WBC2026 カナダ代表予想 選手名鑑


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最終更新日:2025/5/17

【寸評】決勝ラウンド進出は過去に1度もないが、レギュラーの顔ぶれはドミニカ共和国やベネズエラに引けを取らない。主力が揃えば優勝争いに絡んでも不思議はない陣容だが、内野手は一塁専任や打撃型ユーティリティに偏っているのが気がかり。

 カギを握るのは投手陣の陣容。タイオンやピベッタらMLBの先発投手が名を連ねるものの、過去大会では辞退が相次いだ。ほかの優勝候補国に比べてデプスが薄いので、今回どこまで揃うかが突破の成否を分ける。

 注目はメッツ傘下のプロスペクト、ジョナ・トング。ティム・リンスカムを彷彿とさせる投球フォームで、2025年には完全試合目前で降板させられ話題に。代表入りは確実ではないが、ぜひ本戦で見てみたい存在だ。

▼目次 – カナダ代表選手一覧
【先発】
【リリーバー】
【捕手】
【内野手/ユーティリティ】
【外野手】
【監督/主なコーチ/GM】
【不参加、選考漏れ】
――――――――――――――――――――――――
【参考1:過去の名選手】
【参考2:日本に来た助っ人外国人】

◇先発
ジェームソン・タイオン (シカゴ・カブス)
34歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 右投右打
1991年11月18日生/出身地:アメリカ合衆国 フロリダ州レイクランド
WBC2013
 2010年ドラフトで全体2位指名を受けた野球エリート。これまでに2桁勝利を3度記録している。2019年にトミー・ジョン手術を受けて以降は控えめになったが、腕を大きくブン回す投球フォームは健在。

 両親ともにカナダ出身で、本人もカナダとアメリカの二重国籍を持つ。

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ニック・ピベッタ (サンディエゴ・パドレス)
33歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 右投右打
1993年2月14日生/出身地:カナダ ブリティッシュコロンビア州ビクトリア
WBC2017
 熱いハートを持つ正統派先発右腕。これまではどちらかというと3~4番手クラスのイニングイーターとしての評価をされてきた。昨季はクオリファイング・オファーを拒否してFA市場に挑戦。しかし想定よりも低年俸の契約しか得られず、メディアには下げ記事が多く出た。

 だが今季は春先から絶好調。管理人推しのピッチャーでもあるので、世間を見返す大活躍を期待している。

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カル・クアントリル (コロラド・ロッキーズ)
31歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 右投左打
1995年2月10日生/出身地:カナダ オンタリオ州ポートホープ
WBC2023
 メジャー通算841試合登板の名リリーバー、ポール・クアントリルを父に持つ二世右腕。大学は名門スタンフォード、プロ入りはドラフト1巡目。クリーブランド(当時インディアンス)で先発として頭角を現し、現在はロッキーズでプレーする。

 イケメン、高学歴、野球エリートと三拍子揃った人物。次の人生はクアントリルに生まれ変わりたいと思う。

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マイク・ソロカ (ワシントン・ナショナルズ)
28歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 右投右打
1997年8月4日生/出身地:カナダ アルバータ州カルガリー
オールスターx1
 ルーキーイヤーの2019年に13勝4敗・防御率2.68と素晴らしい成績を残したが、その後2度もアキレス腱を断裂した悲運の先発右腕。2021~22年を全休し、完全復活の2024年はホワイトソックスの先発ローテに入ったが、チームがメジャーワーストの121敗という惨状もあり、防御率4.74ながら0勝10敗という厳しい結果に。

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ロブ・ザストリズニー (ヤンキース傘下AAA)
33歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 左投右打
1992年3月26日生/出身地:カナダ アルバータ州エドモントン
WBC2023
 国際大会によく選ばれているサウスポー。カナダ生まれだが幼少期にテキサスへ移住し、アメリカとの二重国籍を持っている。

