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アンドリュー・ベニンテンディ


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Andrew Benintendi (フルネーム/Andrew Sebastian Benintendi)

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1994-07-06生|175cm82kg|左翼手 左投左打

出身地/アメリカ合衆国 オハイオ州シンシナティ

ドラフト/2015年BOS1巡目(全体7位)指名

メジャーデビュー/2016-8-2
■選手紹介

メジャーデビュー前に有望株ランキング1位にランクされた元レッドソックスの外野手。走攻守すべてのツールのバランスが取れていて、ここ一番の勝負どころに強いのも魅力だ。2021年はレフトでゴールドグラブを受賞した。セントルイスに自宅がある。

アマチュア時代のベニンテンディは高校・大学で様々な栄誉に輝いている。特に2015年はゴールデン・スパイク賞とディック・ハウザー賞を受賞し、チームもカレッジワールドシリーズに進む充実した1年を過ごした。ドラフトでは高校生のとき全体31位指名を拒否し、アーカンソー大学在籍時に受けた全体7位指名でレッドソックスに入団した。

プロ入り後はわずか1年でメジャーデビュー。初安打を岩隈久志から放った。当時、ダスティン・ペドロイアから「(22歳でなく)32歳のような振る舞いをしている。常に自分をコントロールできているから長く活躍できるはずだ。」と太鼓判を押された。また、チリ・デービス打撃コーチからスイングがセクシーだと褒められ(?)ている。

ルーキー資格を残した2017年、メジャーでフルシーズン過ごして20本塁打、20盗塁をマーク。走塁・守備でもハイレベルに活躍したが、この年はアーロン・ジャッジ(52本塁打)が凄すぎたため、新人王獲得とはならなかった。

デビュー後早くから活躍していたベニンテンディだったが、短縮シーズンの2020年は右胸の故障などコンディションが整わず、自己最少の14試合の出場で打率.103と悲惨なシーズンに終わり、翌年のシーズン途中でトレードに出された。ボストンの花形ポジションであるレフトの名プレーヤーとして、テッド・ウィリアムズ、カール・ヤストレムスキー、ジム・ライス、マニー・ラミレスのあとにベニンテンディの名を刻む夢は叶わなかった。

一方、ロイヤルズでは10年レフトを務めたアレックス・ゴードンが引退し、外野の補強が急務となっていた。カリル・リーとフランチー・コルデロの両プロスぺクトを放出し、三角トレードでベニンテンディを獲得した。ロイヤルズ初年度は17本塁打を放っただけでなく、マイケル・A・テイラーと鉄壁の左中間コンビを形成。候補者止まりだったゴールドグラブをようやく受賞することができた。

ちなみに、有数の守備力を持つレフトとして周知されているが、もともとの本職はセンター。レッドソックスでメジャーデビューしたとき、センターにはより守備力が高いジャッキー・ブラッドリーJr.がおり、レフトで出場するようになった。同時期にはムーキー・ベッツもライトへコンバートされている。レッドソックス時代は宿敵ヤンキースとの相性が良く、ロイヤルズに来てからは同地区ナンバー1の好投手シェーン・ビーバーを得意としており、クラッチぶりを発揮している。

寄稿日:2022-06-20 最終更新日:2022-06-20
オールスター:なし

主な表彰:ゴールドグラブ賞1回(21),

タイトル:なし

▼ベニンテンディのレフトフェンス超えホームランキャッチ

▼絶対に落とせないALCS第7戦9回2死のベニンテンディのダイビングキャッチ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2016 BOS 34 105  31 11 1  2 14 10 1 25  1 .295 .359 .476

2017 BOS 151 573 155 26 1 20 90 70 6 112 20 .271 .352 .424

2018 BOS 148 579 168 41 6 16 87 71 2 106 21 .290 .366 .465

2019 BOS 138 541 144 40 5 13 68 59 7 140 10 .266 .343 .431

2020 BOS 14  39  4  1 0  0  1 11 1 17  1 .103 .314 .128

2021 KC 134 493 136 27 2 17 73 36 2 97  8 .276 .324 .442


サルバドール・ペレス


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Salvador Perez (フルネーム/Salvador Johan Perez)

