたがドラフト1巡目での指名があった。当初オリオールズから指名されると思っていなかったが入団を決意した。マイナーでは毎年着実に階級を上がっていき、AAAに到達した頃には有望株ランキングも全体100位以内に入るようになっていた。

2020年にメジャーデビュー。このときは新型コロナの影響でカムデンヤーズに観客を入れることができなかった。そのため、オリオールズの計らいでマウントキャッスルの家族や友人、飼い犬のチャーリーら総勢18人が映ったビデオメッセージが届けられた。マイナーでは四球が少なかったがデビュー戦で2四球を選び、メジャーでの進化を期待させた。

新人王資格の残った2021年は期待の4番候補として開幕からクリーンナップに座る。シーズン全体で33本塁打を放ち、オリオールズの新人ホームラン記録を塗り替えた。ただ、走塁と守備面ではマイナー時代からマイナス評価。ホームランバッターの割に四球が非常に少ない、過去にサードにチャレンジしたが弱肩もあり断念しているなど弱点も多く、今後も2021年並みの打撃成績を残し続ける必要がある。

2021年まで左手に"Live like Ek"と刻まれたブレスレットを着けていた。"Ek"はハガティ高校時代で友人だったオースティン・エカーンの略。エカーンはフロリダ州立大へ進学したが、キャンパスの近くを歩いているときにピックアップトラックに轢かれて亡くなった。以降、友人を偲んでゴム製のブレスレットを着けてプレーするようになった。

寄稿日:2022-07-04 最終更新日:2022-07-04
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼新人マウントキャッスルの全33本塁打

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2020 BAL 35 126  42  5 0  5 23 11 1 30  0 .333 .386 .492

2021 BAL 144 534 136 23 1 33 89 41 4 161  4 .255 .309 .487


ホルヘ・マテオ


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Jorge Mateo (フルネーム/Jorge Luis Mateo)

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1995-06-23生|183cm83kg|遊撃手、二塁手、外野手 右投右打

出身地/ドミニカ共和国 首都地区サントドミンゴ

プロ入り/2012年1月NYY契約

メジャーデビュー/2020-8-13
■選手紹介

ずば抜けたスピードが持ち味の快足遊撃手。バットコントロールと出塁能力に難があり、2015年にマイナーで82盗塁を記録した脚力を活かせずにいる。マイナーのホームラン競争に出場経験があるように長打力はある。ヤンキースと契約して米球界入りしたが、お気に入りの選手はマニー・ラミレスだった。

ドミニカ共和国で生まれたマテオは17歳のとき(2012年)にヤンキースと契約。スピードを武器とする選手たちの中でも圧倒的に速く、ヤンキース内でトッププロスペクトとして期待された時期があった。だが、A+レベルでもなかなか荒い打撃を改善することができず、次第にほかの若手に先を越されるようになった。2017年途中、ソニー・グレイの交換要員の1人としてアスレチックスへ放出された。

アスレチックス在籍中にメジャー昇格はならなかったが、2018年にベースボール・アメリカから、一番のスピードを備えているマイナーリーガーに選ばれ、翌年はフューチャーズゲーム(マイナーのオールスター)に出場した。パドレスに移籍した2020年に初のメジャー昇格、翌2021年8月にDFAされオリオールズに拾われた。

広い守備範囲に加え肩も強く、メジャーのショートとして合格点の守備力があるが、セカンドやサードと外野3ポジションでも起用されている。ショートのレギュラーになれるか、ユーティリティとして生き残るかは今後の出塁能力の向上に掛かっている。かつては足は速いが盗塁センスに欠けると言われていたが、メジャー昇格後に格段に上達している。

寄稿日:2022-07-04 最終更新日:2022-07-04
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼MLB公式によるA's時代の有望株ホルヘ・マテオの紹介

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2020 SD  22  26  4  3 0  0  2  1 0 11  1 .154 .185 .269

2021 SD  57  87  18  4 0  2  6  2 3 27  5 .207 .250 .322

2021 BAL 32 107  30  7 1  2  8  7 1 28  5 .280 .328 .421


タイラー・ウェルズ


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Tyler Wells (フルネーム/Tyler Austin Wells)

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1994-08-26生|203cm116kg|先発、リリーフ 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 オクラホマ州タルサ