 2016年のメジャーデビュー以降、常にメジャー枠ギリギリの序列にいる。そのため頻繁にDFAを食らい、延べ10球団を渡り歩く結果となっている。

ミッチ・ブラッド (レンジャース傘下AA)
22歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 左投左打
2003年7月3日生/出身地:カナダ オンタリオ州ニューマーケット
WBC2023
 レンジャース傘下でプレーしているミドルプロスペクト。前回大会では10代にしてカナダ代表選出の栄誉を勝ち取ったが、本戦はよりにもよってアメリカ戦に起用された。

 相手はベッツやトラウト、ゴールドシュミット、アレナド・・・と悪魔のような打線。結果はヒット→四球→四球→二塁打→犠牲フライ→四球→ヒット。2つ目の四球を与えたところでタイムがかかり、監督から「楽しんで投げろ」と声を掛けられたが楽しめるはずもなく、0回1/3を投げて6失点を喫した。涙をこらえるような表情でマウンドを降りたのが印象的だった。

 次回大会で再選出されれば、あの悔しさを晴らすリベンジに注目が集まるはずだ。

ジョナ・トング (メッツ傘下AA)
22歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 右投右打
2003年6月19日生/出身地:カナダ オンタリオ州マーカム
 俄かに期待値が上がってきたメッツの有望株。カナダの高校からドラフト7巡目指名を受けて入団。制球力が課題だったが、今シーズンA+で先発投手として圧巻のパフォーマンスを見せている。5月には完全試合直前に降板を告げられ、監督に批判が殺到した。

 身体は大きくないがティム・リンスカムのようなフォームで投げる。それもそのはず、小さい頃からリンスカムをお手本にしていたらしい。真上から投げる速球は、時折サウスポーが投げるような回転軸になることがある独特なボールで、常時150km/h前半を計時する。また球速差が大きな緩いカーブ(スライダー?)も見ていて楽しい。

 次回WBC時点ではまだマイナーリーガーだと思うが、選出されてもおかしくない、面白い逸材だ。なお、フルネームはJonah Reid Tin Chee Matthew Tong。明らかに広東系にルーツを持っている。

アダム・マッコ (ブルージェイズ傘下AA)
25歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 左投左打
2000年12月30日生/出身地:スロバキア ブラチスラバ
 スロバキア出身というだけでもレアなのに、Youtubeでバーランダーやプライスのピッチングを見まくって150km/h超を投げられるようになったという、話題性しかないマイナーリーガー。

 独学で野球を覚えただけあって、ファストボールの球威以外は課題が多い。なお、カナダ代表候補なのは中学時代に家族で移住し、カナダ国籍を取得しているため。

カルビン・ジーグラー (メッツ傘下A+)
23歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 右投右打
2002年10月3日生/出身地:カナダ オンタリオ州キッチナー
 2021年のドラフト2巡目指名のプロスペクト投手。2024年はトミー・ジョン手術を受けているが、今季問題なく復帰できれば代表選出があるだろう。

 プロ入り前はフロリダ州のTNXL Academyに在籍していた。同校は勝敗よりも選手の成長を最重要視している野球育成特化型のアカデミーで、近年急激に注目を集めている。

アダム・マイヤー (ブレーブス傘下A+)
24歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 右投右打
2001年11月26日生/出身地:カナダ ブリティッシュコロンビア州バンクーバー
 2024年からアトランタ・ブレーブス傘下で投げているオレゴン大学出身のミドル・プロスペクト。

ノア・スキロウ (アトランティックリーグ(米独立リーグ))
27歳 ※WBC開幕時点 本職:先発 右投右打
1998年7月21日生/出身地:カナダ オンタリオ州ケンブリッジ
WBC2023
 かつては有望株と期待され、2022〜2023年には3Aでプレー。しかしメジャー昇格の機会には恵まれず、昨季DFAとなった。

 今季は独立リーグで登板中。派手さは無く、どちらかというと軟投派タイプ。

ジェセン・テリエン (フロンティアリーグ(米独立リーグ))
32歳 ※WBC開幕時点 本職:先発、リリーフ 右投右打
1993年3月18日生/出身地:カナダ ケベック州モントリオール
WBC2017
 2017年までアメリカでリリーバーをやっていた元メジャーリーガー。メジャーデビューした2017年に15試合に登板したまま、それ以降はマイナーでも姿を消していた。