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1990-05-10生|191cm116kg|捕手 右投右打

出身地/ベネズエラ カラボボ州バレンシア

プロ入り/2006年10月KC契約

メジャーデビュー/2011-8-10
■選手紹介

メジャー最高レベルの打撃、守備力を誇る、ア・リーグを代表するキャッチャー。カンザスシティ・ロイヤルズのフランチャイズ・プレイヤーであり、2015年のワールドチャンピオンの生き残りでもある。一時期はケガによる離脱と打撃成績の悪化があったが、2021年に大谷翔平らとの激しいホームラン王争いを繰り広げ、むしろ今がピークかのようなパフォーマンスを見せている。見た目がジャイアンに似ている。

ベネズエラ出身のペレスは2006年にロイヤルズと契約。メジャー2年目の2012年、スモールマーケットのロイヤルズには珍しく5年契約を提示された。その後、押しも押されぬ正捕手として活躍し、2013~18年に6年連続してオールスターに選出。その間、4年連続20本塁打以上を放ち、5度のゴールドグラブ賞を受賞した。

2019年のスプリングトレーニング中に右ヒジの腱を故障し、投手以外ではあまりないトミー・ジョン手術でシーズンを全休した。翌2020年はカムバック賞を、21年は8月以降にアーチを量産して打率.273・48本塁打・121打点・OPS.859の好成績をマーク。本塁打王と打点王に輝き、1970年のジョニー・ベンチ以来となるキャッチャーによる打撃2冠となった。48本はキャッチャーのシーズン本塁打の新記録でもあった。

もともと強打と堅守を兼ね備えた球界でも最高峰のキャッチャーとして名高かったが、大谷らとのホームラン王争いで日本での知名度も急上昇した。打撃は極度のフリースインガーであるが、ホームランキングになってから問題視する声が少なくなった。守備もフレーミング以外の技術は優秀で盗塁阻止率もトップレベルにある。小児ガン患者の支援をはじめ、様々なチャリティ活動に携わっていて、ロベルト・クレメンテ賞の栄誉に輝く日が来るかもしれない。

2013・17年と連続してWBCベネズエラ代表として出場している。17年大会のイタリア戦では、同じロイヤルズのキャッチャーだったドリュー・ビュテラと交錯して右ひざを負傷するアクシデントがあった(ロイヤルズで再会した際ビュテラは平謝りだった)。2020年にはアメリカ永住市民権を取得しているが、次回大会(2023年予定)もベネズエラ代表のホームプレートを守っているに違いない。

寄稿日:2022-06-20 最終更新日:2022-06-20
オールスター:7回(13,14,15,16,17,18,21)

主な表彰:ALL-MLB 1st2回(20,21), ゴールドグラブ賞5回(13,14,15,16,18), シルバースラッガー賞4回(16,18,20,21), カムバック賞1回(20), ワールドシリーズMVP1回(15),

タイトル:ホームラン王1回(21), 打点王1回(21),

▼ミゲル・カブレラから借りたバットでホームランを打つサルバドール・ペレス

▼膝をついたままとは思えない送球で盗塁を防ぐサルバドール・ペレス

▼シーズン48号3ランを放ち捕手のホームラン記録を更新するサルバドール・ペレス

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2011 KC  39 148  49  8 2  3 21  7 1 20  0 .331 .361 .473

