阪神タイガース 歴代助っ人外国人①(2000年以降)


MLB名鑑.com NPB助っ人外国人一覧

Hanshin Tigers
阪神タイガース
セントラル・リーグ

外国人名鑑2000年以降
【2023年までに在籍した外国人選手】
【2020年までに在籍した外国人選手】
【2015年までに在籍した外国人選手】
【2010年までに在籍した外国人選手】
【2005年までに在籍した外国人選手】
◇2023年までに在籍した外国人選手
42 カイル・ケラー
投手 在籍期間:2022~23(巨人24~)
アメリカ合衆国/1993年4月28日生/右投右打
期待以上
【NPB】61試合4勝2敗4S 防御率2.59 BB/9 3.2 K/9 11.3
【MLB】44試合1勝1敗0S 防御率5.83 BB/9 6.2 K/9 9.3

============ 選手紹介 ============

 2022年から勝ちパターンで投げたリリーフ右腕。150km/h中盤のフォーシームと鋭く曲がるカーブ(たぶんナックルカーブ)がメイン。ランナーの有無で大きくピッチングが変わりがちなのが弱点ではあったが、次第にNPBに慣れて防御率は2点台と安定した成績を残した。

 2年目の2023年途中に身内の病気を理由にアメリカに帰国、惜しまれながらもそのまま退団した。それなのに2024年シーズンからはまさかの巨人入りに阪神ファンの間に衝撃が走った。

Embed from Getty Images2020年 アリゾナでのエンゼルスの春季トレーニングに参加していたカイル・ケラー

24 ブライアン・ケラー
投手 在籍期間:2023
アメリカ合衆国/1994年6月21日生/右投右打
【NPB】1軍出場なし
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 2023年のタイガースに在籍した、もう1人のケラー。阪神ではウエスタンで3試合投げただけで7月に帰国→自由契約。岡田監督には「あいつなんやねん」と苦言を呈され、リハビリ費用を持ってもらう目的で来日したと疑われている。

 生まれてから大学までをウィスコンシン州で過ごし、2016年にドラフト39巡目・契約金わずか2000ドルでヤンキースに入団。AA時代に週間MVPを受賞したり、ノーヒッター(7イニング制)を達成したり下位指名ながら評価が急上昇。コントロールの良い、打たせて取るタイプのピッチャーとしてAAAまでは順調に昇格していった。

 それがマイナー全公式戦が中止となった2020年を境に、突然パワータイプのピッチャーに変身。ファストボールは155km/h前後を計時するようになり、ナックルカーブとチェンジアップで空振りを奪いに行くスタイルに変わった(同時に与四球率も悪化)。トリプルAで迎えた2021年に防御率2.77を記録。オフにマイナーフェーズのルール5ドラフトでレッドソックスに移籍し、22年には113イニングを投げて防御率3.27・126奪三振と結果を残したが、ここまで1度もメジャーから声はかからなかった。

 2022年12月に阪神タイガースと約8000万円強の年俸で契約。先発陣に食い込む活躍を期待されたが、春季キャンプでは一向にブルペンに入りたがらず開幕1軍を逃す。2軍でも3試合に投げただけでヒジが痛いと言い出し6月に帰国。そのまま契約解除された。

 7月に入ってケラーはインスタグラムを更新。トミー・ジョン手術を受けた直後と思しき写真を投稿した。写真には右ヒジのほか左手首と左ヒザにも包帯を巻いており、阪神入団前に痛めたのであればメディカルチェックの不備やスカウトの責任を問う声が上がった。また、このインスタを見て初めて顔を覚えた人や、そもそもケラーが2人いたことを知らなかった人が一定数いたようで、写真1枚で阪神ファンを大いに騒がせた。


2023/8/15のスポニチの記事より

98 コルテン・ブルワー
投手 在籍期間:2023
アメリカ合衆国/1992年10月29日生/右投右打
【NPB】13試合0勝1敗0S 防御率2.38 BB/9 4.8 K/9 11.1
【MLB】84試合2勝5敗0S 防御率4.98 BB/9 5.5 K/9 8.3

============ 選手紹介 ============

 ブライアン・ケラーが1度も投げず、WBC疲れの湯浅が深刻なコンディション不良のためシーズン途中に獲得したリリーフ右腕。フルタイムではないが150km/h超のカットボールをメインにするピッチングスタイル。2023年終了後シカゴ・カブスとの契約に成功しており、日本でのプレーはメジャー返り咲きを狙った腰掛けだった。それでもタイガースでは13試合で防御率2.38・奪三振率も10を超える好成績を残し、チームの日本一に貢献してくれた。

31 ジェフリー・マルテ
内野手 在籍期間:2019~22
ドミニカ共和国/1991年6月21日生/右投右打
【NPB】295試合 打率.266 安打263 本塁打39 OPS.799
【MLB】256試合 打率.222 安打146 本塁打30 OPS.695

============ 選手紹介 ============

 なんだかんだで阪神に4年在籍したMLB通算30本のプルヒッター。2015年デトロイト・タイガースで故障離脱のミゲル・カブレラの代役としてメジャー昇格すると、スタメン出場したデビュー戦で最初の3打席をシングルヒット→2塁打→ホームランと鮮烈なデビューを飾る。1ヶ月半で打率.250・4ホーマーと及第点の成績を残していたが、カブレラ復帰後は調子を崩し、AAA暮らしが続いた。2018年のエンゼルス時代に大谷翔平やアルバート・プホルスとともにDHで出場機会を増やし、90試合に出場した。

 エンゼルスをDFAとなってから阪神タイガースと契約し、2019~22年まで在籍。1年目は105試合・打率.284・12本塁打・49打点と評価が分かれる成績も、もともと契約だったのか?なぜか推定1億4000万円に昇給。20年シーズンはケガで出場機会を大きく減らしたが、コロナ渦で新外国人選びに苦戦していたチーム状況におかげで再び残留。3年目の21年に128試合・22本塁打・OPS.818・ベストナイン獲得のシーズンを過ごした。22年は再び故障に見舞われ、結局隔年で好不調を繰り返すような結果を残してオフに退団した。

 マルテに限らないが、2010年代の阪神は助っ人が一時的に離脱したり不調に陥ったりするのを過剰に怖がる傾向にあり、常に外国人枠を大きく超えるロースターを組んでいた。マートンやメッセンジャーに対しても当て馬を用意するような戦術を取り、4~6番手の序列の外国人はとっかえひっかえのような起用法をされ気の毒な選手が多かった。

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大谷、トラウトと談笑?するジェフリー・マルテ

49 ジョー・ガンケル
投手 在籍期間:2020~22(SB23)
アメリカ合衆国/1991年12月30日生/右投右打
【NPB】69試合16勝13敗0S 防御率3.10 BB/9 1.9 K/9 6.1
(阪神) 64試合16勝12敗0S 防御率2.92 BB/9 1.8 K/9 6.1
(SB) 5試合0勝1敗0S 防御率5.82 BB/9 2.6 K/9 5.8
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 与四球率が2を割るコントロールが光るゴロ系先発投手。メジャー経験なし。

 メッセンジャーが抜けた先発ローテ入りを期待されて2020年に来日。1年目はリリーフに回ったが、2021~22年は先発として登板。先発防御率は2点台と優秀だったが、2年トータルで36試合・205回1/3にとどまる稼働率の悪さは問題だった。22年シーズン終了後に公示されるとすぐにソフトバンクからオファーが届き、移籍が決まった。

44 ラウル・アルカンタラ
投手 在籍期間:2021~22
ドミニカ共和国/1992年12月4日生/右投右打
【NPB】63試合4勝6敗1S 防御率3.96 BB/9 2.0 K/9 7.1
【MLB】13試合2勝5敗0S 防御率7.19 BB/9 3.1 K/9 5.1

============ 選手紹介 ============

 この人も外国人とっかえひっかえ体制に振り回された助っ人投手。入団直前の2019年に韓国・斗山ベアーズの助っ人エースとして活躍。20勝2敗・防御率2.54の好成績を挙げて崔東原賞(チェ・ドンウォン賞=KBOの最優秀投手賞)を受賞している。

 タイガースでは安定しない出場機会と一軍昇降格に悩まされた感があり、ピッチングに悪影響を及ぼしていた。約2億円の高額年俸とは思えない起用法は、アルカンタラ本人よりフロント側に問題があるように見えた。

 2023年からは再び斗山ベアーズでプレーすることが決定。阪神の2年間がよほど辛かったのか『幸せに野球をしていた斗山ベアーズに戻れて嬉しい』と広報を通じてコメントしたとのこと。

Embed from Getty Images斗山ベアーズに戻って”幸せに野球を”するアルカンタラ

14 陳偉殷(チェン・ウェイン)
投手 在籍期間:2021~22(中日04~11,ロッテ20)
台湾/1985年7月21日生/左投両打
【NPB】133試合37勝32敗1S 防御率2.58 BB/9 2.2 K/9 7.0
(中日) 127試合36勝29敗1S 防御率2.56 BB/9 2.2 K/9 7.1
(ロッテ) 4試合0勝3敗0S 防御率2.42 BB/9 1.4 K/9 4.8
(阪神) 2試合1勝0敗0S 防御率3.86 BB/9 2.9 K/9 6.8
【MLB】219試合59勝51敗0S 防御率4.18 BB/9 2.3 K/9 7.2

============ 選手紹介 ============

 ⇒中日ドラゴンズ(2000年以降)参照

52 アーロン・ウィルカーソン
投手 在籍期間:2022
アメリカ合衆国/1989年5月24日生/右投右打
【NPB】14試合5勝5敗0S 防御率4.08 BB/9 2.7 K/9 6.9
【MLB】14試合1勝1敗0S 防御率6.88 BB/9 3.3 K/9 7.1

============ 選手紹介 ============

 NAIA所属のカンバーランド大学で大活躍したがヒジに異常を感じたまま投げ続け、大学の後は独立リーグからキャリアをスタートせざるを得なかった。

 メジャーには到達したが少ないチャンスを活かせず2022年に阪神入り。最初の2ヶ月は大活躍、5月は月間MVPを受賞したが、それ以降は派手に打ち込まれた。6月の防御率は9.19、8月は45.00。契約延長はなく、翌年からKBO(韓国プロ野球)のロッテ・ジャイアンツでプレーしている。

91 アデルリン・ロドリゲス
内野手 在籍期間:2022(オリ20)
ドミニカ共和国/1991年11月18日生/右投右打
【NPB】83試合 打率.202 安打52 本塁打8 OPS.601
(オリ) 59試合 打率.218 安打42 本塁打6 OPS.642
(阪神) 24試合 打率.154 安打10 本塁打2 OPS.477
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 2020年にオリックスにいたA-Rod。メジャー経験はなく、打者天国のパシフィックコーストリーグ(トリプルA)で好成績をあげていたところを獲得した。

 打撃特化型のファースト専だが、低めのボール球を見極めることができない。空振りが多く打線の切れ目になりやすいのと、守備が絶望的にひどい。サードやレフトに回すことができないうえに、ファーストの守備もオリックス時代何でもないゴロをよく弾き、セカンドの守備範囲が広がっていた。