 2023年に独立リーグ(フロンティア・リーグ)で突如復帰。2024年には18試合に先発して108イニングも投げた。まだ終わっていない男。

◇リリーバー
ジョーダン・ロマーノ (トロント・ブルージェイズ)
32歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 右投右打
1993年4月21日生/出身地:カナダ オンタリオ州マーカム
オールスターx2 WBC2017
 WBCに2度選出経験があるが、2017年はイタリア代表、前回2023年はカナダ代表として出場した。次回も争奪戦になること請け合いだが、ここ2年成績を落としており、立場いかんではメジャー枠残留を賭けて不参加の可能性も。

マット・ブラッシュ (シアトル・マリナーズ)
27歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 右投右打
1998年5月12日生/出身地:カナダ オンタリオ州キングストン
WBC2023
 マリナーズに突如現れた魅力あふれるリリーバー。ひと昔前の強豪校の高校球児みたく、ヒザが地面に付きそうなほどの超ワイドなストライドは見る価値あり。

 パッと見は小柄に見えるが、とんでもない軌道を描くスライダーを投げる。速球も99マイルを計時する。

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ケイド・スミス (クリーブランド・ガーディアンズ)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 右投右打
1999年5月9日生/出身地:カナダ ブリティッシュコロンビア州アボッツフォード
WBC2023
 2024年、開幕からメジャーロースター入りし、一度もマイナー落ちすることなく1年を完走。74試合もマウンドに上がり、全てリリーフなのに奪三振が100個を超え(103個)、防御率1.91と圧巻の数字。新人王投票では5位、サイ・ヤング賞でも票を得る素晴らしいデビューイヤーだった。

 次のWBCでロマーノがイタリア代表を選んだ場合、クローザーを任されるのはブラッシュかスミスのどちらかだろう。

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ローワン・ウィック (横浜DeNAベイスターズ)
33歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 右投左打
1992年11月9日生/出身地:カナダ ブリティッシュコロンビア州ノースバンクーバー
WBC2017
 ⇒NPB外国人名鑑セ・リーグ編2025年版 参照

エリック・サブロウスキー (クリーブランド・ガーディアンズ)
28歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 左投右打
1997年10月31日生/出身地:カナダ アルバータ州エドモントン
 2024年メジャーデビューのリリーフ投手。カナダのサブローと言われている(嘘)

ザック・ポップ (マリナーズ傘下AAA)
29歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 右投右打
1996年9月20日生/出身地:カナダ オンタリオ州ブランプトン
 ルール5ドラフトで指名直後にトレードされ、受け入れ先のマイアミ・マーリンズでメジャーデビューを果たしたリリーフ投手。150km/h台前半のツーシームとスライダーを主体で投げるスタイル。

カーティス・テイラー (カージナルス傘下AAA)
30歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 右投右打
1995年7月25日生/出身地:カナダ ブリティッシュコロンビア州ポートコキットラム
WBC2023
 メジャー昇格待ったなしのリリーフ右腕。前回WBCでもカナダ代表に選ばれており、次回も大事な戦力になりそう。体格に恵まれ、ファストボールは150km/h中盤を計時する。

ジョーダン・バラゾビック (タイガース傘下AAA)
27歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ、先発 右投右打
1998年9月17日生/出身地:カナダ オンタリオ州ミシサガ
 2年前、路上を歩いていたら突然殴られ、顔面を骨折したかわいそうな人。ツインズの元有望株で、2020~22年に有望株ランキングTOP100に入っていた。

 2023年にメジャーデビューを果たすも、わりと早いタイミングでDFAに。2024年は韓国へ渡ったが活躍できず、今季3Aで再起をかけている。

インディゴ・ディアス (ヤンキース傘下AA)
27歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 右投右打
1998年10月14日生/出身地:カナダ ブリティッシュコロンビア州ノースバンクーバー
WBC2023
 マイナー下位ながら前回WBCで好投した巨漢投手。

