球史上初めて亡命者を受け入れたチーム編成をした今回のキューバ代表。実際に招集されたのは限られた選手のみで、基本的にはキューバ国内リーグの選手たちで構成されている。日本プロ野球に育成契約で入ってくるキューバ人助っ人が多いように国内リーグのレベルの低下は厳しく、プールDに次ぐ死の組突破は至難の業だ。
【投手】 |
22 フランク・アルバレス(中日ドラゴンズ) |
2021年オフに中日ドラゴンズに育成契約で入団した若手右腕。同郷のライデル・マルティネスと一緒に自主トレし、今大会の参加を熱望していた。 |
57 ロナルド・ボラノス(ロイヤルズ傘下AAA) |
99マイルのムービングファストボールでゴロの山を築くオーバースローの右腕。スライダーと変化量の大きいカーブを駆使する。2016年にMLBを目指して亡命し、2020年にロイヤルズでメジャーデビューした。メジャー⇔AAAの昇降格を繰り返し、4年でまだ18試合しか登板機会がない。 所属先でスイングマンの役割を担っているため、今大会でもどこで出てくるか読めない。 |
21 ナイケル・クルーズ |
今回のキューバ代表投手陣で1番若いサウスポー。キューバ人っぽい投げ方をする。たまに先発するが基本的にはロングリリーフの扱いを受けている。昨季はメキシカンリーグに参加してボコボコに。 |
55 ロエニス・エリアス(カブス傘下AAA) |
数年前はメジャーの先発ローテーション候補だったサウスポー。右打者対策を編み出せないうちに見切られ、AAAから再起を図っている。MLB通算で22勝しかしていないがもっと活躍していた印象がある。 |
98 オネルキ・ガルシア |
中日ドラゴンズで大活躍したことで日本で知名度が高いサウスポー。メジャーでも先発ローテ入りのポテンシャルを持っていたがメジャーの壁は高く、2017年オフに来日。チーム史に残る暗黒期の中13勝9敗・防御率2.99の好記録を残しチームを引っ張った。翌年から阪神タイガースに引き抜かれたがその後は鳴りを潜め、CPBL(台湾プロ野球)を経てメキシカンリーグに移った。 1度メジャーを目指して亡命しているが居住地の問題でMLB入りできず、その後ドラフトでプロ入りというレアな経歴の持ち主でもある。 |
53 エリアン・レイバ(楽天/台湾) |
WBC期間中に34歳になるベテラン投手。キューバ国内リーグ以外にアメリカ、メキシコ、ベネズエラ、イタリア、スペインでプロリーグに所属した本物のジャーニーマン。今季からはCPBL(台湾プロ野球)の楽天モンキーズでプレーすることが決まった。 ツーシーム系の速球とチェンジアップとスライダー、カーブが持ち球。投球スタイルはゴロ打たせ系。 |
92 ライデル・マルティネス(中日ドラゴンズ) |
中日ドラゴンズのクローザーも、今や日本を?代表するリリーフ投手になった感がある。今大会でスラッガー相手に好投したら2024年は複数年メジャー契約間違いなし。 |
89 リバン・モイネロ(ソフトバンク・ホークス) |
日本を?代表するリリーフピッチャー。キューバ国内リーグからソフトバンクホークスに2017年に加入。勝ち試合で登板するリリーフエースとしてMAX158km/hのファストボールとカーブで圧倒的な成績を残してきた。19年以降4年連続防御率1点台。今季は3年契約の2年目を迎えるが早くメジャーへ行けとの声も。 |
91 ジェウディス・レイエス |
昨年刷新されたキューバ国内リーグのエリート・リーグで大活躍したクローザー。キューバ国内で高い人気を誇る。WBCではライマルやモイネロが予想されている勝利の方程式に食い込めるか? |
82 ホゼ・ロドリゲス |
キューバ国内リーグ一筋のフランチャイズ・プレイヤー。まだ30歳だが既に10年以上先発投手を務めてきた実績がある。 |
29 ジャリエル・ロドリゲス(中日ドラゴンズ) |