2012 KC  76 289  87 16 0 11 39 12 1 27  0 .301 .328 .471

2013 KC 138 496 145 25 3 13 79 21 4 63  0 .292 .323 .433

2014 KC 150 578 150 28 2 17 70 22 3 85  1 .260 .289 .403

2015 KC 142 531 138 25 0 21 70 13 4 82  1 .260 .280 .426

2016 KC 139 514 127 28 2 22 64 22 8 119  0 .247 .288 .438

2017 KC 129 471 126 24 1 27 80 17 5 95  1 .268 .297 .495

2018 KC 129 510 120 23 0 27 80 17 12 108  1 .235 .274 .439

2020 KC  37 150  50 12 0 11 32  3 2 36  1 .333 .353 .633

2021 KC 161 620 169 24 0 48 121 28 13 170  1 .273 .316 .544


ハンター・ドージャー


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Hunter Dozier (フルネーム/Hunter William Dozier)

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1991-08-22生|193cm100kg|三塁手、一塁手、右翼手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 テキサス州ウィチタフォールズ

ドラフト/2013年KC1巡目(全体8位)指名

メジャーデビュー/2016-9-12
■選手紹介

1度覚醒しかけたが伸び悩みが続く元ドラフト全体8位の三塁手。2019年に26本塁打・84打点・リーグ最多の10三塁打を記録したのがキャリアハイ。ゴルフと狩猟が趣味で、SNSにライフルを手にハンティングを楽しむ投稿をアップしているが、某社の2022年版の選手名鑑で「獲物よりも自分が一皮むけたい狩人」とdisられている。

ドージャーは高校時代、野球とフットボールの両方で大学からオファーが来るアスリートだった。シニア(3年生)のときに鎖骨を骨折し、野球に絞る決断をした。大学はスティーブンF.オースティン州立大学でプレー。ショートを守り、1人だけ異次元のバッティングでチームを牽引した。

2013年のドラフトでは予想より高順位の1巡目(全体8位)でロイヤルズに入団。2016年にメジャーに上がってからなかなか芽が出なかったが、2019年に139試合に出場して26本塁打・84打点・OPS.870・リーグ最多の10三塁打の好成績を残す。ロイヤルズから総額2300万ドルの4年契約をもらい、レギュラーとして活躍するかと思われたが以降成績を落としている。

守備に関してはサードは本当に大学時代ショートを守っていたのか?と思うレベル。ほかに外野両翼と一塁も守るがお世辞にも上手いとは言えない。デビュー以来、毎年dWAR(守備のWAR)がマイナスのせいで2021年までの通算WAR(Baseball-Reference)は-1.4となっている。

愛称は名前をもじった"Bull Dozer"。2020年は新型コロナの影響でドージャーのボブルヘッド人形を配るイベントが中止になったが、2021年7月に無事に行われた。ただのボブルヘッド人形ではなく、ミニチュアのブルドーザーにドージャーが乗っている凝ったデザインだった。

寄稿日:2022-06-20 最終更新日:2022-06-20
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼史上初!新人の連続ホームランでサヨナラ勝ち!(2人目:ハンター・ドージャー)

▼ブルドーザーに乗ったドージャーのボブルヘッド人形

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2016 KC  8  19  4  1 0  0  1  2 0  8  0 .211 .286 .263

2018 KC 102 362  83 19 4 11 34 24 1 109  2 .229 .278 .395

2019 KC 139 523 146 29 10 26 84 55 3 148  2 .279 .348 .522

2020 KC  44 158  36  4 2  6 12 27 1 48  4 .228 .344 .392

2021 KC 144 487 105 27 6 16 54 43 7 154  5 .216 .285 .394


MJ・メレンデス


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MJ Melendez (フルネーム/Mervyl S. Melendez)

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1998-11-29生|185cm86kg|三塁手、指名打者、右翼手 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 フロリダ州デイトナビーチ

ドラフト/2017年KC2巡目(全体52位)指名

メジャーデビュー/メジャー経験なし
■選手紹介

弱点だった荒い打撃を克服し、評価が急上昇している強肩キャッチャー。初めてのAAA級でも猛打が止まらず、2021年にAA・AAA2階級で41本塁打・103打点と打ちまくった。MJはマービルジュニアの略でフルネームは"マービル・サビエル・メレンデス"。弟のジェイデン・メレンデスもキャッチャー。