ドラフト/2016年MIN15巡目(全体453位)指名

メジャーデビュー/2021-4-4
■選手紹介

ルール5ドラフトの成功例になった長身右腕。トミー・ジョン手術明けの2021年はリリーフとして活躍したが、2022年からは本来のスターターとして投げる。背丈が6フィート8インチあるので「6-8モンスター」と呼ぶ人がいる。

オクラホマ州タルサで生まれたウェルズだったが、4歳の時に白血病で母親を失う。そこから祖母の後押しもあって野球に打ち込んだ。ウエストバージニアに移り住んだ後、父親の再婚相手がカリフォルニア州の病院に勤務することになったため、高校生のときに同州ユカイパの高校に転校した。また、高校2年から3年にかけて身長が20cm近く伸び、高校卒業後はユカイパの町に近い大学に奨学金付きでの進学を決めた。

カリフォルニア州立大学サンバーナディーノ校でプレーしたウェルズは、ツインズから15巡目指名で入団。2018年にツインズの有望株ランキング30位(MLB Pipeline)にギリギリランクインした。しかし2019年5月にトミー・ジョン手術を受け、2020年は新型コロナの流行により、丸2年公式戦でピッチングができなかった。オフに40人枠から外されルール5ドラフトの対象になり、オリオールズからのメジャーフェーズの2巡目指名によって新天地へ移ることになった。

スプリングトレーニングの結果はイマイチだったが、弱小オリオールズでは居場所があり、敗戦処理として開幕メジャー入りを果たした。古巣ツインズとの対戦となった6月2日に3イニングを完ぺきに抑えてメジャー初勝利を挙げると、そこから急に打ち取れるようになり、ブランドン・ハイド監督からの信頼が徐々に大きくなっていった。

ウェルズは平均95マイルのファストボールにスライダーとチェンジアップを軸に、カーブやシンカーを織り交ぜるスタイルを確立。チームが実績のある中継ぎをクローザーに起用してもことごとく炎上し、シーズンも後半に入るとハイド監督はついに新人ウェルズをクローザーに据えことにした。最終的に110敗するチームだけあってビハインドの試合展開が続き、9月に入ってようやく初セーブを記録した。この試合は地区優勝争い中のヤンキース相手にアーロン・ジャッジ、ジャンカルロ・スタントン、アンソニー・リゾを打ち取って挙げた、価値ある初セーブだった。

オリオールズはルール5ドラフトに積極的で、2006年以降は毎年必ず指名し続けている。2020年までの間に22人指名されたが、翌年のWARがプラスだった選手はT.J.マクファランド(2012年)ただ1人。成功例のアンソニー・サンタンダーでも戦力になったのは指名後3年目だった。オリオールズとしては2001年にWAR0.9を記録したジェイ・ギボンズ以来、20年ぶりにルール5で当たりを引いたのだった。

寄稿日:2022-07-04 最終更新日:2022-07-04
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ブルージェイズの強力打線を抑え込むタイラー・ウェルズ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2021 BAL 44 2 3 4  4.11 57.0 40 26  9 12 1 65 0.91 5.42


ジョーダン・ライルズ


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Jordan Lyles (フルネーム/Jordan Horton Lyles)

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1990-10-19生|196cm104kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 サウスカロライナ州ハーツビル

ドラフト/2008年HOU1巡目追補(全体38位)指名

メジャーデビュー/2011-5-31
■選手紹介

弱小球団を渡り歩いてサービスタイムが10年超えた先発右腕。2011年にアストロズでデビューしたのを皮切りにロッキーズ、パドレス、ブリュワーズ、パイレーツ、レンジャースに所属。2021年にキャリア最多となる30先発登板と180イニングを投げ、2022年は前年110敗のオリオールズと1年600万ドル(+バイアウト100万ドル)で契約した。期待どおりに働けば防御率5.50ぐらい打たれながら先発ローテーションを守ってくれるだろう。

サウスカロライナ州で生まれ育ったライルズは、幼いころからアトランタ・ブレーブスのファンでありチッパー・ジョーンズがお気に入りの選手だった。7人家族で、ジョーダンのほかに3兄弟(ジャスティン、ジョシュ、ジェイク)と妹(ジョディ)、両親(ジェニングスとジュディ)もJから始まる家族だった。地元のハーツビル高校では投打で活躍する二刀流であるだけでなく、フットボールでもスクールレコードを打ち立てるスター高校生だった。2008年6月5日の高校卒業日にアストロズからドラフト指名され、即日入団した。

