大谷翔平のフィーバーに隠れてしまっているが、いよいよ東京オリンピック2021の開幕が近づいてきた。野球の参加国は6チームしかないうえ、メジャーのロースター入りしている選手は派遣されないなど、少々寂しい大会となりそうだ。それでも実績充分な元メジャーリーガーや、将来大物になりそうな有望株が多く出場予定である。MLB名鑑.comでは今大会の注目すべき選手をピックアップしてみた。
◆シメオン・ウッズ・リチャードソン(先発投手)
高卒でプロ入りしてから毎年評価を上げ、今年はメジャー公式サイトの有望株TOP100に選出された。メッツから2018年に指名されて入団したが翌年マーカス・ストローマンの交換要員としてブルージェイズに移籍した。背中のユニフォームに”WOODS RICHARDSON”の15文字が刺繍されれば、ジャロッド・サルタラマッキア(Saltalamacchia)を抜いてメジャー史上最長となる。
◆スコット・カズミアー(先発投手)
デビルレイズがお荷物球団だった時代にチームを支えた元エース。「マネー・ボール」の舞台となった2002年ドラフトの1巡目・全体15位指名でプロ入りしており、作品に名前が登場している。若手の頃はフォーシームで押すパワーピッチャーだったが技巧派に転身して現役を続けている。2度も独立リーグで投げた時期がある苦労人で、2021年はジャイアンツ傘下のAAAにいるが、5月に5年ぶりのメジャー復帰を果たした。
◆マーク・ゼプチンスキー(中継ぎ投手)
メジャー7球団で通算506試合に登板実績のある、かつての左殺しのスペシャリスト。MLBでは2020年から投手交代のルール変更があり、左のワンポイントリリーフが使いづらくなったことでゼプチンスキーのメジャー復帰はかなり難しい状況だ。オリンピックでも左の中軸相手に登板機会があるだろう。実績よりもどう発音すればいいかわからない名前(Rzepczynski)のおかげで知名度が高い。
◆アンソニー・ゴーズ(中継ぎ投手)
外野手として3年ほどメジャーでプレーした後ピッチャーに転向し、5年かけてメジャー再昇格目前のところまで来た左投げ投手。恐ろしく身体能力が高く、高校生ですでに97マイル(156km/h)を投げていた。現在も今年で31歳とは思えないほど身体が若い。
◆トリストン・カサス(一塁手)
レッドソックス傘下のマイナーに所属する左の長距離砲。2018年のドラフト1巡目指名。空振りが多いが逆方向に強い打球を飛ばす能力がある。ファーストの守備はうまいものの、たまに守るサードの動きが悪く、オリンピックでもサードを守る場面があると穴になるかもしれない。
◆マット・ケンプ(外野手)
今大会のメンバーで最も実績があるベテラン外野手。ドジャースを中心に長年活躍してホームラン287本・1031打点・184盗塁を残している。2021年はどの球団とも契約していない。2014年オフにパドレスにトレードに出された経験があるが、奇しくも一緒に移籍したティム・フェデロウィッツも今回アメリカ代表に選ばれている。
オリンピック最終予選では出場していた有望株で、マシュー・リバトーレとジャレン・デュランは所属球団の意向で選出見送りとなった。また、正捕手候補だったベテランのマット・ウィータースは選ばれなかった。
一方でNPBからはタイラー・オースティン(DeNA)、スコット・マクガフ(ヤクルト)、ニック・マルティネス(ソフトバンク)が、オリックスで8年半プレーしたブランドン・ディクソン、2014年日ハム所属のアンソニー・カーターも選ばれており日本球界と縁のある選手が多く代表入りしている。日本戦でどんな活躍を見せるのか注目したい。