MJの父マービルはプエルトリコのカロリーナで生まれ育ち、13歳でフロリダ州オーランドに移住した。母親はプエルトリコの首都サンファン生まれで5歳の時にこちらもフロリダへ渡ってきた。父マービルはフロリダの大学で野球をやっていて、その後指導者になり、アラバマ州の高校でコーチに就任。2013年にはベースボール・アメリカに"40歳未満の監督トップ10"に選ばれた。その後、フロリダ国際大学から猛烈なオファーがあり指導することになった。

MJはアラバマ州の高校でプレーしていたが、父親がフロリダ国際大に招かれたため、シニア(4年生)になってフロリダ州の高校に転校した。卒業後に父親が指導するフロリダ国際大への進学が内定していたが、ロイヤルズからドラフト2巡目指名。熟考の末、高卒でプロへ進むことを決めたロイヤルズへの入団を決めた。

マイナー1年目から長打力と強肩を披露。A+で脅威の盗塁阻止率60%(60回中36捕殺)を記録している。一方でバッティングは三振率が30%を超える粗削りな面があった。しかし、マイナーの特任打撃コーチに就任したマイク・トサールに徹底的に打撃改造を受ける。上半身の回転やレッグキックを大きく修正し、アプローチが大きく改善した2021年はマイナーリーグ最多の41本塁打を記録。以前の予想より大幅に速い2022年序盤にメジャー昇格、故障離脱したサルバドール・ペレスやカム・ギャラガーの穴を埋めている。

ちなみに、トサール打撃コーチからは過去にホルヘ・ソレアとペレスも指導を受けており、メレンデスもホームランキングに輝く日が来るのかもしれない。ただし正捕手にはペレスが健在なため、サードや外野守備の猛特訓が必要だ。

寄稿日:2022-06-20 最終更新日:2022-06-20
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼難しい変化球をキャリア初ホームランに仕留める、急成長中のMJ・メレンデス

▼MJ・メレンデスの強肩とニッキー・ロペスの流れるようなタッチプレー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2021年メジャー経験なし)


マーク・キャナ


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Mark Canha (フルネーム/Mark David Canha)

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1989-02-15生|188cm95kg|左翼手、右翼手、一塁手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 カリフォルニア州サンノゼ

ドラフト/2010年FLO7巡目(全体227位)指名

メジャーデビュー/2015-4-8
■選手紹介

メジャー屈指の当たり屋として認知されつつある巧打の外野手。内角球を怖がらない打撃スタイルで、2021年は27個当たって同業者(?)のタイ・フランスと死球王を分け合った。大谷翔平の内角高めへの投球にクレームをつけたシーンは記憶に新しい。ただデッドボールが多いだけでなく選球眼が良いため、常に高い出塁率が見込める。また、外野3ポジションを無難にこなす器用さも持ち合わせている。

カリフォルニア州サンノゼ出身のキャナは、大学も地元の名門カリフォルニア大学バークレー校に進学して経済学を専攻。2010年に7巡目でフロリダ・マーリンズに入団した。2014年にAAA級で好成績を残していたが、周囲の予想に反してプロテクトされなかった。案の定ルール5ドラフトにかかり、コロラド・ロッキーズに指名された直後にオークランド・アスレチックスにトレードに出された。確かな選球眼を持つキャナをアスレチックスのビリー・ビーンGMが以前から目を付けていたと言われている。また、アスレチックスは年俸総額削減のため複数のパワーヒッターを放出しており、格安の主軸候補を求めていた。

ライバルが少ないアスレチックスでは2015年の開幕からレギュラーとして起用され、一塁と外野両翼を守りながら16本塁打と放ち、新人としては及第点の結果を残した。その後は腰と股関節のケガに苦しんだ時期があったが、2019年に26本塁打・OPS.913とブレイク。同時にこの頃からデッドボールの数が急激に増えていった。