2011年にアストロズでメジャーデビューし、3年間で14勝29敗・防御率5.35を記録。2014年にトレード先のロッキーズで3年半所属してからはジャーニーマンとなり、スモールマーケットの球団を転々とした。防御率5点台ぐらいの期待値で、よく打たれるが一定以上のイニングを消化してくれる選手としてしぶとく生き残った。

2018・19年に2年連続でシーズン途中にブリュワーズで投げた時期は好成績を残したが、他のチームでは例年どおりの打たれ方をした。そのため、某メジャーリーグ専門誌で「一皮剥けたようで剥けていなかった」と評された。

2021年は開幕から黙々と投げ続ける。メジャーワーストの38被本塁打、ワースト2位の防御率5.15。それでも自身2度目の2桁勝利に加え、メジャーで22番目に多い180イニングを投げ、60勝102敗に終わったチームの先発ローテを守り抜いた。

2021年オフ、オリオールズのマイク・エライアスGMからのオファーを受け入れて基本合意。しかし、身体検査が終わる前に労使交渉がまとまらずロックアウトに入ってしまい、99日間正式契約を待つハメになった。なお、700万ドルの契約はそこまで高額ではないが、エライアスGM就任後の3年半で最も高額な契約となった。

寄稿日:2022-07-04 最終更新日:2022-07-04
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼パドレスの投手として初のノーヒッターを達成し損ねたジョーダン・ライルズ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2011 HOU 20 2 8 0  5.36 94.0 107 56 14 26 5 67 1.41 2.58

2012 HOU 25 5 12 0  5.09 141.1 159 80 20 42 5 99 1.42 2.36

2013 HOU 27 7 9 1  5.59 141.2 165 88 17 49 11 93 1.51 1.90

2014 COL 22 7 4 0  4.33 126.2 127 61 12 46 8 90 1.37 1.96

2015 COL 10 2 5 0  5.14 49.0 54 28  2 19 3 30 1.49 1.58

2016 COL 40 4 5 1  5.83 58.2 69 38  4 28 4 32 1.65 1.14

2017 COL 33 0 2 0  6.94 46.2 61 36 11 12 4 33 1.56 2.75

2017 SD  5 1 3 0  9.39 23.0 35 24  5 10 0 22 1.96 2.20

2018 SD  24 2 4 0  4.29 71.1 71 34 12 19 1 62 1.26 3.26

2018 MIL 11 1 0 0  3.31 16.1 12  6  0  9 2 22 1.29 2.44

2019 PIT 17 5 7 0  5.36 82.1 88 49 16 33 1 90 1.47 2.73

2019 MIL 11 7 1 0  2.45 58.2 43 16  9 22 0 56 1.11 2.55

2020 TEX 12 1 6 0  7.02 57.2 67 45 12 23 2 36 1.56 1.57

2021 TEX 32 10 13 0  5.15 180.0 194 103 38 56 7 146 1.39 2.61


アドリー・ラッチマン


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Adley Rutschman (フルネーム/Adley Stan Rutschman)

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1998-02-06生|188cm100kg|捕手、一塁手 右投両打

出身地/アメリカ合衆国 オレゴン州ポートランド

ドラフト/2019年BAL1巡目(全体1位)指名

メジャーデビュー/メジャー経験なし
■選手紹介

2019年のドラフトの全体1位指名選手のキャッチャー。苦しい戦いが続くオリオールズにとって最大の希望といえる存在である。至って真面目な性格でリーダーシップに優れ、走力以外の4ツールを非常に高く評価されている。スイッチヒッターで、打席と反対側のバッティンググローブから着けるというゲン担ぎをしている。2022年の開幕戦からメジャーでスタメン出場する予想が多かったが、故障のため5月下旬のデビューとなった。

オレゴン州立大学では、フレッシュマン(1年生)ではフットボールと掛け持ちし、翌年次から野球に専念する。2018年のソフモア(2年生)でチームをカレッジワールドシリーズ制覇に導き、自身はMVP。2019年にはゴールデンスパイク賞とディックハウザー賞をダブル受賞する素晴らしい実績を残した。ドラフトでは大方の予想通りドラフト全体1位でオリオールズに指名され、当時の最高額810万ドルで契約した。

新型コロナの影響で2021年が実質プロ1年目となったが、AA・AAA級でOPS.899を記録、守備でもマイナーリーグのゴールドグラブを受賞して、早くもファームでやるべき課題がなくなった。翌2022年に開幕からメジャーでスタメンマスクを被る予定だったが、痛めていた上腕三頭筋の具合をみて5月下旬にお披露目となった。