トレバー・ブリグデン
30歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 右投左打
1995年9月20日生/出身地:カナダ オンタリオ州トロント(ノースヨーク)
WBC2023
 球は速くない。選出可能性低い。

ベン・オニシコ
29歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 左投右打
1996年10月18日生/出身地:カナダ マニトバ州ウィニペグ
WBC2023
 なぜかカナダに意外と多い左投右打のリリーフ投手。2023年大会ではコロナに苦しんだピベッタの代替として代表入りした。

 今季はメキシカンリーグのチームと契約したが、ボコボコに打たれてリリース。次回の選出は辞退者続出しない限り難しいだろう。

エバン・ルーツキー
34歳 ※WBC開幕時点 本職:リリーフ 左投右打
1992年1月31日生/出身地:カナダ オンタリオ州ウィンザー
WBC2023
 Rutckyjという発音難度の高いラストネームを持つリリーフ左腕。WBCのほかプレミア12や東京オリンピックといった国際大会によく出ている。

 メジャーでそこそこやれると評価されていたが、近年はアメリカで居場所を失い、日本の独立リーグ(アルビレックス新潟)でプレーするまでに。遅咲きのブレイクなるか。

◇捕手
ボー・ネイラー (クリーブランド・ガーディアンズ)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:捕手 右投左打
2000年2月21日生/出身地:カナダ オンタリオ州ミシサガ
WBC2023
 ジャマイカの血を引くネイラー3兄弟の次男。キャッチャーだが兄よりシュッとしてる。2024年以降バッティングで苦戦しており、メジャー定着をかけて大事なシーズンが続く。

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リアム・ヒックス (マイアミ・マーリンズ)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:捕手 右投左打
1999年6月2日生/出身地:カナダ オンタリオ州トロント
 昨オフのルール5ドラフトでマーリンズに指名されたキャッチャー。左打ちで選球眼に優れている。

 前年まで3A未経験ながら、返却されることなく開幕戦でメジャーデビューを果たした。

アンディ・ヤージー (カージナルス傘下AAA)
27歳 ※WBC開幕時点 本職:捕手、一塁手 右投左打
1998年7月5日生/出身地:カナダ オンタリオ州トロント(ノースヨーク)
 イスラエル代表の出場資格も持っているユダヤ系カナダ人。今季途中にカージナルスへ移籍し、所属球団は延べ5球団目となった。

 大柄な体格から繰り出される長打力が魅力で、捕手だけでなく一塁手でも起用されている。プロ入り最初のダイヤモンドバックスでは、むしろ一塁手としての出場機会が多かった。

◇内野手/ユーティリティ
フレディ・フリーマン (ロサンゼルス・ドジャース)
36歳 ※WBC開幕時点 本職:一塁手 右投左打
1989年9月12日生/出身地:アメリカ合衆国 カリフォルニア州ビラパーク
MVPx1 オールスターx8 ゴールドグラブx1 シルバースラッガーx3 WBC2017 WBC2023
 ジョーイ・ボットーが引退したので、カナダ人では最も実績を残しているベテランプレイヤー。かつてはブレーブスの看板選手だったが、これも大谷効果なのか、気付けばブレーブスのイメージはすっかり無くなった気がする。

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ジョシュ・ネイラー (アリゾナ・Dバックス)
28歳 ※WBC開幕時点 本職:一塁手、左翼手 左投左打
1997年6月22日生/出身地:カナダ オンタリオ州ミシサガ
オールスターx1 WBC2017
 昨季までガーディアンズで通算84本塁打を放った強打の一塁手。今季から初めてのナ・リーグとなるDバックスでプレーする。カナダ代表ではフリーマンとポジションが被る。

 ドラフト1巡目指名でプロ入りしたが、弟のボーとマイルズも1巡目(マイルズは補完)指名されて話題を呼んだ。ジャマイカ人の血を引いているためか、あまりカナダ人っぽくない。