2021年オフ、大富豪のスティーブ・コーエンがメッツの新オーナーになり、積極補強を展開する中でキャナを2年+オプション付きの3年契約でメッツに引き入れた。

Canhaと綴ってキャナと読ませるが、現地の実況やチームメイトによっては「カナ」と呼んでいる。ただ、明らかに間違っている「カンハ」と表記する日本のメディアがいるのでやめてほしい。

寄稿日:2022-06-12 最終更新日:2022-06-12
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼頭部付近への投球に怒り心頭のキャナ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2015 OAK 124 441 112 22 3 16 70 33 8 96  7 .254 .315 .426

2016 OAK 16  41  5  0 0  3  6  0 1 20  0 .122 .140 .341

2017 OAK 57 173  36 13 1  5 14  7 6 56  2 .208 .262 .382

2018 OAK 122 365  91 22 0 17 52 34 10 88  1 .249 .328 .449

2019 OAK 126 410 112 16 3 26 58 67 18 107  3 .273 .396 .517

2020 OAK 59 191  47 12 2  5 33 37 10 54  4 .246 .387 .408

2021 OAK 141 519 120 22 4 17 61 77 27 128 12 .231 .358 .387


ピート・アロンソ


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Pete Alonso (フルネーム/Peter Morgan Alonso)

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1994-12-07生|191cm111kg|一塁手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 フロリダ州タンパ

ドラフト/2016年NYM2巡目(全体64位)指名

メジャーデビュー/2019-3-28
■選手紹介

ルーキーイヤーに53本ものホームランを放ち、数々の球団記録を塗り替えたホームランアーティスト。厳しい内角攻めによるデッドボールが恐い。父方の祖父がスペインからの移民で、2021年オフに結婚した妻は元フィギュアスケーター。2022年シーズン開幕前に信号無視の車に衝突される事故に遭い、車が3回転したがアロンソと同乗者はほぼ無傷だった。

アロンソはフロリダ州タンパで生まれ育ち、野球のほかにラクロスとフットボールを掛け持ちしていた。高校在学中に野球に専念し、サードを守った。卒業後に地元の強豪フロリダ大学へ進学。在学中に2年連続でカレッジワールドシリーズに出場した。ジュニア(3年生)だった2016年にドラフト2巡目(全体64位)指名を受けてニューヨーク・メッツに入団した。

2017~18年はマイナーで持ち前の長打力を発揮し、MLB公式の有望株ランキングの球団4位にランクされた。AAA級ラスベガス51sでプレーした2018年にフューチャーズゲーム(マイナーリーグのオールスター)に出場した。この年限りでラスベガスの本拠地キャッシュマン・フィールドはフットボール専用になることが決まっていて、シーズン最終戦の9回裏にサヨナラHRを放ち、球場最後のバッターとして名が刻まれた。

2019年は開幕をメジャーで迎え、2番・ファーストのレギュラーとして出場。ホームランを量産し、4月と6月に月間MVPを獲得した。前半戦だけでメッツの新人記録を更新する30本塁打を放ち、オールスターに選出された。8月15日に39号を放ってコディ・ベリンジャーのナ・リーグ新人記録に並び、27日にはダルビッシュ有からの42号ホームランでメッツのシーズン本塁打記録を更新した。最終的にホームラン数は53本になり、新人王に加えてホームラン王に輝いた。

短縮シーズンとなった2020年は、弱点の外角に逃げる変化球に苦しみ2年目のジンクスに陥りかけたが、シーズン中に克服し9月だけで10本塁打を放って帳尻を合わせた。翌2021年は実働3年目で100号に到達。シーズン全体では37本を記録した。

2019年のデビュー以降、オールスター前日のホームラン競争に2度とも出場(2020年は行われなかった)しているが、2019年から優勝賞金が12.5万ドルから100万ドルになった。打撃フォームを崩したり休養日が削られるのを嫌ってホームラン競争を辞退する選手が続出し、インセンティブとして賞金額が大幅に増やされたのだった。アロンソは2019年・21年と連続優勝を飾り、歴代で最も多くホームラン競争で稼いだスラッガーとなった。