 タイガースでは最初の2試合くらいは打っていた記憶があるが、ロドリゲスが出るときは大山悠輔を本職以外のポジションで出場させていた。これまでもブレブレだった大山の起用法を軽視していることが露呈した、編成上フィットしない選手補強だった。

24 メル・ロハスJr.
外野手 在籍期間:2022
アメリカ合衆国/1990年5月24日生/右投両打
WBC2017
【NPB】149試合 打率.220 安打82 本塁打17 OPS.697
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 KBO(韓国プロ野球)でシーズン47本塁打を放ったスイッチヒッター。KBOで2年連続30ホーマー以上のロサリオに3億4000万円を投じたが、喉元過ぎて暑さを忘れたらしく、メジャー経験のないKBOプレイヤーを推定2億5750万円で獲得した。

 1年目は60試合の出場で打率.217・8本塁打・21打点と低調。翌年も似た様な数字しか残せず、非常に高い買い物に終わった。

42 ジョン・エドワーズ
投手 在籍期間:2020~21
アメリカ合衆国/1988年1月8日生/右投右打
【NPB】30試合0勝1敗0S 防御率2.43 BB/9 2.1 K/9 7.3
【MLB】49試合2勝0敗0S 防御率3.67 BB/9 6.7 K/9 9.9

============ 選手紹介 ============

 メジャー通算49試合登板。フォーシームとスライダーのほぼ2ピッチの速球派リリーフ右腕。150km/h中盤のフォーシームは回転数もメジャー平均より高いが、コントロールや変化球の精度は改善の余地がある粗削りタイプだった。マイナー時代に精巣ガンを克服している。

 PJが退団した後のセットアッパー候補として2020年に80万ドルで入団。1軍外国人枠の都合で出場機会が限られたが、9月下旬にタイガースナイン・スタッフの間に新型コロナが蔓延。ブルペンの中心にいた岩崎、岩貞、馬場が軒並み投げられなくなり、代役でリリーフ陣に割って入ると23試合・防御率2.38の好成績を残した。

 オフの契約更改では減俸70万ドルを飲んで残留。2021年はチェンともども二軍暮らしが続き、ほとんど1軍に昇格できず退団が決まった。

 エドワーズの1軍での成績は2年とも防御率2点台半ば。マウンドに上がれば抑えていたものの、矢野タイガースの助っ人8人体制に最後まで翻弄された。

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2018年10月 リーグ優勝決定シリーズでベンチ入りしたインディアンス時代のエドワーズ

75 ロベルト・スアレス
投手 在籍期間:2020~21(SB16~19)
ベネズエラ/1991年3月1日生/右投右打
大活躍 期待以上 160km/h WBC2017
【NPB】191試合7勝13敗68S 防御率2.81 BB/9 3.1 K/9 9.2
(SB) 78試合3勝11敗1S 防御率4.28 BB/9 4.3 K/9 10.1
(阪神) 113試合4勝2敗67S 防御率1.65 BB/9 2.1 K/9 8.5
【MLB】71試合9勝4敗1S 防御率2.99 BB/9 3.7 K/9 10.2

============ 選手紹介 ============

 並み居るメジャーリーガーの中でも一流と呼ばれるレベルに成長した優良リリーバー。2019年までソフトバンクに在籍も、外国人枠の競争や右ヒジの手術で消化不良のシーズンが続いていたところを獲得。阪神ではクローザーを務め、在籍した2年ともセーブ王に輝く大成功を収め、MLBへステップアップしていった。

Embed from Getty Images一流メジャーリーガーの仲間入り

52 ジェリー・サンズ
外野手 在籍期間:2020~21
アメリカ合衆国/1987年9月28日生/右投右打
【NPB】230試合 打率.252 安打198 本塁打39 OPS.796
【MLB】156試合 打率.238 安打100 本塁打10 OPS.670

============ 選手紹介 ============

 外国人を余り気味に抱える矢野タイガースでクリーンナップを務めた打点マシーン。長打を打てるがそれよりも勝負所で打点を稼ぐ能力が高いのが魅力。MLBでは活躍できなかったが韓国に渡り、打点王を獲得して日本球界に乗り込んできた。

 阪神1年目はオープン戦で低調だったせいで開幕2軍スタートだったが、次第に実力を発揮。後半は4番を任される試合も増え、110試合に出場して打率.257・19本塁打・64打点を記録。高い得点圏打率が決め手となって残留した2021年は20本塁打を放った一方で、後半戦は極度の不振に陥ったのが印象が悪かった。

 阪神退団後は新チームがなかなか決まらず、2022年6月に引退を決断。12月に阪神の駐米スカウトに就任が決まり、古巣で第2のキャリアをスタートさせることになった。ちなみに駐米スカウトは15年近く務めたアンディ・シーツが退いたことで空いたポストだった。シーツはしばしばオマリーと対比される有能スカウトだったが、サンズはどんな選手を連れてくるのか期待と不安が入り混じる。

◇2020年までに在籍した外国人選手
26 呂彦青(ルー・イェンチン)
投手 在籍期間:2018~20
台湾/1996年3月10日生/左投左打
WBC2023
【NPB】1軍出場なし
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 2017年のアジア野球選手権大会の決勝戦は日本vs台湾。日本の先発は当時社会人No.1投手の田嶋大樹、台湾は呂彦青の左腕対決だった。呂は5回に打ち込まれて負け投手となったが、4回までわずか1安打に抑える好投を見せていた。この1か月後、呂の阪神タイガースへの入団が発表された。

 阪神ファンの間ではオリックスにドラフト1位で入団した田嶋と比較する声がよく聞かれ、「田嶋より上」「ドラフト外でドラ1を獲得した」と過剰な期待感に溢れていた。2018年から3年間在籍して1軍昇格はなく、2021年以降は台湾でプレーする道を選んだ。帰国後はリリーフに転向して覚醒、2023年にはWBC台湾代表に選ばれるまでに成長した。

77 オネルキ・ガルシア
投手 在籍期間:2019~20(中日18)
キューバ/1989年8月2日生/左投左打
WBC2023
【NPB】62試合21勝23敗0S 防御率3.81 BB/9 3.8 K/9 6.8
(中日) 27試合13勝9敗0S 防御率2.99 BB/9 3.9 K/9 7.0
(阪神) 35試合8勝14敗0S 防御率4.58 BB/9 3.8 K/9 6.5
【MLB】5試合0勝1敗0S 防御率13.50 BB/9 11 K/9 3.7

============ 選手紹介 ============

 中日ドラゴンズで1年間エース級の結果を残したキューバ人先発左腕。契約延長交渉が成り立たなかったところをタイガースが獲得も、在籍した2019~20年はドラゴンズにいた時ほどは活躍できなかった。

Embed from Getty Images2023年 WBCでオランダ相手に登板するオネルキ・ガルシア

41 ジャスティン・ボーア
内野手 在籍期間:2020
アメリカ合衆国/1988年5月28日生/右投左打
【NPB】99試合 打率.243 安打80 本塁打17 OPS.760
【MLB】559試合 打率.253 安打433 本塁打92 OPS.794

============ 選手紹介 ============

 エンゼルス時代に大谷と同僚だったことでも知られていた打撃特化型一塁手。MLB通算559試合・打率.253・92本塁打の現役メジャーリーガーで、年俸約2億7000万円とリスクを負って迎え入れた。

 4番候補として開幕から試合に出るも、最初の18打席連続で無安打。これはタイガースではバースの15打席を更新する外国人ワースト記録だった。99試合で17本塁打とパワーは健在だったが、高年俸でありながら左腕が打てない、確実性に欠けるマイナス点が痛かった。

 タイガースを退団後、韓国でプレーを続けるもNPB並みの微妙な成績に終わった。

Embed from Getty Imagesトラウトからウォーターシャワーの祝福を受けるボーア。エンゼルス時代は打線の主軸を担った。

54 ランディ・メッセンジャー
投手 在籍期間:2010~19
アメリカ合衆国/1981年8月13日生/右投右打
大活躍
【NPB】263試合98勝84敗0S 防御率3.13 BB/9 2.9 K/9 8.3
【MLB】173試合4勝12敗2S 防御率4.87 BB/9 3.9 K/9 5.8

============ 選手紹介 ============

 マリナーズ時代にイチローや城島と同僚だった巨漢投手。当時思うように出場機会を得られなかったメッセンジャーに、城島が日本行きを勧めたことが阪神入りのきっかけだった。

 来日1年目は26試合5勝6敗・防御率4.93と平均以下の成績も、シーズン後半に先発適正の兆しを見せたため真弓監督が残留を熱望。翌年からエース格のスターターとして開花し、阪神の外国人では最長の10年に渡って在籍した。

 外国人投手の球団記録はジーン・バッキーやマット・キーオの2人で寡占していたが、多くの記録を塗り替えた。バッキーとはタイガース入団後に親交を深め、メッセンジャーが引退を表明してまもなく82歳で亡くなっている。

98 ラファエル・ドリス
投手 在籍期間:2016~19
ドミニカ共和国/1988年1月10日生/右投右打
大活躍 160km/h
【NPB】208試合13勝18敗96S 防御率2.49 BB/9 2.7 K/9 9.9
【MLB】103試合6勝9敗12S 防御率4.57 BB/9 6 K/9 8.5

============ 選手紹介 ============

 マテオとともに2016年から阪神タイガースのブルペンを支えたリリーバー。甲子園で161km/h、MLB時代に102マイル(164km/h)を公式戦で記録している。シカゴ・カブスで同僚だった藤川球児の影響を受けてNPB入りを決断した。

 2016~19年の4年連続で防御率は2点台。1年目こそ故障でマテオにクローザーの座を譲ったが、翌年は立場が逆転。37Sを挙げてセーブ王を獲得、4年間で積み上げた96Sは呉昇桓を抜いてタイガース歴代外国人最多となった。もとはと言えば2015年オフ、呉がメジャー球団へ移籍して空いたクローザー候補に入団しており、阪神にしては珍しく大当たりな外国人戦略だったといえる。

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99 エフレン・ナバーロ
内野手 在籍期間:2018~19
アメリカ合衆国/1986年5月14日生/左投左打
WBC2013 WBC2017
【NPB】81試合 打率.264 安打65 本塁打3 OPS.680
【MLB】157試合 打率.242 安打78 本塁打3 OPS.635

============ 選手紹介 ============

 ロサリオに見切りをつけたタイガースはクリーンナップ候補のテコ入れに迫られ、6月に緊急補強したのがナバーロだった。長打力はほどほどだがヒッティングツールと選球眼に優れ、ファーストの守備も堅実。ロサリオとは丸っきり正反対のプレースタイルを見せ、オフに1年契約を延長。だが翌年はファームでも打撃不振に陥って退団となった。

 退団直前の2019年秋のプレミア12ではメキシコ代表に選出。アメリカ相手の3位決定戦でサヨナラタイムリーを放ち、銅メダルの立役者になっている。

52 ピアース・ジョンソン
投手 在籍期間:2019
アメリカ合衆国/1991年5月10日生/右投右打
期待以上
【NPB】58試合2勝3敗0S 防御率1.38 BB/9 2.0 K/9 14.0
【MLB】207試合12勝15敗13S 防御率4.04 BB/9 4.4 K/9 11.4