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ジャレッド・ヤング (メッツ傘下AAA)
30歳 ※WBC開幕時点 本職:一塁手、右翼手 右投左打
1995年7月9日生/出身地:カナダ ブリティッシュコロンビア州プリンスジョージ
WBC2023
 かつてはクリーンナップ候補と期待されていたパワーヒッター。前回WBCでは4番を任された。2024年シーズン途中にKBOに移籍し、38試合で10本塁打とそのパワーをアピール。現在はメッツ傘下の3Aでメジャー再昇格&レギュラー獲りのチャンスを窺っている。

エイブラハム・トロ (ボストン・レッドソックス)
29歳 ※WBC開幕時点 本職:内野手 右投両打
1996年12月20日生/出身地:カナダ ケベック州ロンゲール
 ケベック州で生まれ育ったベネズエラ系カナダ人。地域柄フランス語が盛んなため、英・仏・西の3か国語が堪能。多国籍のメジャーでは存分に生かされている。

 守備の評価はイマイチだが、内野はだいたいどこでも守れるユーティリティ性がある。

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オットー・ロペス (マイアミ・マーリンズ)
27歳 ※WBC開幕時点 本職:内野手 右投右打
1998年10月1日生/出身地:ドミニカ共和国 サントドミンゴ
WBC2023
 ドミニカ共和国生まれでカナダ育ち。前回WBCはカナダ代表だったが、2019年のプレミア12ではドミニカ代表として出場している。

 ショートを含む内野全般を高いレベルで守れるのが強み。カナダ内野陣は一塁手や打撃優位型ユーティリティに偏っており、ロペスが選ばれないとしたらセンスを疑う。

ダミアノ・パルメヒアーニ (ブルージェイズ傘下AAA)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:一塁手、三塁手、左翼手 右投右打
2000年1月24日生/出身地:ベネズエラ カラカス
WBC2023
 ベネズエラ生まれだが幼少期にカナダへ移住した内野手。2021年にブルージェイズからドラフト指名され、有望株ではなかったがマイナー上位まで出世した。

 ただし、3Aでは打撃で低打率に苦しんでいて、今季中のメジャー昇格は厳しいかもしれない。守れるのが打撃優先のポジション(一・三塁と左翼)のみ、というのも出場機会という点で厳しい。

エドワード・ジュリアン (ミネソタ・ツインズ傘下AAA)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:二塁手 右投左打
1999年4月30日生/出身地:カナダ ケベック州ケベックシティ
WBC2023
 メジャー40人枠には入っているが立場が危うくなってきたツインズの内野手。デビューイヤーの2023年に109試合に出場。16本塁打・OPS.839をマークして二塁手のレギュラーを掴みかけたが、その後は打撃不振が続く。

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シャルル・ルブラン (ブレーブス傘下AAA)
29歳 ※WBC開幕時点 本職:内野手 右投右打
1996年6月3日生/出身地:カナダ ケベック州ラバル
 ヒッティングツールが光る内野手。内野全ポジションに加えて、マイナーでは左翼手としても起用されるユーティリティ性を持つ。

 2019年プレミア12に出場経験あり。前回WBCではメジャーロースター枠残留に集中するため代表入りを拒んだが、その甲斐あって2024年に晴れてメジャー昇格を果たした。

タイラー・ブラック (ブリュワーズ傘下AAA)
25歳 ※WBC開幕時点 本職:一塁手 右投左打
2000年7月26日生/出身地:カナダ オンタリオ州トロント
 ブリュワーズの40人枠に入っている待ち球系の一塁手。2024年メジャーデビューもホームランが出ず、2025年はマイナースタートとなったうえ手首を骨折して出遅れた。

 マイナーでは優れた選球眼でフォアボールを量産し、4割超える高出塁率を維持していた。足が速く三塁打も多いだけでなく、シーズン20本を期待できるポテンシャルを持つ。ただし、一塁手にしてはホームランが少ない、という厳しい評価もある。