ちなみに、足が遅いのが唯一の弱点なのにメジャー初安打が三塁打だった。10年以上前、マット・ウィータースという大きな期待を背負ったキャッチャーがいた。2007年のドラフト1巡目(全体5位)オリオールズに入団、ラッチマンと同じ両打ちのうえ、初ヒットも同じ三塁打だったのでデジャブを感じたO'sファンも多かったようだ。

寄稿日:2022-06-26 最終更新日:2022-06-26
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼メジャー初安打を三塁打で飾るラッチマン

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2021年メジャー経験なし)


トレイ・マンシーニ


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Trey Mancini (フルネーム/Joseph Anthony Mancini)

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1992-03-18生|191cm104kg|一塁手、左翼手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 フロリダ州ウィンターヘイブン

ドラフト/2013年BAL8巡目(全体249位)指名

メジャーデビュー/2016-9-20
■選手紹介

ステージⅢの結腸ガンを克服したことで有名なホームランバッター。速球系のボールが得意。故障がない点も強みで、ガン治療のためプレーできなかった2020年以外は1度も故障離脱したことがない(2022年6月現在)。

ノートルダム大学のスラッガーとして活躍したマンシーニは、2013年のドラフト8巡目でオリオールズに入団。平均以上のスイングスピードからマイナーでホームランを量産し、球団内の評価を次第に上げていく。2016年9月のメジャーデビュー戦の初打席、招待した両親の目の前でいきなりホームランを放った。

翌年以降、一塁手のレギュラーになるはずだったクリス・デービスが深刻な打撃不振に陥ったため、自然とマンシーニが上位打線を担うようになる。一塁手兼左翼手として常時スタメンで出場し、ホームラン数を積み上げていった。

2020年のスプリングトレーニング中にステージⅢの結腸ガンが判明。手術とつらい化学療法のため1年を棒に振った。このときマンシーニの背番号16にちなんで"#F16HT"Tシャツが作られ、売り上げた8万ドルは結腸癌の支援団体に寄付された。

2021年の開幕戦に間に合ったマンシーニはスタンディングオベーションで迎えられ、ガン発覚前と同じように活躍。球団史上最速で通算100号を放ち、シーズントータルでは24本塁打をマークしてカムバック賞を受賞。ロベルト・クレメンテ賞候補に挙げられる充実した1年となった。また、オールスターのホームランダービーにも出場。大学時代のホームラン競争で投手役を務めたノートルダム大のコーチに投げてもらい、決勝まで勝ち進んだ。

ブーマーというニックネームが付いているが、1970年代に活躍したプロボクサーのレイ・マンシーニの"Boom boom"から来ている。トレイも以前はブーンブーンのニックネームだったが、ノートルダム大時代に短縮形で呼ばれるようになった。

寄稿日:2022-06-26 最終更新日:2022-06-26
オールスター:なし

主な表彰:カムバック賞1回(21),

タイトル:なし

▼両親の前で初打席ホームランを放つマンシーニ

▼マイケル・フランコにファーストミットを破壊されるマンシーニ

▼ガンを克服してホームランダービー準優勝のマンシーニ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2016 BAL  5  14  5  1 0  3  5  0 1  4  0 .357 .400 1.07

2017 BAL 147 543 159 26 4 24 78 33 6 139  1 .293 .338 .488

2018 BAL 156 582 141 23 3 24 58 44 5 153  0 .242 .299 .416

2019 BAL 154 602 175 38 2 35 97 63 9 143  1 .291 .364 .535

2021 BAL 147 556 142 33 1 21 71 51 8 143  0 .255 .326 .432


オースティン・ヘイズ


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Austin Hays (フルネーム/Austin Charles Bryan Hays)

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1995-07-05生|183cm93kg|外野手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 フロリダ州デイトナビーチ

ドラフト/2016年BAL3巡目(全体91位)指名

メジャーデビュー/2017-9-7
■選手紹介

安定感のある打撃と守備で年々評価を上げている優良外野手。ライトでの出場機会が多いがセンターも守れる。右打者ながら若干左投手に弱い。もし1日だけ誰かと立場を交換できたら?との質問に「自分がどんな人なのか理解してもらえるよう奥さんと入れ替わりたい」と答える愛妻家でもある。