============ 選手紹介 ============

 在籍期間は1年だけだったが打たれないセットアッパーとして多大な貢献をした。PJと呼ばれていた。2019年の開幕から16試合連続無失点に抑え、オールスターに選出。レギュラーシーズンを58試合・防御率1.38、リーグ2位の40ホールドをマークした。残念ながらクライマックスシリーズは長男誕生の時期と重なったことでほとんど投げられず、チームも日本シリーズ進出を逃した。

 タイガースを退団後はメジャーへと返り咲き、2023年オフにはアトランタ・ブレーブスと2年総額1425万ドルを締結。見事にアメリカンドリームを勝ち取った。

Embed from Getty Imagesメジャーでも大事な場面で登板している

42 ヤンハービス・ソラーテ
内野手 在籍期間:2019
ベネズエラ/1987年7月3日生/右投右打
WBC2017
【NPB】20試合 打率.188 安打13 本塁打4 OPS.681
【MLB】670試合 打率.258 安打620 本塁打75 OPS.723

============ 選手紹介 ============

 メジャーにいた頃は手堅いユーティリティープレイヤーとして重宝されていた内野手。名選手だったロジャー・セデーニョを叔父に持つ。阪神では日本の文化が合わなかったかのように低調だった。

 1軍デビュー戦でサヨナラHRを放ち、最初のうちは好調だったが守備で苦戦。しだいに打撃のリズムも狂い出してウエスタンへ降格。その後、1軍再昇格した際にグラウンドに着くも”モチベーションが上がらない”と監督に打ち明け、その日のプレーを拒否した。チームからこの行動を問題視され、解雇に至った。

 メジャー時代は陽気なプレイヤーで、献身的にプレーしていた姿からはこのような形で終わるとは予想外だった。契約時点ではサードのレギュラーを確約されていたが複数ポジションを守らされたと言われている。日本では一方的にダメ助っ人のように回顧されているが、当時のタイガースの外国人選手の扱いにも問題があったのではないか?

Embed from Getty Imagesトレードマークとも言えるこの笑顔も、日本ではあまり見られなかった

38 マルコス・マテオ
投手 在籍期間:2016~18
ドミニカ共和国/1984年4月18日生/右投右打
期待以上
【NPB】132試合8勝8敗20S 防御率2.80 BB/9 3.6 K/9 9.2
【MLB】70試合2勝4敗0S 防御率4.65 BB/9 3.5 K/9 10.5

============ 選手紹介 ============

 ドリスとともに2016年から阪神のブルペンを支えたリリーフ右腕。2010年にメジャーデビューも、翌年に右ヒジを負傷。1年我慢したが回復が悪かったためようやくトミー・ジョン手術。2015年、4年ぶりとなるメジャー復帰を果たすと、シーズン後にはクローザー候補を探していたタイガースに迎え入れられた。

 1年目はドリスとクローザー争いに勝ち、シーズン20Sを記録。翌年はドリスと役割を入れ替え、セットアッパーとして活躍。オールスターにもファン投票で選出された。しかし、3年目は家庭の事情で帰国せざるをえなかったり、制球難に苦しみ3者連続押し出しをやってしまうなど受難のシーズンに。毎年必ずどこかしらを痛めて離脱を繰り返していたことも評価を下げ、2018年オフに自由契約になった。

 弟のダニエル・マテオも野球で飯を食っていた元・内野のユーティリティ。アメリカではシングルA+までしか上がれず、プロ生活最終年の2018年は日本の独立L・石川ミリオンスターズにも所属した。弟に紹介されたのか、マルコスも阪神退団の翌年(2019年)にミリオンスターズと契約。ただしシーズン終了まで1度も来日することはなかった。

48 ディエゴ・モレノ
投手 在籍期間:2018
ベネズエラ/1987年7月21日生/右投右打
【NPB】8試合0勝0敗0S 防御率2.70 BB/9 4.1 K/9 8.1
【MLB】9試合1勝1敗0S 防御率5.06 BB/9 2.8 K/9 7.9

============ 選手紹介 ============

 メジャー通算9試合登板のベネズエラ人リリーバー。ピッツバーグ・パイレーツの有望右腕だったが、シングルA+時代に試合中にファンとキスをした行為が問題になり出場停止処分を受ける。その後、ヤンキースで高給取りだったA.J.バーネットのサラリーダンプ目的のトレードで移籍。ヒジの故障などに見舞われ一時はクビ寸前になったが、2015年にメジャーデビューを果たした。

 18年に阪神タイガースと1年契約を締結。だがモレノ入団と前後してメッセンジャー、ドリス、マテオの3人の残留が決定。ルール上投手だけで4人同時に1軍登録できないため、完全に保険扱いのファーム暮らしを強いられた。

20 ウィリン・ロサリオ
内野手 在籍期間:2018
ドミニカ共和国/1989年2月23日生/右投右打
大物 元有望株
【NPB】75試合 打率.242 安打68 本塁打8 OPS.659
【MLB】447試合 打率.273 安打413 本塁打71 OPS.779

============ 選手紹介 ============

 阪神にしては破格の年俸3億4000万円を結び、鳴り物入りで入団した大物パワーヒッター。2011年にコロラド・ロッキーズでメジャーデビュー。2年目に正捕手の座をゲットし、打率.270・28本塁打・OPS.843をマーク。3年目も打率.292・21本塁打・OPS.801と2年続けて20ホーマー超えを放ったため、メジャー屈指の打てるキャッチャーと認められるようになった。それ以降は急激に打撃成績が悪化しメジャーを追われたが、KBO(韓国プロ野球)では2年間で70本塁打と結果を出していたため、大きな期待を背負ってタイガースに迎え入れられた。

 オープン戦の時点で雲行きが怪しく、シーズン序盤に外角のボール球が弱点なのがバレてしまう。右投手のスライダーに三振の山を築き、二軍落ちを経験。東京ドームでは吉永小百合の看板直撃弾を放ち、並外れたパワーは本物だったんだな~と思わせる一方で、甲子園では1本もスタンドインさせることができなかった。

 人格面には問題なく、打撃不振を克服しようと練習もマジメに取り組み、中国地方の豪雨被害にあたっては義援金100万円を寄付する一面があった。ただ、ロサリオの打撃不振は金本監督退任の一因になり、韓国で打ちまくった野手の市場価値が急激に下がった、といった負の影響を各所に及ぼしてしまった。

 ヤンキースの元正捕手ホルヘ・ポサダを尊敬しているため、ロッキーズと阪神で背番号20を付けてプレーした。ただ、キャッチャーの守備力はワーストレベルで、特にボールブロッキングがひどくメジャー時代に3年連続パスボール王になってしまった。キャリア後半はほとんどファーストかDHに限られ、希少な”打てるキャッチャー”でなくなったことがプレイヤーとしての価値を大きく下げることになった。

Embed from Getty Imagesロッキーズでは強打の正捕手として活躍

75 ルイス・メンドーサ
投手 在籍期間:2017(日ハム14~17)
メキシコ/1983年10月31日生/右投右打
WBC2013 WBC2017
【NPB】99試合27勝38敗0S 防御率3.85 BB/9 3.1 K/9 5.6
(日ハム) 95試合27勝36敗0S 防御率3.80 BB/9 3.2 K/9 5.6
(阪神) 4試合0勝2敗0S 防御率5.14 BB/9 2.6 K/9 6.4
【MLB】90試合16勝25敗1S 防御率5.39 BB/9 3.5 K/9 5.2

============ 選手紹介 ============

 2014年から日本ハムで活躍も、17年シーズン途中にウエーバーに出されたところをタイガースが獲得。メッセンジャーの一時帰国と藤浪晋太郎の大乱調で先発ローテーションに穴が開いたための緊急補強だった。

 阪神ではレギュラーシーズンの登板は4先発。惜しい試合もあったが0勝2敗・防御率5.14。プレーオフに出場できる8/31の期限ギリギリに契約に漕ぎつけたものの、終盤にメッセンジャーが復帰。登板機会が回ってくる前にチームはクライマックスシリーズ敗退が決まった。

20 ロマン・メンデス
投手 在籍期間:2017
ドミニカ共和国/1990年7月25日生/右投右打
160km/h
【NPB】8試合0勝0敗0S 防御率6.52 BB/9 2.8 K/9 8.4
【MLB】45試合0勝2敗0S 防御率3.09 BB/9 4.8 K/9 6.2

============ 選手紹介 ============

 2年メジャー経験のあるリリーフ右腕。マテオ、ドリスとメンデスでドレッドヘア3人衆だったが、1人だけ活躍できず。結果を残しながらも外国人枠に泣いたサターホワイトを切って獲得した経緯から、タイガースファンの印象は良くない。

 2019年からメキシカンリーグで長くプレーしている。

29 エリック・キャンベル
内野手 在籍期間:2017
アメリカ合衆国/1987年4月9日生/右投右打
【NPB】21試合 打率.191 安打9 本塁打1 OPS.594
【MLB】200試合 打率.223 安打100 本塁打7 OPS.622

============ 選手紹介 ============

 シュアな打撃が持ち味のアベレージタイプの内野手。なのに阪神はゴメスの後釜候補に獲得。金本監督にも「4番を打てる選手がいないね~」と嘆かれ、機能不全の阪神フロントの犠牲者となった。

48 ジェイソン・ロジャース
内野手 在籍期間:2017
アメリカ合衆国/1988年3月13日生/右投右打
【NPB】40試合 打率.252 安打31 本塁打5 OPS.760
【MLB】117試合 打率.258 安打48 本塁打4 OPS.742

============ 選手紹介 ============

 2017年の前半戦でキャンベルが見切られたため、代役として夏場にタイガース入り。ただ、この人もキャンベルと似たタイプの中距離ヒッターであり、狭い神宮球場以外では打てなかった。また、新人の大山悠輔がレギュラー一塁手に抜擢されたことで出場機会を減らしていった。

 とある日の夕刊フジに『広島のジャクソンと会食し「出場機会が思ったより少ない中で、自分はホームランを求められているのか、それともヒットや打点を稼いでチームに貢献すればいいのか、よく分からない」と苦悩を吐露。来日前に阪神同様、水面下でオファーを受けていた某パ球団の名を挙げながら「あっちに行っていた方がよかったのかな…」と弱気発言まで飛び出したとか。』と書かれ、キャンベル同様苦しんでいることが伝えられた。ちなみに某パ球団とはオリックスのことだと推測されている。

5 マウロ・ゴメス
内野手 在籍期間:2014~16
アメリカ合衆国/1984年9月7日生/右投右打
【NPB】425試合 打率.270 安打420 本塁打65 OPS.802
【MLB】37試合 打率.275 安打28 本塁打2 OPS.746

============ 選手紹介 ============

 2013年シーズンを終えて、阪神首脳はコンラッド大不振の反省からなのか、多少粗くてもパワーヒッティングができる外国人を物色。AAAで2年連続本塁打20本超のゴメスを獲得した。

 オフに生まれた第1子の容態が安定せず、春季キャンプにほとんど参加できなかったがレギュラーシーズンでは4番に定着。三振はリーグワースト・低打率ではあったが得点圏打率は.300を超え、打撃で間違いなく貢献した。