アダム・ホール (ブリュワーズ傘下AAA)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:外野手 右投右打
1999年5月22日生/出身地:イギリス バミューダ諸島ハミルトン
 2017年にドラフト2巡目でプロ入りしたオリオールズの元有望株。一度は独立リーグへと転落するも、ブリュワーズに拾われて再び3Aまで昇格。オリオールズ傘下時代は二遊間をメインに守っていたが、ブリュワーズに来てから外野にコンバートされ、スピードを活かした広い守備範囲を見せている。

 生まれはイギリス領バミューダ諸島。幼少期にカナダへ渡ったが、奇しくも移住先の都市名は(オンタリオ州の)”ロンドン”であった。

トレイ・クルーズ (タイガース傘下AA)
27歳 ※WBC開幕時点 本職:遊撃手、中堅手 右投両打
1998年7月5日生/出身地:カナダ オンタリオ州トロント
 守備力と走力が魅力のスイッチヒッター。ショートをメインに守りながら、自慢のスピードを生かしてセンターでも出場している。

 打撃ではスラッガータイプではないのにフォアボールを量産しており、粗さが取れれば穴のない選手になれる。ただし年齢がちょっと高めなのが過小評価に繋がっているかもしれない。

マイルズ・ネイラー (アスレチックス傘下A)
20歳 ※WBC開幕時点 本職:一塁手 右投右打
2005年4月15日生/出身地:カナダ オンタリオ州ミシサガ
 まだマイナーリーガーだが、ネイラー兄弟の三男としてプロ入り前から有名だった内野手。長男ジョシュばりのパワーヒッティングを見せているが、打率が上がらずやや苦戦気味。

ブラディミール・ゲレーロJr. (トロント・ブルージェイズ)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:一塁手 右投右打
1999年3月16日生/出身地:カナダ ケベック州モントリオール
オールスターx4 ゴールドグラブx1 シルバースラッガーx2 ホームラン王x1
 父のゲレーロSr.がモントリオール・エクスポズ在籍時に生まれたため、カナダが出生地。ただし本人はドミニカ共和国代表として出場する意思を持っており、前回WBCもドミニカ共和国を選択。仮にカナダ代表入りしても一塁手は飽和状態で、現実的ではない。

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◇外野手
タイラー・オニール (ボルティモア・オリオールズ)
30歳 ※WBC開幕時点 本職:左翼手 右投右打
1995年6月22日生/出身地:カナダ ブリティッシュコロンビア州バーナビー
ゴールドグラブx2 WBC2017 WBC2023
 ボディビルダーの父親を持つ、ある意味サラブレッドな外野手。2023年までカージナルスのレギュラー左翼手を務め、打撃では30本超えを2度記録し、守備でもゴールドグラブ賞を2回受賞している。

 近年は打率2割5分を割るシーズンが続き、三振も異様に多い。センターを守れないこともあり、出場機会を急激に減らしてしまうかも。

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トリスタン・ピーターズ (レイズ傘下AAA)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:外野手 右投左打
2000年2月29日生/出身地:カナダ マニトバ州ウィンクラー
 次のWBCまでにメジャー昇格しているかもしれないレイズの注目外野手。高いヒッティングツールがウリだが、パワー不足が課題とされてきた。しかし2024年にプロ入り後初の2桁本塁打(12本)を記録しており、成長の兆しを見せている。

デンゼル・クラーク (アスレチックス傘下AAA)
25歳 ※WBC開幕時点 本職:外野手 右投右打
2000年5月1日生/出身地:カナダ オンタリオ州トロント
WBC2023
 アスレチックス傘下でプレーしている身体能力の高い外野手。センターの守備力には特に定評がある。2022年のフューチャーズゲーム(マイナーの球宴)に選ばれ、2024年にはBaseball Prospectusの有望株ランキングで99位に載った。

 AAAでは辛抱強い打撃を見せており、メジャー昇格まであと少し。なお、ネイラー兄弟とは親戚関係にある。

オーウェン・ケイシー (カブス傘下AAA)
23歳 ※WBC開幕時点 本職:外野手 右投左打
2002年7月8日生/出身地:カナダ オンタリオ州バーリントン
WBC2023
 赤毛がトレードマークの有望株パワーヒッター。2024年から2年続けて有望株ランキング全体50位前後にランクされている。