寄稿日:2022-06-12 最終更新日:2022-06-12
オールスター:1回(19)

主な表彰:ALL-MLB 1st1回(19), 新人王1回(19)

タイトル:なし

▼守備もうまいアロンソ

▼新人で53本目のホームランを放つピート・アロンソ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2019 NYM 161 597 155 30 2 53 120 72 21 183  1 .260 .358 .583

2020 NYM 57 208  48  6 0 16 35 24 6 61  1 .231 .326 .490

2021 NYM 152 561 147 27 3 37 94 60 12 127  3 .262 .344 .519


カリル・リー


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Khalil Lee (フルネーム/Khalil Rashad Lee)

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1998-06-26生|178cm77kg|外野手 左投左打

出身地/アメリカ合衆国 デラウェア州ニューアーク

ドラフト/2016年KC3巡目(全体103位)指名

メジャーデビュー/2021-5-17
■選手紹介

プロバスケットボーラーになりたかったが身長が止まってしまい、高校時代に野球一本に絞る決断をした俊足外野手。少年時代に一時期ボルティモアに住んでいてアダム・ジョーンズを応援していたが、本当に好きな選手はケン・グリフィーJr.。高校時代は90マイル後半の速球を投げる二刀流で活躍した。

プロ入り前のリーはバージニア州の高校でプレーし、投手兼外野手としてチームを牽引。投打ともに向かうところ敵なしで、シニア(4年生)のシーズンにバージニア州の最優秀選手賞に選ばれた。学業も優秀で、ボランティア活動にも精を出す優等生だった。

2016年のドラフトでロイヤルズから3巡目指名を受ける。他の球団は高校生離れしたパワーピッチに注目していたが、ロイヤルズは走攻守の優れたツールを評価し、外野手として指名した。高校卒業後はリバティ大学へ奨学金付きでの進学が内定していたが、オーバースロットの75万ドルの契約金を提示され、プロ入りすることになった。

入団1年目にルーキーリーグで目を見張る活躍をしたことで、MLB公式が選ぶロイヤルズの有望株ランキング1位に選出された。2019年にはAA級で53盗塁をマークしたが、2020年にアンドリュー・ベニンテンディがメインの三角トレードに巻き込まれ、ニューヨーク・メッツへ移籍した。

移籍翌年の2021年にメジャーデビュー。初ヒットが延長12回勝ち越しタイムリーとなるクラッチぶりを見せたが、その前はメジャー初打席から8連続三振を喫しており、シーズン全体で18打席中13三振とヒッティングツールの力不足が明らかだった。

守備面では落下点までの追い方がいまいちだが、俊足を活かした守備範囲の広さと球際の強さはハイレベル。強肩のためライトを守ってきたがセンターに入ることも可能。打撃は小柄な体格に似合わずパワーがあり、あとはヒッティングツールのみ。打撃の正確性とゴロ率を改善すればレギュラー奪取は見えてきそうだ。

寄稿日:2022-06-12 最終更新日:2022-06-12
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼キャリア初ヒットが延長戦勝ち越しタイムリーとなったカリル・リー

▼クラッチディフェンダーっぷりを見せるカリル・リー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2021 NYM 11  18  1  1 0  0  1  0 0 13  0 .056 .056 .111


パトリック・マジーカ


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Patrick Mazeika (フルネーム/Patrick Alan Mazeika)

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1993-10-14生|191cm95kg|捕手、一塁手 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 マサチューセッツ州スプリングフィールド

ドラフト/2015年NYM8巡目(全体239位)指名

メジャーデビュー/2021-4-11
■選手紹介

メッツでちょっとした人気者になったキャッチャー兼ファースト。メジャー初ヒットを打つ前に2度フィルダースチョイスで打点を挙げ、ラッキーボーイ的な存在に。また、某Youtubeチャンネルに"キング・オブ・フィルダースチョイス"として取り上げられたことで日本人の知名度も上々である。