 来日3年目の夏頃から突然打てなくなり、契約満了で退団した。飛行機に乗るのが苦手だった。

95 ネルソン・ペレス
外野手 在籍期間:2015~16
ドミニカ共和国/1987年11月16日生/右投左打
【NPB】3試合 打率.000 安打0 本塁打0 OPS.100
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 BCリーグ・石川ミリオンスターズからシーズン途中に入団した外野手。「バク転ができる」「ボールを飛ばす力や、守備走塁、全てにおいて自信を持っている」と語ったが、外国人の序列では6番目。人柄が良くチームメイトと上手くやっていたがほぼファーム暮らしだった。

 サンティアゴと同じように、調子が落ちていたマートンの当て馬として獲得されたと見られている。マートンやメッセンジャーほどのレベルであっても、ちょっと不調に陥っただけで緊急補強して外国人枠を持て余すタイガースフロントには批判的な声があがった。

75 コディ・サッターホワイト
 
(登録名:サターホワイト)
投手 在籍期間:2016
アメリカ合衆国/1987年1月27日生/右投右打
【NPB】20試合1勝1敗0S 防御率2.57 BB/9 3.4 K/9 7.7
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 ミシシッピで生まれ育ち、強豪校ミシシッピ大学からドラフト2巡目指名でプロ入り。入団2年目から右肩関節唇の損傷と瘢痕の手術でプレー不能期間が続き、一度は独立リーグ行きを経験。その後不屈の精神で復活、トリプルAで100試合に登板するところまで登り詰めたが、メジャーには上がることはなかった。

 2016年のタイガースは勝ちパターン候補にマテオとドリスを加入させたが、シーズン序盤はともに故障離脱があり、デプス強化のため6月になってサターホワイトを緊急補強した。夏場にドリスが右ヒジの故障で離脱したときに1軍に昇格し、20試合・1勝1敗6ホールド・防御率2.57とフロントが期待した役割を全う。ただ翌シーズンの契約延長はされず、阪神ファンからは勿体ないとの声が多数上がった。

 なお、タイガースでは色がつく名前の外国人は活躍できない傾向にあり(デリック・ホワイトとかグリーンウェルとかブラウンスタインとか…)、サターホワイトに関しては出場機会に恵まれなかった。

36 マット・ヘイグ
内野手 在籍期間:2016
アメリカ合衆国/1985年8月20日生/右投右打
【NPB】31試合 打率.231 安打24 本塁打2 OPS.685
【MLB】43試合 打率.226 安打19 本塁打0 OPS.548

============ 選手紹介 ============

 どちらかというと中距離ヒッタータイプの元MLB内野手。メジャー通算43試合出場。Twitterが得意で、入団が決まったときにはタイガースの正式発表より先に喜びのツイートをした。

 タイガースには2016年に入団、開幕直後の短期間(3月)に打棒爆発したものの4月以降は攻守に苦戦。夏場にはウエスタンが居場所になっていた。

 当時のタイガースのチーム状況といえば、前年にマートンが退団。打てる外野手が穴となっていたため新外国人には高い打撃力が求められ、守備位置も”ほぼ未経験”の外野や苦手なサードでの出場を強いられた。編成上チームにフィットするプレイヤーでないことは明らかだった。

◇2015年までに在籍した外国人選手
9 マット・マートン
外野手 在籍期間:2010~15
アメリカ合衆国/1981年10月3日生/右投右打
大活躍 優良助っ人
【NPB】832試合 打率.310 安打1020 本塁打77 OPS.790
【MLB】346試合 打率.286 安打272 本塁打29 OPS.788

============ 選手紹介 ============

 イチローが持つシーズン安打を塗り替えた赤毛のアメリカ人外野手。2003年MLBドラフト1巡目でボストン・レッドソックスに入団。2004年には当時物議を醸したノマー・ガルシアパーラ放出の交換相手の1人としてシカゴ・カブスへ移籍。メジャーデビュー後は一時期外野のレギュラーを張っていたが、次第に第4の外野手扱いを受けるようになっていった。

 2010年から阪神でプレー。外野は両翼がメインだが、引退した赤星憲広の穴を埋める形で1番センターでの起用が中心になり、守備で苦労しながらも優れたヒッティングツールで安打を量産した。

 キャッチャーへの強烈なタックルや球審への暴言が悪目立ちしたが、野球に対して非常にまじめでストイックな部分は立派だった。日本の文化に適応しようと努力を怠らなかった。

Embed from Getty Images2008年カブス時代 報道用の写真を撮っていたマートン。なぜ左打ち?

22 呉昇桓(オ・スンファン)
投手 在籍期間:2014~15
大韓民国/1982年7月15日生/右投右打
大物 期待以上 WBC2006 WBC2009 WBC2013 WBC2017
【NPB】127試合4勝7敗80S 防御率2.25 BB/9 1.9 K/9 9.7
【MLB】232試合16勝13敗42S 防御率3.31 BB/9 2.2 K/9 10.1

============ 選手紹介 ============

 重い球質”石直球”が武器の韓国のリリーフエース。阪神でも1年目からクローザーを任されセーブ王を獲得。宣銅烈が持つ韓国人NPB最多セーブ記録を更新した。

 2年目のシーズン終了後、ダークサイドに落ちた林昌勇(元ヤクルト)と一緒にマカオで違法賭博をしていた疑惑が浮上。貢献度はデカかったが、契約延長は見送られた。その後念願のメジャーで活躍。

41 マリオ・サンティアゴ
投手 在籍期間:2015
プエルトリコ/1984年12月16日生/右投右打
WBC2013
【NPB】3試合1勝0敗0S 防御率4.32 BB/9 3.8 K/9 3.8
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 スーパーマリオブラザーズのテーマ曲を登場時に使っていたプエルトリカン右腕。先発、リリーフ両方できる。WBC2013年のプエルトリコ代表に選ばれ、準決勝で日本相手に4回1/3を無失点。3連覇を阻止する好投だったが、大会中に右ヒジを故障。トミー・ジョン手術を受けた影響で2014年はシーズンを通してFAだったが、日本戦の好投が決め手になってタイガースが獲得した。

 2015年の助っ人はメッセンジャー、呉、マートン、ゴメスで1軍枠はほぼ固定。メッセンジャーが一時的に2軍落ちしたときがあり、その間3度の先発機会を得たがそれ以外は2軍に塩漬けにされた。タイガースの思惑通りメッセンジャーは危機感を持ち、復調した。

38→31 林威助(リン・ウェイツゥ)
外野手 在籍期間:2003~13
台湾/1979年1月22日生/左投左打
WBC2006 WBC2009
【NPB】454試合 打率.264 安打270 本塁打31 OPS.712
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 少年時代に日本の野球に魅了され、高校生になって福岡県の柳川高校に野球留学の形で来日。元SBホークスの田中瑞季らとともにプレーし、2年生までに47本塁打を放ったが、年齢制限のために3年生のときは公式戦に出場できなかった。高校卒業後は近畿大学へ進学し、1年春のリーグ戦で首位打者とベストナインに輝く大活躍。3年次以降は膝に爆弾を抱えながらプレーしたが、2002年のドラフトで阪神タイガースから7位指名でプロ入りが叶った。

 入団1年目は大学時代の膝の完治させることに集中し、2年目からプロデビュー。持ち前の強打で年々出場機会を増やし、2007年にはキャリアハイの115試合に出場して打率.292・15本塁打・58打点をマークした。

 しかし、この年から常にケガに悩まされることになる。発端は5月の試合で、帰塁した際に変な戻り方をして右肩を負傷したことだった。レギュラーを掴みかけていた立場だったため、自らの意思で出場を続けたことで悪化させてしまい、シーズンオフに手術しても以前の状態に戻ることはなかった。もともと外野守備(と走塁)の評価が低く、レフトのほかファーストを守ることで出番を増やしてきた。左投げの林にとってミットを持つ一塁手の動きは大きな負担になり、右肩の不調は出場機会の大幅減を意味していた。

 08年には左膝を負傷。またしても帰塁の際に起きた故障だった。アマチュア時代から最大のウリだったスイングスピードは鳴りを潜め、2軍でのプレー時間が増加していった。現役最終年となる2013年には出場機会は1試合だけになり、その試合も無安打2三振にライトではマズい守備を見せてしまう。構想外なのは誰の目にも明らかで、シーズン終了後に戦力外となった。

 故障が深刻になる前は国際大会に欠かせない存在で、2004年のアテネオリンピックの台湾代表メンバーに、2006年のWBCでは4番をつとめた。阪神時代は勉強不足の日本人記者から”はやし いすけ”と呼ばれてしまうことがあり、それを知ってか鳴尾浜球場(2軍)のファンからもそう呼ばれていた。

55 ジェイソン・スタンドリッジ
 
(登録名:スタンリッジ)
投手 在籍期間:2010~13(SB07~08,14~15,ロッテ16~17)
アメリカ合衆国/1978年11月9日生/右投右打
元有望株 期待以上
【NPB】209試合75勝68敗0S 防御率3.31 BB/9 2.9 K/9 6.3
(SB) 69試合28勝18敗0S 防御率3.57 BB/9 3.1 K/9 5.9
(阪神) 99試合35勝36敗0S 防御率2.94 BB/9 2.7 K/9 6.7
(ロッテ) 41試合12勝14敗0S 防御率3.80 BB/9 3.1 K/9 5.7
【MLB】80試合3勝9敗0S 防御率5.80 BB/9 5.2 K/9 5.7

============ 選手紹介 ============

 阪神では「スタンリッジ」表記になった先発右腕。2007~08年にソフトバンクに所属。1年目に7勝1敗を記録したが、ケガの影響で翌年戦力外に。SB退団後は米独立リーグなどを経て、2010年に招待選手としてメジャーの春季トレーニングに参加するが、開幕ロースター争いから脱落したところを阪神が獲得した。

 タイガース1年目はフォッサムの不振と能見篤史、岩田稔が故障離脱するなかイニングを消化。それ以降も4年間先発ローテーションを守ったが、2014年シーズンをメッセンジャーと呉昇桓、マートンとマウロ・ゴメスの外国人体制で戦う方針が固まり、13年限りで阪神を退団した。2012・13年は防御率2点台も2桁敗戦を喫し、とにかく勝ち運に見放されるピッチャーだった。

116→95 ロバート・ザラテ
投手 在籍期間:2012~13
ベネズエラ/1987年2月1日生/右投右打
【NPB】4試合0勝0敗0S 防御率7.36 BB/9 7.4 K/9 7.4
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 150km/hが出る長身左腕。BCリーグの群馬で秦(元ヤクルト)監督に鍛えられ球速が大幅アップ。そこをタイガースが育成契約で獲得した。

 2軍では良く投げたが上は飽和状態でほぼ出場機会のないまま契約満了。ファンの間で勿体ないの声が多数あった。

44 ブレイン・ボイヤー
投手 在籍期間:2013
アメリカ合衆国/1981年7月11日生/右投右打
【NPB】22試合3勝1敗0S 防御率2.67 BB/9 1.3 K/9 7.0
【MLB】447試合17勝27敗5S 防御率4.55 BB/9 3.2 K/9 5.6