2016年のドラフト3巡目でオリオールズへ入団。A-からスタートすると早々にOPS.900の打撃成績を残し、2017年には早くもコールアップされる。16年ドラフト組の中で最も早く、AAA級を飛び越えてのメジャー昇格だった。

翌年からは祟られたかのようにケガを発症する。スプリングトレーニング中に肩を痛みに悩まされ、次に足首を疲労骨折。さらに右手親指とハムストリングを痛め、2019年まで満足に試合に出られなかった。しかし、2021年は2度IL入りも攻守でいいプレーを見せ、131試合に出場。2022年は外野3ポジションすべてを守り、OPS.800超えをキープ。体調が万全であれば活躍できることをアピールした。

2022年6月22日の試合で初めてのサイクルヒットを達成。この日は2度の雨天中断を経て6回コールドとなったが効率よく4打席で記録した。6回裏の4打席目は雨足が強まるなか素手でツーベースを放ったが、少年時代のヘイズはスライディングをした際にバチグロを破いてしまうことが頻繁にあり、新品を買ってもらうのを気兼ねして素手でバットを握るようになった。

寄稿日:2022-06-26 最終更新日:2022-06-26
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼オリオールズの選手としては9年ぶりのRHRを記録するオースティン・ヘイズ

▼4打席でサイクルヒットを達成するオースティン・ヘイズ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2017 BAL 20  60  13  3 0  1  8  2 0 16  0 .217 .238 .317

2019 BAL 21  68  21  6 0  4 13  7 0 13  2 .309 .373 .574

2020 BAL 33 122  34  2 0  4  9  8 2 25  2 .279 .328 .393

2021 BAL 131 488 125 26 4 22 71 28 9 107  4 .256 .308 .461


ボビー・ウィットJr.


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Bobby Witt Jr. (フルネーム/Robert Andrew Witt Jr.)

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2000-06-14生|185cm91kg|遊撃手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 テキサス州コリービル

ドラフト/2019年KC1巡目(全体2位)指名

メジャーデビュー/メジャー経験なし
■選手紹介

2019年に高卒ながらドラフト全体2位で指名され、2022年のア・リーグ新人王最有力候補に挙げられている超エリート内野手。走攻守のすべてのツールが非の打ち所が無く、メジャーを代表するスター選手になることを期待されている。父親は通算142勝の元メジャーリーガー、姉の旦那は元西武ライオンズのザック・ニール。

高校時代のウィットJr.はシニア(4年生)で5割以上の打率を残し、ゲータレード年間最優秀選手に選ばれた。同賞は全米の幅広い競技の中から最も優れた高校生アスリートに贈られる、アマチュアスポーツの頂点とも言える賞である。父親が通ったオクラホマ大学への進学が内定していたが、ドラフト全体2位で指名されたうえ、高校生史上最高額の779万ドルの契約金を提示されたためプロ入りした。

プロ入りして実質1年目となった2021年は、AA・AAAで合計124試合に出場し打率.290・33本塁打・97打点・29盗塁を記録。期待に違わぬ実力を見せ、ベースボール・アメリカが選出するマイナーの年間最優秀選手にも選ばれた。ちなみに、AAAでのシーズン最終戦では1個盗塁を決めたが雨が強まり、3回途中で中止となったせいで30-30の達成を逃している。

2022年からの新労使協定で開幕ロースターにルーキーを登録し、新人王投票トップ3など活躍した場合にドラフト指名権を獲得できるようになるルール改正があった。これによりウィットJr.の開幕メジャーが事実上確定。メディアや有識者の大半がア・リーグ新人王最有力と予想している。

なお、父親のボビーSr.は1986年から2001年まで大リーグでプレーした元投手。荒れ球を武器にメジャーデビューしてから5年連続で100四球以上を与えつつ、通算142勝を挙げた。ボー・ジャクソンから空振り三振を奪い、ジャクソンが悔しさのあまりバットを真っ二つに折った有名な珍プレーがある。また、1995年に野茂英雄がメジャー初ヒットを打った相手はボビーSr.である。

寄稿日:2022-06-20 最終更新日:2022-06-20
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ボビー・ウィットJr.のメジャー初安打

▼ボビー・ウィットJr.の超ファインプレー

▼ボー・ジャクソンが膝でバットをへし折る有名なシーン(投手はボビー・ウィットSr.)

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2021年メジャー経験なし)