マジーカはボストンのあるマサチューセッツ州出身で、好きな選手は元レッドソックスで同じキャッチャーのジェイソン・バリテックだった。プロ入り前はステッソン大学で正捕手兼一塁手としてプレー。大学時代の盗塁阻止率は34%。総合力を評価されてドラフト8巡目でメッツに指名された。高順位での指名ではなかったが、持ち前の辛抱強い打撃でマイナーリーグで結果を出し続けた。2020年8月、念願のメジャー26人枠に入るも出場機会は得られなかった。

2021年5月に再びメジャー昇格。現地5日に念願の初出場を果たすと、2試合目の出場となった試合に代打で出場すると、サヨナラフィルダースチョイスとなる一塁ゴロを放つ。3試合目は満塁の場面から代打で押し出し四球を選び、4試合目も代打出場でサヨナラフィルダースチョイスを決めた(?)。スタッツ上では目立った成績を残していないが、珍しい形での活躍に人気急上昇となった。

2022年は背番号が76→4に大出世。ジェームズ・マッキャンのバックアップ捕手としてメジャーに帯同する。しかし、メッツNo.1有望株であるキャッチャーのフランシスコ・アルバレスがAAに控えており、メジャー定着を死守できるか注目だ。

寄稿日:2022-06-11 最終更新日:2022-06-11
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼サヨナラフィルダースチョイスで打点を挙げるマジーカ

▼再びサヨナラフィルダースチョイスで打点を挙げるマジーカ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2021 NYM 37  79  15  3 0  1  6  4 3 18  0 .190 .253 .266


タイラー・メギル


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Tylor Megill (フルネーム/Tylor J. Megill)

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1995-07-28生|201cm104kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 カリフォルニア州ロングビーチ

ドラフト/2018年NYM8巡目(全体230位)指名

メジャーデビュー/2021-6-23
■選手紹介

ボロボロだったメッツの先発ローテーションを救った先発右腕。2021年開幕前までほぼ無名の存在だったが、野戦病院と化したチームでスポット的に先発したところ好投を続け、そのまま先発ローテーションの一角となった。身長が2メートル超あり「ビッグ・ドリップ」と呼ばれている。

高校でドラフト指名されなかったメギルは、ロヨラ・メリーマウント大学へ進学。1年プレーしただけでコミュニティカレッジのサイプレス大学へ転学、さらに翌年アリゾナ大学へ編入している。大学時代は先発希望していたがリリーフで出ることの方が多かった。

メッツ入団後のメギルはファストボールとスライダーのツーピッチで奪三振を量産し、比較的早くマイナーを駆け上がった。メッツの有望株ランキングに載ったのは20~30位程度だったが、メッツの先発投手陣が(先発だけではないが)相次いで戦線離脱し、2021年にメジャー昇格後即先発登板。試合を壊さないピッチングを続け、そのまま先発ローテーション入りした。

もともと高評価だったフォーシームの球速は、平均94マイルだった2021年よりスピードアップしている。2022年は平均95マイル台を計時した。投球フォームは特徴的な左腕の使い方をしていて、右打者からはクロス気味に感じられるためか対右打者に圧倒的に強い。マイナー時代は酷評されたチャンジアップも少し上達していて、今後もスターターとして生き残れる力がある。もっとも、メッツでは必ずケガ人が続出するので、この球団にいる限りはスターターの座は安泰かもしれない。2022年も2大エースが長期離脱している。

タイラーという名前は普通"Tyler"と綴るが、3歳違いの兄トレバー(Trevor)に合わせて"Tylor"と名付けられた。トレバーも2021年に初出場を果たしていて、兄弟で同じ年にメジャーデビューした史上4組目のメジャーリーガーとなっている。また、2015年に入学したロヨラ・メリーマウント大学ではトレバーも所属していて、兄弟だけでチーム全体の1/4の投球イニングを投げた。2人の間の学年にはデービッド・フレッチャーがいた。