============ 選手紹介 ============

 自称MAX159km/hのゴロ打たせ系投手。アトランタっ子として生まれ育ち、地元ブレーブスに入団。2008年には76試合に登板する有数のタフネスリリーバーになったが、しだいにメジャーから遠ざかると2013年にタイガースが獲得した。

 シーズン途中での入団だったのは不調の中継ぎ陣のテコ入れのため。JFKのようなピッチングを期待していたが、三振奪取能力の低いゴロ系投手だったことが判明。わりと好投していた(防御率2.67)印象があり、”ちょっとしたスパイス”にはなったが契約延長されなかった。

Embed from Getty Imagesツインズのイメージが強いボイヤー

42 ブルックス・コンラッド
内野手 在籍期間:2013
アメリカ合衆国/1980年1月16日生/右投両打
【NPB】24試合 打率.175 安打10 本塁打0 OPS.600
【MLB】293試合 打率.200 安打92 本塁打19 OPS.660

============ 選手紹介 ============

 MLBでルーキーイヤーから試合を決めるHRを打っていたため期待値が高かった内野手。所属は2013年のみだが未だタイガースファンの記憶に残り続けている。

 開幕3連戦で二塁打3本を含む4安打と華々しい滑り出しを見せたが、その後パッタリ打てなくなり2度の二軍落ち。あまりに酷いパフォーマンスにネットでは「一打で二度死ぬコンラッド」のフレーズが定着。最終的に本塁打だけでなく打点もゼロの不名誉な記録を残し、途中退団した。

 彼の不振はタイガースに大きな悪影響を及ぼしている。前年退団のブラゼルの後継要員で入団していて、コンラッド以外に新規で外国人野手を獲っていなかった。2013年のチーム最多HRはマートンの19本にとどまり、長距離砲の不在は大きな穴になってしまった。そして翌年からタイガースフロントは、4個しかない1軍外国人枠を大きく超える外国人選手を抱えだした。この方針は2023年に再就任した岡田監督が「8人もいらん」と言うまで続き、当落線上にいた多くの外国人が使い捨てられていくのであった。

Embed from Getty Images2010年5月20日 アトランタ・ブレーブス時代のコンラッド。9回裏・6対9の場面でレッズのクローザーのフランシスコ・コルデロからサヨナラ満塁本塁打を放ち、8点差をひっくり返す大逆転劇をもたらした。

64→40 鄭凱文
 
(登録名:ジェン→鄭凱文)
投手 在籍期間:2009~12(DeNA13)
台湾/1988年7月26日生/右投右打
WBC2009
【NPB】33試合2勝3敗0S 防御率5.16 BB/9 2.9 K/9 4.8
(阪神) 27試合2勝1敗0S 防御率4.33 BB/9 2.2 K/9 4.8
(DeNA) 6試合0勝2敗0S 防御率7.29 BB/9 4.7 K/9 4.7
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 大学から直接NPB入りした台湾人投手。ジェン・カイウェンと読ませるが、登録名はジェン・カイウン。2009年のWBC参戦の準備をしながら阪神の入団テストに合格した。

 本来の先発での登板機会は少なく、2012年はウエスタンリーグの最優秀防御率投手だったが外国人枠に阻まれた。

 2013年は1年でDeNAを退団。翌年以降は台湾で先発とリリーフ両方で活躍した。

19 蕭一傑(しょう・いっけつ)
投手 在籍期間:2009~12(SB13)
台湾/1986年1月2日生/右投右打
【NPB】2試合0勝1敗0S 防御率2.16 BB/9 4.3 K/9 7.6
(阪神) 2試合0勝1敗0S 防御率2.16 BB/9 4.3 K/9 7.6
(SB)1軍出場なし
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 西武ライオンズで長く活躍した郭泰源に憧れて日南学院高校に留学した台湾人投手。奈良産大を卒業後NPBのドラフトの対象になり、外れ外れ1位でタイガースが獲得した。5年以上日本で過ごしていたため外国人枠の規定を外れている。

 常時140km/h台前半のファストボールとドロップカーブを投球の軸にしていた。1軍での登板は2試合にとどまったが、強い時期のタイガースでなければもう少し試合に出れる実力はあったように思う。

 現役引退後に日本ハムファイターズの球団職員に採用され、一時的に王柏融の通訳を務めた。

67 クレイグ・ブラゼル
内野手 在籍期間:2009~12(西武08,ロッテ13~14)
アメリカ合衆国/1980年5月10日生/右投左打
大活躍 期待以上
【NPB】670試合 打率.269 安打613 本塁打133 OPS.797
(西武) 130試合 打率.234 安打110 本塁打27 OPS.740
(阪神) 443試合 打率.280 安打433 本塁打91 OPS.812
(ロッテ) 97試合 打率.268 安打70 本塁打15 OPS.815
【MLB】29試合 打率.263 安打10 本塁打1 OPS.695

============ 選手紹介 ============

 時は2009年、4番を打つはずだったメンチが4月に帰国したので、代役にとりあえず他球団を出された元助っ人に照準を合わせたタイガース。前年にライオンズを自由契約になり、開幕時に独立リーグでプレーしていたブラゼルを連れてきた。ライオンズでは27本塁打に月間MVPを1回受賞していたが、極端なプルヒッティングに”ブラゼルシフト”を敷かれたのに加え、相次ぐデッドボールの影響で不振に陥っていた。

 西武時代と同じ結果になるのでは?と疑問符を付けられてたが、タイガース初試合でのホームランを皮切りに長打を量産。4年間在籍した。吉野家の牛丼が好き。

128 マルコス・ベキオナチ
内野手 在籍期間:2011
ベネズエラ/1986年8月7日生/右投両打
【NPB】1軍出場なし
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 内野両コーナーを守る元マイナーリーガー。最高位はAA。初の試みだった外国人育成選手のバルディリスが支配下登録に成功したので、第2弾ということで育成契約を結んだ。

 結局支配下登録されることなく1年で退団したため、ネット上では誰も覚えていない阪神の助っ人外国人のテーマでよく名前が挙がる。ただし鳴尾浜球場ではファンから”なっち”と呼ばれる良いキャラクターではあった。

◇2010年までに在籍した外国人選手
58 ケイシー・フォッサム
投手 在籍期間:2010
アメリカ合衆国/1978年1月6日生/左投左打
【NPB】12試合2勝5敗0S 防御率5.72 BB/9 3.8 K/9 7.6
【MLB】237試合40勝53敗2S 防御率5.45 BB/9 3.7 K/9 7

============ 選手紹介 ============

 大学時代にカレッジワールドシリーズ制覇を経験した元有望株。レッドソックスにドラフト1巡目補完(全体48位)で入団後、カート・シリングとの1対4の交換トレードでDバックスへ移籍。そこからレイズなど複数球団で先発投手を務めた。メジャー9年で120試合先発したものの、防御率はだいたい5点台以上。速球派タイプではないのにデッドボールも多かった。

 タイガースには2010年に入団。日本で成功すると予想されていたが、2勝5敗・防御率5.72。MLB時代よりもコントロールを乱し、「フォッサム・フリップ」と呼ばれるイーファスピッチに近いスローカーブは陽の目を見なかった。

 帰国後にメジャー復帰を目指すも叶わず。引退後は少年時代に引っ越したテキサスの故郷に戻り、妻の仕事(引退したサラブレッドの再訓練)を手伝った。

Embed from Getty Imagesフォッサムが日本で活躍できなかったのは意外だった

54 ジェフ・ウィリアムス
投手 在籍期間:2003~09
オーストラリア/1972年6月6日生/左投右打
大活躍 期待以上
【NPB】371試合16勝17敗47S 防御率2.20 BB/9 3.0 K/9 10.1
【MLB】37試合4勝1敗0S 防御率7.49 BB/9 6.4 K/9 4.7

============ 選手紹介 ============

 JFKの一角として有名になった勝ちパリリーフ左腕。阪神在籍7年371試合登板・防御率2.20の素晴らしい成績を残した。実際の登板順は2005年はFJK。藤川球児のクローザー就任後はKJFに変わっていった。

 ウィリアムズはオーストラリア人で、アトランタ五輪に出場。1999年にMLBデビューを果たし、史上9人目のオーストラリア出身メジャーリーガーになった。かつてはオーバースローで投げていたが、ドジャースとAAAを行き来していた頃に横手投げを勧められ、ロー・スリークオータースローに改造。このときフォーム改造を指導したコーチが、オリックス・ブルーウェーブで投手コーチを務めたジム・コルボーンだった。

Embed from Getty Imagesドジャース時代のジェフ

69 クリス・リーソップ
投手 在籍期間:2008~09
アメリカ合衆国/1982年11月4日生/右投右打
【NPB】8試合0勝2敗0S 防御率6.75 BB/9 3.0 K/9 2.5
【MLB】235試合10勝12敗2S 防御率4.62 BB/9 4.2 K/9 7.5

============ 選手紹介 ============

 ブレーブスなど延べメジャー6球団でプレーした元パワーピッチャー。阪神では150km/h台のファストボールで押すスタイルで最初の頃は圧倒していたが、徐々に慣れられリリーフから先発に転向しても結果は良くならなかった。プロ入り時は野手だった影響でバッティングが得意だったが、阪神ではヒットを打てずじまいだった。

 2014年に引退した後は不動産業界に身を置き、2017年に事務所を開業。通常の不動産だけでなく、転居してきたスポーツ選手をサポートするビジネスも兼ね、レッドソックスから初の指定不動産業者の契約をゲット。野球では花開かなかったが、不動産のプロとして成功を収めようとしている。

27 スコット・アッチソン
投手 在籍期間:2008~09
アメリカ合衆国/1976年3月29日生/右投右打
大活躍
【NPB】117試合12勝9敗0S 防御率2.77 BB/9 2.1 K/9 7.7
【MLB】298試合17勝11敗3S 防御率3.63 BB/9 2.3 K/9 6.6

============ 選手紹介 ============

 イニング跨ぎを厭わない、テンポの速い投球が信条のリリーフ右腕。JFKが崩壊し始めたときに来日し、藤川の前を投げるセットアップマンを担った。特に2年目の2009年は重圧のかかる場面を中心に75登板90イニング・防御率1.70と酷使に耐え抜いた。当然タイガースは残留交渉を持ちかけたが、本人のメジャー復帰の意思を覆せずシーズン終了後に帰国した。MLBではレッドソックスなどで長く活躍した。

Embed from Getty Imagesレッドソックスでもタフネスぶりは健在だった

121→52 アーロム・バルディリス
内野手 在籍期間:2008~09(オリ10~13,DeNA14~15)
ベネズエラ/1983年1月5日生/右投右打
【NPB】918試合 打率.268 安打793 本塁打93 OPS.764
(阪神) 100試合 打率.205 安打33 本塁打4 OPS.638
(オリ) 540試合 打率.279 安打525 本塁打59 OPS.783
(DeNA) 278試合 打率.257 安打235 本塁打30 OPS.746
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 オヘイダと一緒に春季キャンプ中に入団テストを受けて育成契約を結んだベネズエラ人内野手。内野守備はもとから評価が高く、打撃力の向上が課題となっていた。1年目の夏に支配下登録され、守備固めを中心に少しずつ出場機会を増やしていった。2年目はウエスタンリーグで首位打者を獲得。ただ1軍の投手相手には打率.103とまったく歯が立たず、オフに戦力外とされた。2010年以降はオリックスとDeNAで活躍した。