 外野は3ポジション守れるが、どちらかというと両翼向き。

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ジョーダン・ヌウォグ (カブス傘下AA)
26歳 ※WBC開幕時点 本職:外野手 右投右打
1999年3月10日生/出身地:カナダ オンタリオ州オタワ
 2020年にドラフト3巡目でプロ入りしたナイジェリア系カナダ人。2023年から2Aでのプレーが続いている。俊足を生かしたプレースタイルだが、打撃も長打力があり、選球眼は乏しいがデッドボールが多いので出塁率はまずまず。

 ”Nwogu” は中部アフリカ独特の「ン」で始まる日本人泣かせの姓。当サイトでは「ヌウォグ」と表記しているが、代表入りすれば「ヌウォク」や「ノボグ」など表記揺れが生じる可能性大。

ダサン・ブラウン (ブルージェイズ傘下AA)
24歳 ※WBC開幕時点 本職:中堅手 右投右打
2001年9月25日生/出身地:カナダ オンタリオ州オークビル
WBC2023
 ブルージェイズ傘下にいるミドルプロスペクト。韋駄天と呼べるスピードを持ち、マイナーで盗塁しまくっている。半面、打撃ではやたらと三振が多く、マイナー上位昇格の課題となっている。

デービッド・カラブリーズ (エンゼルス傘下AA)
23歳 ※WBC開幕時点 本職:外野手 右投左打
2002年9月26日生/出身地:カナダ オンタリオ州リッチモンドヒル
 新型コロナによりドラフトが5巡目までと大幅縮小された2020年、エンゼルスから3巡目指名を受けて入団した有望株。20歳を待たずに2Aへとスピード出世をしていたが、そこで壁にぶち当たっている。それでもまだ(2Aでは)平均より2歳ほど若いため、まだまだ成長を期待できる。

 イタリア系カナダ人であり、Calabrese はイタリア語読みなら「カラブレーゼ」が近い。米国実況が「カラブリーズ」と発音しておりMLB名鑑.comもそれに倣うが、代表入りすれば「空振り」に聞こえることから、日本語メディアではカラブレーゼ表記になるかもしれない。

ジェイコブ・ロブソン (メキシカンリーグ)
31歳 ※WBC開幕時点 本職:左翼手 右投左打
1994年11月20日生/出身地:カナダ オンタリオ州ロンドン
WBC2023
 長年デトロイト・タイガース傘下にいた外野手。2021年にメジャー昇格を果たしたが、わずか4試合・7打席の出場にとどまった。直後にチームを放出され、2022年からは独立リーグ、2025年はメキシカンリーグでプレー。

 2023年のWBC代表だったが、現在のカナダ外野陣には20代前半の俊足好守タイプがゴロゴロおり、次回大会では選外となる可能性が高い。

◇参考1:過去の名選手
 ラリー・ウォーカー
通算rWAR:72.7
殿堂入り MVPx1 オールスターx5 ゴールドグラブx7 シルバースラッガーx3 首位打者x3 ホームラン王x1
 

 ジョーイ・ボットー
通算rWAR:63.6
MVPx1 オールスターx6 ゴールドグラブx1 WBC2009 WBC2013
 

 ジャスティン・モルノー
通算rWAR:27.0
MVPx1 オールスターx4 シルバースラッガーx2 首位打者x1 WBC2006 WBC2009 WBC2013 WBC2017
 

 ジェームズ・パクストン
通算rWAR:13.8
 

 エリック・ガニエ
通算rWAR:11.7
サイ・ヤング賞x1 オールスターx3 最優秀救援x2 WBC2017
 

◇参考2:日本に来た助っ人外国人
マット・ステアーズ (中日1993)
ロブ・デューシー (日ハム1995~96)
ナイジェル・ウィルソン (日ハム97~01近鉄02)
アーロン・ガイエル (ヤク2007~11)
スコット・マシソン (巨人2012~19)