寄稿日:2022-06-11 最終更新日:2022-06-11
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2021 NYM 18 4 6 0  4.52 89.2 88 45 19 27 2 99 1.28 3.67


アダム・オッタビーノ


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Adam Ottavino (フルネーム/Adam Robert Ottavino)

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1985-11-22生|196cm112kg|リリーフ 右投両打

出身地/アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク

ドラフト/2006年STL1巡目(全体30位)指名

メジャーデビュー/2010-5-29
■選手紹介

イニシャルのOにあやかって背番号0しか着ないことで有名なリリーフ右腕。95マイル超のシンカーと異様に曲がるスライダーが武器。コントロールが安定しないのは玉に瑕。2021年には9回2死から大谷翔平を三振に仕留めた後、つい汚い言葉を発してしまい物議を醸した。ニューヨークのマンハッタン生まれ・ブルックリン育ち。

ボストンにあるノースイースタン大学のエースだったオッタビーノは、2006年ドラフトの1巡目(全体30位)指名でセントルイス・カージナルスに入団した。2010年に初めてメジャーに上がったが22回1/3で37本のヒットを浴びた。その後、ロッキーズがクレイムすると、リリーフ投手として起用される。2012年にメジャーの舞台に返り咲き、主にセットアップマンとしてキャリアを積む。2018年には77回2/3で112個の三振を奪い、メジャー屈指のセットアップマンに成長。同年オフにリリーバーにしては高額な3年2700万ドルでニューヨーク・ヤンキースにFA移籍した。

故郷ニューヨークに帰ってきたオッタビーノだったが、ヤンキース在籍2年目に球威が落ち、防御率5.89と成績が悪化。メジャー経験の無い投手1人と引き換えにレッドソックスに放出された。ライバル関係からこの2球団間の交換トレードはかつて1例しかなく、34年ぶりとなるレアなトレードだった。ボストンで1年過ごしたあと、今度はニューヨーク・メッツと1年400万ドルで契約した。

2018年のシーズンオフにドライブライン・ベースボールへ通い、本格的に投球フォームを見直した。結果、極めて変化量の多いスライダーを習得。その異常に曲がる球筋はSNSやメディアを通じて広がり、特に某野球専門メディアF●ll-Countの恰好の餌食となった。2021年以降はあまり取り上げられなくなったが、今度は大谷翔平を空振り三振に打ち取ったあとに"Bye bye, f*cking happy birthday, b*tch"と言ってしまい、別の形でメディアの餌食となった。

寄稿日:2022-06-11 最終更新日:2022-06-11
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ベースカバーもうまい、ロッキーズ時代のオッタビーノ

▼恐ろしく曲がるオッタビーノのスライダー

▼物議を醸したオッタビーノの口の動き

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2010 STL  5 0 2 0  8.46 22.1 37 21  5  9 0 12 2.06 1.33

2012 COL 53 5 1 0  4.56 79.0 76 40  9 34 1 81 1.39 2.38

2013 COL 51 1 3 0  2.64 78.1 73 23  5 31 2 78 1.33 2.52

2014 COL 75 1 4 1  3.60 65.0 67 26  6 16 4 70 1.28 4.38

2015 COL 10 1 0 3  0.00 10.1  3  0  0  2 1 13 0.48 6.50

2016 COL 34 1 3 7  2.67 27.0 18  8  3  7 2 35 0.93 5.00

2017 COL 63 2 3 0  5.06 53.1 48 30  8 39 4 63 1.63 1.62

2018 COL 75 6 4 6  2.43 77.2 41 21  5 36 6 112 0.99 3.11

2019 NYY 73 6 5 2  1.90 66.1 47 14  5 40 2 88 1.31 2.20

2020 NYY 24 2 3 0  5.89 18.1 20 12  2  9 1 25 1.58 2.78

2021 BOS 69 7 3 11  4.21 62.0 55 29  5 35 7 71 1.45 2.03