32 ケビン・メンチ
外野手 在籍期間:2009
アメリカ合衆国/1978年1月7日生/右投右打
【NPB】15試合 打率.148 安打8 本塁打0 OPS.382
【MLB】729試合 打率.268 安打632 本塁打89 OPS.781

============ 選手紹介 ============

 シュレックと呼ばれ、松井秀喜氏に頭のサイズで勝利したホームランヒッター。レンジャース時代に新人王投票7位、シーズン26本塁打、7試合連続ホームラン(※メジャー新記録)と目立った実績を残していた。

 前年に不本意に終わったフォードに代わる助っ人として大きな期待をかけられたが、オープン戦の段階からまったく打てず。必死にプレーしている姿勢は伝わってきたが、1億6千万円超の年俸で打率.148 ・0本塁打ではどうにも擁護できず、途中退団となった。

 2012年のスプリングトレーニングの時期にツイッターでもう引退していたことを明かした。奥さんは元ア・リーグ盗塁王のスコット・ポセドニックの妹。

Embed from Getty Imagesテキサス・レンジャースの外野のレギュラーだった

36→4 ライアン・ボーゲルソン
 
(登録名:ボーグルソン)
投手 在籍期間:2007~08(オリ09)
アメリカ合衆国/1977年7月22日生/右投右打
WBC2013
【NPB】62試合11勝14敗0S 防御率4.17 BB/9 3.2 K/9 8.3
(阪神) 32試合10勝10敗0S 防御率4.08 BB/9 3.1 K/9 7.4
(オリ) 30試合1勝4敗0S 防御率4.54 BB/9 3.5 K/9 12.1
【MLB】289試合61勝75敗0S 防御率4.48 BB/9 3.6 K/9 6.8

============ 選手紹介 ============

 日本球界を去った後にメジャーで活躍した元先発右腕。阪神では2年で10勝10敗・防御率4点台と平凡な成績。オリックスを経てアメリカに戻ると、2011年から古巣サンフランシスコ・ジャイアンツに返り咲き。5年間で2桁勝利2度、規定投球回クリアは3度数える躍進を遂げた。

Embed from Getty Images2017年9月 AT&Tパークでの試合前に引退のあいさつをするボーゲルソン。SFジャイアンツには来日前後に1度ずつ在籍した。2ケタ勝利を2度挙げただけでなくプレーオフではそれ以上に重要な働きをし、2012・14年に世界一を味わった。球団から正式に引退セレモニーをしてもらった。

122 アルビス・オヘイダ
投手 在籍期間:2008
ベネズエラ/1983年9月23日生/右投右打
【NPB】1軍出場なし
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 バルディリスと一緒に春季キャンプで行われた入団テストを受け、育成契約を結んだベネズエラ人右腕。マイナー最高位はAA。ファストボールの球速は魅力的だったが、6月にバルディリスが支配下登録されたのと逆にオヘイダは手首を負傷。翌月解雇された。

55 ルー・フォード
外野手 在籍期間:2008
アメリカ合衆国/1976年8月12日生/右投右打
【NPB】47試合 打率.225 安打29 本塁打3 OPS.656
【MLB】519試合 打率.268 安打425 本塁打35 OPS.744

============ 選手紹介 ============

 ミネソタ・ツインズに5年在籍、2004~05年の2年間は外野のレギュラーだったラインドライブヒッター。メジャー屈指の秀才としても知られていた。

 阪神では日本流の配球についていけず、クソボールに手を出し、シュアなバッティングとの前評判とは程遠い結果となった。

 阪神退団後は独立リーグのロングアイランド・ダックスに入団。メジャー返り咲きを目指してMLB傘下の球団とマイナー契約を求めたが、解雇されるたびにダックスに戻ってきた。2016年以降はダックスに骨をうずめることに決め、2023年・47歳まで現役でプレー。翌24年からダックスの監督に就任した。

59 ダーウィン・キュービラン
 
(登録名:ダーウィン)
投手 在籍期間:2005~07
ベネズエラ/1972年11月15日生/右投右打
【NPB】88試合3勝5敗2S 防御率3.76 BB/9 3.2 K/9 6.2
【MLB】56試合1勝0敗0S 防御率6.85 BB/9 5.7 K/9 7

============ 選手紹介 ============

 33歳になる年に来日したが、2年目に急成長を遂げて一軍で活躍したリリーフ右腕。ファームでは無双していた。日本ではクビアンと発音され、解雇の意味を連想させるということでダーウィンが登録名になった。

4 アンディ・シーツ
内野手 在籍期間:2005~07(広島03~04)
アメリカ合衆国/1971年11月19日生/右投右打
優良助っ人
【NPB】682試合 打率.289 安打778 本塁打95 OPS.796
(広島) 270試合 打率.298 安打315 本塁打48 OPS.856
(阪神) 412試合 打率.283 安打463 本塁打47 OPS.758
【MLB】356試合 打率.216 安打207 本塁打19 OPS.592

============ 選手紹介 ============

 広島東洋カープで活躍中だったが年俸増額要求を拒まれ、ソフトバンクとの争奪戦を制して獲得した。カープ時代からファーストの守備はうまかったが、阪神ではそれ以上に上達したように見え在籍3年間毎年ゴールデングラブを受賞した。ミルウォーキー・ブリュワーズのエースだった好投手ベン・シーツを従弟に持つ。

92 エステバン・ヤン
 
(登録名:ジャン)
投手 在籍期間:2007
ドミニカ共和国/1975年6月22日生/右投右打
大物
【NPB】21試合6勝5敗0S 防御率4.66 BB/9 2.7 K/9 4.5
【MLB】472試合33勝39敗51S 防御率5.14 BB/9 3.5 K/9 7.2

============ 選手紹介 ============

 ものすごい量の汗をかきながらボークを犯しまくったスキンヘッドのピッチャー。というイメージが鉄板の元メジャーリーガー。日本には野球やそのほかの要素(気候とか)が色々と合わなかったが、メジャーでは通算11年・472試合に登板した大物リリーバーだった。

Embed from Getty Imagesスキンヘッドのイメージしかない(写真中央)

41 シェーン・スペンサー
外野手 在籍期間:2005~06
アメリカ合衆国/1972年2月20日生/右投右打
大物
【NPB】167試合 打率.237 安打91 本塁打15 OPS.717
【MLB】538試合 打率.262 安打438 本塁打59 OPS.754

============ 選手紹介 ============

 ヤンキースでメジャーデビューした1998年にメジャー記録になるほど打ちまくった元外野手。有望株ではなかったが9月に昇格すると、67打席で10本塁打を放つ大活躍。また10日間のうちにグランドスラム3本を打ったのも当時の新人記録だった。勢いそのままにポストシーズンでも柵越えを放ち、スポーツ・イラストレイテッド誌の表紙を飾った。しかし翌年に不整脈を発症してからは困難が続き、メジャー4球団目のメッツでは飲酒絡みの不祥事を立て続けに起こしてしまう。

 その年のオフ、阪神タイガースが獲得したことを発表。この頃には完全に問題児のイメージがついてしまっていて、阪神はちゃんとコントロールできるのか?大いに疑問を持たれたが、意外にもチームへの献身の姿勢が目立った。

 引退後はマイナーや独立リーグで打撃コーチを中心に指導者の道に進んだ。ただ韓国のネクセン・ヒーローズの二軍監督を務めていた2019年、再び飲酒運転が発覚して辞任している。

Embed from Getty Images悪童の印象が拭えなかったスペンサー。波乱万丈の野球人生だった

45 クリス・オクスプリング
投手 在籍期間:2006
オーストラリア/1977年5月13日生/右投左打
WBC2009 WBC2013
【NPB】16試合4勝3敗0S 防御率5.12 BB/9 2.7 K/9 5.9
【MLB】5試合0勝0敗0S 防御率3.75 BB/9 4.5 K/9 8.3

============ 選手紹介 ============

 オーストラリア出身の右のスターター。阪神では開幕から先発で投げたが15登板・4勝3敗に終わり、1年で退団した。

 国際大会の経験が豊富で、2004年アテネ五輪で日本相手に先発登板。ジェフ・ウィリアムズとのリレーで日本を下し、銀メダルを獲得した。WBCにも2度選出されている。45歳だった2023年はWBC代表に選ばれたとの出所不明の情報が流れた。2023~24年の母国リーグで登板、46歳時点でも現役を続けている。

◇2005年までに在籍した外国人選手
17 ジェイミー・ブラウン
投手 在籍期間:2005
アメリカ合衆国/1977年3月31日生/右投右打
【NPB】11試合4勝1敗0S 防御率5.18 BB/9 3.0 K/9 6.5
【MLB】4試合0勝0敗0S 防御率5.87 BB/9 4.7 K/9 7

============ 選手紹介 ============

 前年のマイヤーズ同様、来日前はパワータイプの投手という触れ込みで来たのだが、最大出力でも140km/h中盤しか出ない。常時130後半~140km/hのツーシームとブレイキングボールでかわす投球スタイルだった。スタミナも先発としては不充分で、ブルペンに負担がかかる投手だったのもマイナス点であった。

 数年前の最下位が定位置だった頃ならまだしも、優勝を争うチームに生まれ変わったタイガースで投げるレベルではなかった。

 バンビーノの呪いを解くことになる2004年にレッドソックスでメジャーデビュー。レッドソックスファンのデッドボーラー(筆者)はこの頃かなり追っていたが、正直この投手は記憶に残っていない。

14 ジョージ・アリアス
内野手 在籍期間:2002~04(オリ00~01,巨人06)
アメリカ合衆国/1972年3月12日生/右投右打
大活躍
【NPB】639試合 打率.259 安打612 本塁打161 OPS.839
(オリ) 255試合 打率.257 安打245 本塁打64 OPS.825
(阪神) 367試合 打率.265 安打357 本塁打95 OPS.864
(巨人) 17試合 打率.167 安打10 本塁打2 OPS.519
【MLB】173試合 打率.238 安打114 本塁打14 OPS.649

============ 選手紹介 ============

 オリックスでの2年間で64本塁打をマークしていたが、チャンスに弱いなど評価が低かった右のスラッガー。オリックスとは契約交渉が難航していたが、獲得を熱望した星野監督の後押しを受け、年俸2億5千万円の好待遇で移籍。

 タイガースではオマリー打撃コーチの指導が合っていたこともあり、古巣時代よりもレベルアップに成功。在籍3年で95本塁打を放ち、3年ともオールスターに選出。キャリアハイだった2年目には38本塁打・OPS.899の好記録を挙げ、ベストナインとGGをダブル受賞している。

65 ジェロッド・リガン
投手 在籍期間:2003~04
アメリカ合衆国/1974年5月16日生/右投右打
期待以上
【NPB】52試合4勝1敗4S 防御率2.07 BB/9 2.4 K/9 6.5
【MLB】67試合5勝4敗0S 防御率5.19 BB/9 4.5 K/9 6.9