今季も中日ドラゴンズで4年目を迎えるセットアップマン。来日時は先発だったがリリーフ転向で成功を収めた。 |
45 ミゲル・ロメロ(アスレチックス傘下AAA) |
オークランド・アスレチックスのマイナー上位でプレーする右投げ投手。2016年にキューバを亡命。アスレチックス入団直後はリリーフもその後先発転向をテストされたが結果を残せず、次第に球団内のプロスペクト度が急落していった。 150km/h台後半のファストボールに加えスライダーにも見るものがあり、原石のまま埋もれるには惜しい人材。WBCをショーケースにして好契約を取り付けたい。 |
83 カルロス・ビエラ |
国際大会でよく出てくるベテラン右腕。2種類の速球を投げ、スライダーとチェンジアップが得意球でカーブも投げる。 キューバ国内リーグで長くプレーしているが、ここ何年かメキシカンリーグに派遣されている。 |
58 ヨアンニス・イエラ |
キューバ国内リーグで長年活躍する左のベテラン先発投手。身長170cmに満たないが制球が良く、ときにナックルボールを投げる。昨季はメキシカンリーグに活躍の場を移し8月にノーヒッターを達成した。 |
【捕手】 |
29 アリエル・マルティネス(日本ハム・ファイターズ) |
中日ドラゴンズから日本ハムファイターズに移籍したキャッチャー。中日ではディンゴ(豪州代表監督)以来10年ぶりにマスクを被った外国人になった。自慢の打力で日ハムではレギュラー奪取を目指す。 |
17 アンドリス・ペレス |
2001年生まれの若いキャッチャー。強肩の評価が高い。キューバ国内リーグでプレー。 |
16 ロレンゾ・キンタナ |
昨季までアストロズ傘下の3Aでプレーしていたキャッチャー。3Aだけで3年のべ700打席以上立ったが1度もメジャーから声はかからなかった。 2015年に亡命もマイナーで試合に出られるようになるまで丸3年かかり、初めて3Aに上がったのが30歳では遅すぎた。 |
【内野手】 |
71 エリスベル・アルエバルエナ |
史上初めて亡命しながらキューバ国内リーグに復帰した内野手。メジャーでは契約問題で揉めて不完全燃焼に終わった。 2014年にドジャース傘下でプレーを始め同年中にメジャー昇格したが翌年以降は年俸枠の都合で再びメジャーで彼を見ることは無かった。AAAでの大乱闘や契規律違反で1年間の出場停止処分を受けるなど扱いづらい選手の印象もついてしまい、マイナーでの塩漬け生活を余儀なくされた。 2019年からキューバ政府に復帰を認められ、現在まで国内リーグやメキシカンリーグなどで活躍中。なお、正しいスペルはArruebarruena だがメジャーでは誤記のまま登録されてしまいArruebarrena でプレーした。 |
42 ダヤン・ガルシア |
キューバ国内リーグ一筋の35歳のベテラン遊撃手。多くの国際大会で代表に選ばれてきた。主にセカンドを守る。 |
47 ジュリスベル・グラシアル(前ソフトバンク・ホークス) |
昨季までソフトバンクで5年プレーした3拍子揃った外野手。2018年シーズンからプロ野球に派遣されると、翌19年に規定打席未満ながら28本塁打・打率319で首位打者を獲得する大活躍。しかし、年齢による衰えと頻繁に起きるプレー中の骨折のせいで成績を落とし、昨季限りで契約は見送られた。 |
77 アンディ・イバニェス(タイガース傘下AAA) |
メジャーで定位置を掴みかけた亡命組内野手。2021年に76試合に出場、昨季スプリングトレーニングの猛アピールが実って開幕スタメンを勝ち取ったが不振のまま終わった。19年にAAAで見せた20本塁打のポテンシャルをいまだ発揮できていない。 まだ若い印象があるが今年で30歳、亡命前の2013年にWBCに出場している。 |
8 ルイス・マテオ |