============ 選手紹介 ============

 アタリ外国人と認識されているリリーフ右腕。MLBではパッとしなかったが、来日してコントロールが良くなり相手打者を圧倒した。

 リガンの学生時代は野球とバスケで活躍。アナハイム・エンゼルスに入団後、マイナーで中継ぎ転向を言い渡されるも拒否したことでFAに。その後ニューヨーク・メッツに拾われてからはリリーフ投手のキャリアを歩むことを受け入れた。メッツでは奇人投手として有名なターク・ウェンデルと仲良くなり、自分の息子に”ターク”と名付けた。

 ルー・ポートのクローザー起用が失敗した阪神タイガースが2003年のシーズン中に獲得。JFK結成前のジェフ・ウィリアムズらとともに強固なブルペンの一角を担った。逆に翌年は右ヒジ靭帯をやってしまいトミー・ジョン手術を受け退団した。

50 トレイ・ホッジス
投手 在籍期間:2004
アメリカ合衆国/1978年6月29日生/右投右打
【NPB】8試合2勝3敗0S 防御率5.31 BB/9 3.5 K/9 6.4
【MLB】56試合5勝3敗0S 防御率4.77 BB/9 3.8 K/9 8.4

============ 選手紹介 ============

 ヤクルトで活躍したケビン・ホッジスの実弟。超強豪ルイジアナ州立大学のシニア(4年生)のときにカレッジワールドシリーズを制覇。同大学から8人ドラフト指名されたうちの1人だった。飛び級昇格したAAAで好成績を挙げてメジャーデビューしたが、2004年6月にマイナー降格したところをタイガースが獲得した。

 来日初先発初勝利を挙げたが、生命線の高速シンカーが日本のボールではあまり変化せず、頻繁に長打を打たれた。

59 ラモン・モレル
投手 在籍期間:2004
ドミニカ共和国/1974年8月15日生/右投右打
【NPB】21試合0勝1敗1S 防御率3.67 BB/9 3.0 K/9 6.7
【MLB】42試合2勝2敗0S 防御率4.98 BB/9 4.2 K/9 4.8

============ 選手紹介 ============

 タイガースに入団する前はCPBL(台湾プロ野球)の興農ブルズに所属。開幕から21試合連続セーブの台湾新記録を樹立するなど、クローザーとして活躍していた。

 興農時代は150km/hのファストボールと3種類の変化球を使いこなしていたが、日本ではコントロールを乱す場面が多くみられた。

 ちなみに、CPBLでは漏れなく外国人選手に漢字の登録名が付けられる。当て字(例:ポート→波特)の選手が多いなか、モレルには興農グループが販売する農薬の商品名『世介勇』が与えられた。

97 ロドニー・マイヤーズ
投手 在籍期間:2004
アメリカ合衆国/1969年6月26日生/右投右打
【NPB】20試合1勝2敗0S 防御率4.07 BB/9 3.0 K/9 3.0
【MLB】167試合7勝5敗1S 防御率5.07 BB/9 4.1 K/9 6

============ 選手紹介 ============

 大学では野球とアメフトの二刀流。1995年のマイナー時代にルール5ドラフトでシカゴ・カブスから指名を受ける。ダメなら返却となる96年をリリーフ投手として何とか乗り切り、以後9年間メジャーとトリプルAを行ったり来たりしながら過ごした。

 阪神にはパワータイプの投手との評判で来日したが、実際は140km/h前半のファストボールに数種類のブレーキングボールを使い分ける投手だった。初登板となったヤクルト戦でアレックス・ラミレスにサヨナラタイムリーを浴びた。

22 マイク・キンケード
外野手 在籍期間:2004
アメリカ合衆国/1973年5月6日生/右投右打
問題児
【NPB】26試合 打率.233 安打20 本塁打3 OPS.725
【MLB】222試合 打率.256 安打110 本塁打13 OPS.749

============ 選手紹介 ============

 とにかくムダに当たりにいって出塁率を稼いでいた死球王。MLB時代もそれなりに多かったが、日本では尋常でないペースで死球を受け続けた。ただ当たるだけなら構わないが、問題は当たり所が悪く骨折などで何度も欠場していたこと。挙句は守備中ダイビングキャッチに失敗して指を負傷。この試合の前日にアリアスが離脱していて、代わりに主軸を打つべき立場だったためチームとしても非常に痛いケガだった。そのままシーズン終了→退団した。なお、NPBデビューとなった開幕戦でアンパイヤに暴言を吐き、46年ぶりに開幕戦退場処分を受けた。

 来日前のキンケードは、2000年のシドニー五輪にアメリカ代表として活躍。また、本職のサード以外にレフト、ファースト、そしてキャッチャーで多くのイニングをこなすユーティリティープレイヤーだった。

Embed from Getty Images2000年 メッツ時代にマイク・ピアザと一緒にポストシーズンを戦った

17 トレイ・ムーア
投手 在籍期間:2002~03(オリ04)
アメリカ合衆国/1972年10月2日生/左投左打
期待以上
【NPB】64試合26勝23敗0S 防御率4.28 BB/9 3.7 K/9 6.5
(阪神) 48試合20勝17敗0S 防御率3.72 BB/9 3.0 K/9 6.5
(オリ) 16試合6勝6敗0S 防御率6.24 BB/9 6.1 K/9 6.8
【MLB】23試合3勝10敗0S 防御率5.83 BB/9 3.6 K/9 5.4

============ 選手紹介 ============

 メジャーで100イニングほど先発実績があるサウスポー。タイガースには2年間在籍し、2年連続10勝を挙げて18年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

 野手顔負けのバッティングも大きな特徴で、時にはヘッドスライディングも辞さなかった。それもそのはず、テキサスA&M大学時代は投手兼一塁手の二刀流で名を馳せていたのだ。

Embed from Getty Images若かりし頃のムーア(1998年)。ちょっと面影ありますよね?!

35 ルー・ポート
投手 在籍期間:2003
アメリカ合衆国/1971年8月21日生/右投右打
【NPB】8試合0勝1敗1S 防御率9.64 BB/9 1.0 K/9 7.7
【MLB】129試合4勝4敗6S 防御率3.56 BB/9 3.6 K/9 6.8

============ 選手紹介 ============

 メジャーではエンゼルスに4年間在籍、長谷川滋利と3年間チームメイトだった。リリーフ投手だがマイナーでは先発もこなしていたため、イニング跨ぎを厭わないタフさがあった。阪神では150km/h近い速球とハードカーブ、スプリッターの球威が良かったが、マウンドに上がると使いこなせない不器用さがアダとなった。

 退団後は1年だけメジャー昇格できたが、マイナーリーグ以外にも台湾やメキシカンリーグなどを転々とし、最後は米独立リーグのエドモントン・キャピタルズに所属。2011年限りでキャピタルズは解散、ポートは球団最後のシリーズMVPの受賞と同時に現役引退した。

18 マーク・バルデス
投手 在籍期間:2002(中日03~04)
アメリカ合衆国/1971年12月20日生/右投右打
【NPB】109試合5勝7敗24S 防御率3.15 BB/9 3.2 K/9 6.2
(阪神) 42試合4勝3敗22S 防御率1.54 BB/9 2.9 K/9 6.7
(中日) 67試合1勝4敗2S 防御率4.16 BB/9 3.4 K/9 5.9
【MLB】144試合12勝15敗4S 防御率4.95 BB/9 4.2 K/9 4.8

============ 選手紹介 ============

 メジャー歴6年、144試合登板の元MLB右腕。30歳のときに来日。先発・リリーフ両方こなせるスイングマンだった。

 球速は日本人と比べても速くない(140km/h前後)ものの、変化量の多いムービングファストボールはNPBの打者を苦しめた。タイガースではリリーフ専任で防御率1.54と好成績を残したが、オフに契約延長交渉が破断。翌年から中日ドラゴンズでプレーした。

49→14→42 グレッグ・ハンセル
投手 在籍期間:2000~02
アメリカ合衆国/1971年3月12日生/右投右打
【NPB】52試合12勝21敗0S 防御率3.81 BB/9 4.1 K/9 7.1
【MLB】106試合4勝4敗3S 防御率5.56 BB/9 3.2 K/9 6.4

============ 選手紹介 ============

 前年にベン・リベラが退団し、クローザー候補に阪神が獲得。球威があるもののコントロールが悪く、キャンプではフリー打撃でビーンボールを投げてしまったことも。次第に先発で使うと安定することがわかり、1年目は20試合に先発。翌年には5勝13敗ながら防御率3.49(リーグ8位)をマークし、野村監督から「いてまえ打線がバックなら20勝しとる」と珍しく褒められた。だが、3年目は開幕直後に腰のヘルニアで長期離脱。アメリカで治療を受け、シーズン終盤に再来日したがシーズン全体では4試合登板に終わった。

 入団年に指揮を執っていたノムさんの評価は高かったが、サッチーの脱税問題の余波で2002年から星野仙一氏が監督に就任。02年シーズン終了後、星野体制2年目を前に”血の入れ替え”が断行され、翌シーズン開幕前までに24人もの選手を退団させた。退団を余儀なくされたハンセルは腰が完治しており、引き続き日本でのプレーを希望。特にドラゴンズが強い興味を示していたが、同じく血の入れ替えで退団したバルデスの方が選ばれ、ハンセルはやむなく帰国していった。

26 バディ・カーライル
投手 在籍期間:2001~02(日ハム10)
アメリカ合衆国/1977年12月21日生/右投左打
【NPB】38試合7勝15敗0S 防御率4.28 BB/9 3.7 K/9 6.4
(阪神) 31試合7勝12敗0S 防御率4.19 BB/9 3.7 K/9 6.7
(日ハム) 7試合0勝3敗0S 防御率4.88 BB/9 3.6 K/9 4.6
【MLB】150試合13勝13敗1S 防御率5.14 BB/9 3.3 K/9 7.1

============ 選手紹介 ============

 150km/hに迫るハイ・ファストボールとツーシームっぽい動く速球、チェンジアップを持ち、ハマれば相手打線を寄せ付けなかった。阪神1年目はシーズンを通して先発ローテーションを守り、153回1/3を消化。翌シーズンはムーアとバルデスがハイレベルな活躍をした煽りでファーム暮らしを強いられた。

 阪神タイガースには24歳のときに入団。韓国に活躍の場を求めた年もあったが、なんだかんだで37歳までメジャーリーガーとしてプレーした。

Embed from Getty Imagesメジャー時代のカーライルの、ヒゲの形がもの凄い気になってました

6 デリック・ホワイト
外野手 在籍期間:2002
アメリカ合衆国/1969年10月12日生/右投右打
【NPB】73試合 打率.227 安打50 本塁打7 OPS.679
【MLB】76試合 打率.181 安打21 本塁打3 OPS.503

============ 選手紹介 ============

 マイク・タイソンに似ていると話題になった元MLB外野手。入団テストを受けて年俸2000万円で契約したことから分かるように期待値は低かった。シーズントータルでは73試合・打率.227・7本塁打・OPS.679に終わったが、一時期は4番を任され、全力プレーをするタイプの選手で決して悪い印象はなかった。

 さて、ホワイト入団前年のタイガースといえば、サッチーの脱税スキャンダルの影響で野村監督が辞任して、2002年から星野仙一監督が就任。そこに入ったホワイトは結果は残せなかったが、引退後最初の仕事は星野監督に請われて就いた楽天イーグルスの駐米スカウトだった。星野仙一・田淵ヘッドら旧阪神体制のもとでホワイトは才能を発揮し、アンドリュー・ジョーンズ、ケイシー・マギー、ケビン・ユーキリスと契約する大仕事を成し遂げている。もし阪神時代に野村監督のままだったら、きっと違った運命になっていたであろう。

5 トム・エバンス
内野手 在籍期間:2001~02(西武02)
アメリカ合衆国/1974年7月9日生/右投右打
【NPB】117試合 打率.249 安打91 本塁打17 OPS.814
(阪神) 39試合 打率.242 安打30 本塁打2 OPS.681
(西武) 78試合 打率.252 安打61 本塁打15 OPS.882
【MLB】42試合 打率.255 安打26 本塁打1 OPS.691

============ 選手紹介 ============

 ペレスが不振だったため入れ替わりで2001年シーズン途中に来日した。打撃は良くなかったが守備固めに起用できるレベルの内野守備力を持っていたことや、まじめで熱心に練習に取り組む姿勢を評価されて契約延長。2年目のシーズンは熾烈な外国人枠争いに巻き込まれ二軍生活がメインになってしまい、シーズン中に西武にトレード移籍した。

42 イバン・クルーズ
内野手 在籍期間:2001(中日03)
プエルトリコ/1968年5月3日生/左投左打
【NPB】141試合 打率.228 安打106 本塁打25 OPS.725
(阪神) 70試合 打率.234 安打56 本塁打14 OPS.746
(中日) 71試合 打率.222 安打50 本塁打11 OPS.704
【MLB】41試合 打率.273 安打15 本塁打2 OPS.710

============ 選手紹介 ============

 前年に2ケタ本塁打を放った新庄、大豊、タラスコが3人とも退団してしまったタイガース。改めて打線再構築に4番候補として獲得したのがクルーズだった。

 オープン戦で7本ものホームランを記録。気の早い在阪メディアから”バースの再来”と持ち上げられたが、警戒されすぎたのかレギュラーシーズンでは打撃を崩され14本塁打に終わった。ちなみに2001年のタイガースは14本でもチームの本塁打王だった。当時どれだけ暗黒期だったかが分かる端的な例だった。

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9 エデュアルド・ペレス
 
(登録名:エドワード・ペレス)
外野手 在籍期間:2001
アメリカ合衆国/1969年9月11日生/右投右打
元有望株 WBC2006
【NPB】52試合 打率.222 安打37 本塁打3 OPS.652
【MLB】754試合 打率.247 安打445 本塁打79 OPS.757

============ 選手紹介 ============

 MLBで8年プレー後、阪神に入団。春季キャンプ中にヒザを痛めたことが尾を引き、52試合で3本塁打に留まりシーズン中に退団した。翌期以降はヒザが治ったのか、さらに5年メジャーでプレーし続けた。

 WBCに縁がありプエルトリコ代表として2006年に出場、2009年はコーチとして入閣。2013年大会にはコロンビア代表監督に就任し、善戦するもパナマに敗退し本選出場を逃した。なお、父親のトニー・ペレスはMLBの野球殿堂入りしている超大物。

55 大豊泰昭
外野手 在籍期間:1998~00(中日89~97,01~02)
台湾/1963年11月15日生/左投左打
【NPB】1324試合 打率.266 安打1089 本塁打277 OPS.873
(中日) 1050試合 打率.268 安打889 本塁打215 OPS.870
(阪神) 274試合 打率.258 安打200 本塁打62 OPS.883
【MLB】メジャー経験なし

============ 選手紹介 ============

 中日ドラゴンズのレジェンド的な台湾人スラッガー。ナゴヤドーム元年の1997年に成績を大きく落とし、オフに矢野輝弘とともに関川浩一、久慈照嘉とのトレードで加入した。

 タイガースには3年在籍したが、野村監督と相性が合わなかった。フロントとも毎年のように交渉が長引き、2000年オフには大幅ダウン提示についに爆発し、自由契約の立場を選んだ末に古巣のドラゴンズに戻った。

53 カート・ミラー
投手 在籍期間:1999~00
アメリカ合衆国/1972年8月24日生/右投右打
元有望株
【NPB】28試合2勝6敗6S 防御率6.33 BB/9 4.1 K/9 7.4
【MLB】44試合2勝7敗0S 防御率7.48 BB/9 5.6 K/9 6.1

============ 選手紹介 ============

 マイナー時代は超有望株だった速球派右腕。1990年のMLBドラフトで1巡目・全体5位指名の高順位でピッツバーグ・パイレーツに入団。3年もの間ベースボールアメリカの有望株ランキング全体10~20位に取り上げられ続けるほど期待を浴びていた。その後、球団拡張によるエクスパンション・ドラフトでフロリダ・マーリンズへ移ってから21歳でメジャーデビュー。先発では打者を抑えられずブルペンへ異動するが、それでもメジャー定着はならなかった。

 1999年のシーズン途中に阪神入り。150km/h台前半のファストボールは大きな武器になると期待され、久々に先発起用されたが1年目の防御率は5.98。翌年には、先発に再チャレンジの福原忍との入れ替えでクローザー役を任されるも、前年以上に打ち込まれセーブ失敗を繰り返した。

 投げる方ではほとんど貢献できなかったが、来日1年目の8月、巨人戦で桑田真澄から決勝本塁打を放って勝ち投手になったのが唯一の見せ場だった。

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62 ロベルト・ラミレズ
投手 在籍期間:2000
メキシコ/1971年8月17日生/左投右打
WBC2006
【NPB】9試合1勝3敗0S 防御率5.55 BB/9 4.0 K/9 4.3
【MLB】53試合2勝5敗1S 防御率7.69 BB/9 5.6 K/9 8

============ 選手紹介 ============

 巨人に移籍したダレル・メイの後釜に獲得した変則左腕。変化球でかわすピッチングスタイルだったが、軟投派には必須のコントロールが備わっていなかった。上から横からアングルを変える幻惑フォームも、制球力不足を隠しているだけに思えた。野村監督の信頼を得ることができず、1年でクビになった。

 阪神退団後は故郷に戻りメキシカンリーグで40歳までプレー。2006年にWBCのメキシコ代表に選ばれている。

61 ジェイソン・ハートキー
内野手 在籍期間:2000
アメリカ合衆国/1971年9月15日生/右投両打
【NPB】76試合 打率.272 安打82 本塁打4 OPS.687
【MLB】67試合 打率.231 安打31 本塁打2 OPS.611

============ 選手紹介 ============

 契約反故のケビン・ミラーと同様、スト破りの選手だとMLB選手会から目を付けられていた元メジャーリーガー。セカンドを中心にサード、ショートも守るユーティリティだった。

 2000年の阪神タイガースは4番候補にトニー・タラスコとハワード・バトルを獲得したが、春先から機能しなかったため4月に急遽加入した。だが期待された長打を打てず(もともと長距離ヒッターではなかったが…)76試合中4本塁打にとどまり、最も多く就いたサードの守備も不安定なものだった。最終的に故障離脱してシーズンが終わり、当たり前のように退団していった。

 父親は1980年代にカリフォルニア州に野球塾を起業。後のメジャーリーガーを数多く指導した有名な組織になり、ジェイソンも引退後コーチングと経営に参加した。

42 トニー・タラスコ
外野手 在籍期間:2000
アメリカ合衆国/1970年12月9日生/右投左打
優良助っ人
【NPB】102試合 打率.239 安打91 本塁打19 OPS.735
【MLB】457試合 打率.240 安打241 本塁打34 OPS.709

============ 選手紹介 ============

 メジャー6球団で9年プレーした元外野手。若い時は走攻守3拍子揃ったスマートな選手だった。タイガースでは紳士的なプレーヤーの印象だった。

 父親はイタリア系、母親はトリニダード・トバゴをルーツに持つ。9歳までニューヨークで過ごし、13歳のときに移住したカリフォルニア州サンタモニカでグレてギャングに入った。地元のサンタモニカ高校で野球に打ち込み、ギャングと距離を置くことに成功するとアトランタ・ブレーブスから15巡目指名を受けてプロ入りした。メジャーで8シーズンプレーしたがレギュラー奪取は叶わず来日した。

 阪神では打率.239・19本塁打を記録。期待外れということで解雇されたが、打撃成績はほかの選手に比べれば遥かにマシで、守備もさほど問題視されていない。2000年の阪神打線で2ケタ本塁打は新庄剛志28本、大豊泰昭23本とタラスコの3人だけだったが、新庄はMLB挑戦、大豊は30%超減俸提示にブチ切れ、3人ともチームを去ることになり、暗黒期阪神の打線の軸はさらに弱体化していくのであった。

 退団後の2002年にメッツでメジャー復帰を果たしたが、一緒にマリファナを吸っていたチームメイトが意識を失い搬送されたことで愚行が明るみになって逮捕されてしまう。2人とも初犯だったためMLBから処分は受けなかったが、タラスコはこの年限りで現役引退(チームメイトは翌年メジャーに復帰)。引退後はワシントン・ナショナルズなどでコーチを務めた。


1996年のア・リーグ優勝決定戦、デレク・ジーターが放ったライトフェンス際の大飛球を12歳の観客が捕球してしまう。妨害が無ければライトは捕球していた可能性が高かったが、なぜか判定はホームラン。これで流れはヤンキースに傾き、ワールドシリーズへと駒を進めた。この時ライトを守っていたのがタラスコだった。

99 ハワード・バトル
内野手 在籍期間:2000
アメリカ合衆国/1972年3月25日生/右投右打
【NPB】13試合 打率.227 安打10 本塁打1 OPS.633
【MLB】29試合 打率.243 安打9 本塁打1 OPS.673

============ 選手紹介 ============

 2000年に4番候補として獲得した元MLB三塁手。身体をまったく絞らずに来日し、一軍キャンプに合流できないまま開幕も二軍で迎えることになる。4月中旬になって一軍に上がったが打撃成績は芳しくなく、日本ハムからミカ・フランクリン獲得のめどが立ったため6月に解雇された。

 打撃成績は打率.227・1本塁打・1打点。なぜか中日戦だけは強く、初安打は山本昌から、唯一の打点とホームランは岩瀬仁紀から打ったものだった。

99 ミカ・フランクリン
外野手 在籍期間:2000(日ハム99~00)
アメリカ合衆国/1972年4月25日生/右投両打
【NPB】144試合 打率.233 安打110 本塁打32 OPS.851
(日ハム) 136試合 打率.237 安打105 本塁打30 OPS.859
(阪神) 8試合 打率.172 安打5 本塁打2 OPS.728
【MLB】17試合 打率.324 安打11 本塁打2 OPS.878

============ 選手紹介 ============

 4番候補のバトルに見切りをつけて2000年シーズン途中に獲得した両打ちの長距離砲。前年に日本ハムで30本塁打を放ったが外国人枠のあおりを受けて出場機会が激減していたところを金銭トレードで獲得した。

 タイガースでは移籍後すぐに2本塁打を放ち期待を持たせたが、ヒザを故障して8試合しか出場できず。ホームランもその2本にとどまった。