若くしてキューバ国内リーグのショートを守ってきた27歳の内野手。小柄な体格も4年続けて打率3割超えを記録し、球際に強い守備力も魅力。今大会のショートはアルエバルエナが入りそうなので内野のユーティリティ役か。 |
5 ヤディル・ムヒカ |
38歳のベテラン内野手。亡命しニューヨーク・ヤンキース傘下のマイナーでプレーしAAAまで到達。メジャーには届かず契約を切られると2014年に台湾の社会人野球のチームに所属し、メキシコの下部リーグなどを渡り歩いた後キューバへの復帰が認められた。長打はないが優れたコンタクト能力と選球眼は健在。 |
10 ヨアン・モンカダ(シカゴ・ホワイトソックス) |
現役バリバリのメジャーリーガー。キューバ国内リーグ時代から超人気物件で2014年にFA解禁後に争奪戦の末レッドソックスに入団。有望株ランキングの1ケタ台にランクされたがクリス・セールとの1対4の交換トレードで現在のホワイトソックスに移籍した。 ホワイトソックスでレギュラーを獲得し2019年に打率.315・25本塁打・OPS.915と大ブレイクを果たしたが、その後は相次ぐケガで低調なシーズンが続く。野球と同じくらい?歌が好きで、同郷の歌手とともに”Desastre Personal”というシングルをリリースした。 |
【外野手】 |
52 ヨエニス・セスペデス |
並外れた強肩とパワーで活躍していたが自己管理能力が足りずにメジャーを追われた外野手。オールスター2度、シーズン30本以上を2度、シルバースラッガーとゴールドグラブをそれぞれ1度受賞。輝かしい経歴を引っ提げ大型契約に漕ぎつけたが野球と無関係なケガで足首を骨折、それ以降はロクに試合に出ていない。 WBCには選出されたが、今季ドミニカ共和国のウィンターリーグに参加して打率が1割台に低迷。全盛期の姿を思うと現状は残念でならない。 |
54 アルフレッド・デスパイネ(前SBホークス) |
昨季までソフトバンクでプレーしたおなじみのデスパイネ。通算成績はキューバ国内リーグ239本塁打・OPS1.111、NPB184本塁打・OPS.842。 |
33 ヤディア・ドレイク |
かつてメジャーを目指して亡命したが夢叶わず、日本ハムファイターズを経てキューバに戻った外野手。昨季はメキシカンリーグでOPS.900超えと好調だった。 |
7 ヨエルキス・ギベルト |
スピードの評価が高い中堅手。アメリカ独立リーグ(※在カナダ球団のみ)やメキシカンリーグでプレー経験がある。 |
88 ルイス・ロベルト(シカゴ・ホワイトソックス) |
モンカダと同僚の現役バリバリのメジャーリーガー。2017年に亡命しホワイトソックスと契約。20年のメジャーデビューから毎年安定した打力と故障離脱を続けている。苗字と名前を入れ替えても違和感ゼロのメジャーリーガーランキングの優勝候補。 |
1 ロエル・サントス |
ロッテ・マリーンズに所属していたことがある韋駄天外野手。前回のWBCでは走り打ちが話題に。 |
【監督・主なコーチ】 |
監督 アーマンド・ジョンソン |
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打撃コーチ オレステス・キンデラン |
キューバのバッターと言えばキンデランが思い浮かぶ世代も多い、キューバ球界のレジェンド。キューバ国内リーグで通算487本塁打・1511打点などの歴代最多記録を保持している。キャリア晩年には日本の社会人野球のシダックスに参加、野村監督のもと常勝チームに変化させた。 |
投手コーチ ペドロ・ラソ |
国内リーグ最多の257勝を記録した投のレジェンド。21年にわたりプレーし、まだキューバが強かった頃にオリンピックでエースとして投げ、2度の金メダル獲得の原動力となった。 |
by【MLB名鑑.com専属コラムニスト】デッドボーラー
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