昨年の予選を勝ち抜き本選出場を決めたパナマ代表。マリアーノ・リベラや古くはロッド・カルーのように殿堂入り選手も輩出。野球強国のイメージがあるがWBCには14年ぶりの出場で、過去本選で1度も勝っていない。プールDに次ぐ死の組Aにおいて投手力は決して劣っておらず、ラウンド突破の可能性も。
【投手】 |
12 ハビー・ゲラ(ミルウォーキー・ブリュワーズ) |
遊撃手でメジャーデビューも投手に転向した速球派右腕。好調時のファストボールは100マイルに達する。昨季2度のDFAを経てミルウォーキー・ブリュワーズに移籍。新天地でのブレイクに期待。 |
18 マット・ハーディ(ブリュワーズ傘下AAA) |
パナマ人の元メジャーリーガーの祖父を持つパナマ系アメリカ人。2種類のファストボールとスライダーを投げるが、オフスピード系のボールを習得できなかったのがメジャー定着の足枷になった。 |
23 ハメス・ゴンザレス(アスレチックス傘下A) |
ぽっちゃり体型の若手左腕。体重120kg弱。アスレチックス傘下に所属し、昨季はAとA+で投げ打ち込まれた。 |
25 アルベルト・バルドナド(ナショナルズ傘下AAA) |
ファストボールの最速が99マイルに達するリリーフ左腕。現在はナショナルズAAAにいるが21年にメジャーデビューを果たしている。 |
26 ウィルフレッド・ペレイラ(カージナルス傘下A+) |
ブレーキの良く効いたチェンジアップがマネーピッチの期待の若手右腕。次のWBCの時はメジャーリーガーとして参戦か。 |
41 アルベルト・ゲレーロ(クリアカン/メキシカンリーグ) |
ロー・スリークオーターから155km/h前後の高速シンカーを多投する。課題の制球力は改善が見られず、AAAまで行ったがメジャーには上がれなかった。 |
43 アンディ・オテロ(中信兄弟/台湾) |
昨季途中に台湾球界入りした技巧派サウスポー。140km/hに届かない速球で緩急をうまく使う。中信兄弟の監督の林威助(元阪神タイガース)から下柳を見ているようだと形容された。 |
48 ランドール・デルガド |
かつてメジャーでスウィングマンやセットアップマンとして実績を残した元メジャーリーガー。得意球はチェンジアップ。 |
51 ハイメ・バリア(ロサンゼルス・エンゼルス) |
エンゼルスでロングリリーフを担当している右投げ投手。2018年に10勝を挙げた経験があるが、その後は炎上を繰り返しリリーフに降格。すると元々先発投手だったためイニング跨ぎを難なくこなし、予想外にチームに貢献した。 ただし空振りを奪える球が無いので先発で使うのは恐い、とエンゼルスファンから思われている。 |
52 セベリーノ・ゴンザレス(チリキ/パナマ) |
メジャーでそれなりに登板実績のあるリリーフ右腕。カーブの評価が高い。2種類のファストボールもコンスタントに150km/hを超えるがコマンドに問題を抱え、長打を浴びる率が高い。 |
61 ジャスティン・ローレンス(コロラド・ロッキーズ) |
サイドスローなのに100マイルを投げることで有名な若手リリーフ右腕。2021年にロッキーズでメジャーデビューした。最速101マイルを計時したツーシームとスピードを抑えたスライダーの横の揺さぶりで攻める。フォアボールを出しても気にしない。 |
62 ウンベルト・メヒア(メッツ傘下AAA) |
150km/h前後の高速シンカーとチェンジアップ、スライダー、カーブを織り交ぜる元メジャーリーガー。 |
92 ハロルド・アラウズ(チリキ/パナマ) |
球速は速くないがコントロールと緩急の使い方に定評がある右投げ投手。左バッターが鬼門。 |
ミゲル・シエンフエゴス(パドレス傘下AA) |
昨年の高パフォーマンスが認められて初めてマイナー契約に至ったパナマ系カナダ人。独立リーグのフロンティア・リーグで10勝2敗・防御率1.79の好成績をマークすると、冬に参加したオーストラリアン・リーグに先発で好投。今季からパドレス傘下の2Aでプレーすることになった。ファストボールは96マイルにのぼり制球力も備える。 代表入り決定後に故障離脱、代替選手として39歳のデービス・ロメロが入ることが発表された。 |
【捕手】 |
5 カルロス・サンチェス(コロン/パナマ) |
昨年のWBC予選で正捕手を務めた国内リーグ1捕手。本選の代表は当初控えのエラズモ・カバジェロと発表されたが実績通りサンチェスを登録、カバジェロを内野手へと追いやった。元マイナーリーガー。 |
22 クリスチャン・ベタンコート(タンパベイ・レイズ) |
ずば抜けた強肩で一時期本格的にピッチャーに挑戦したアスリート捕手。外野を守ることもあるため三刀流と言われた。WBCでもビッグプレーを期待したい。 |
48 イバン・ヘレラ(セントルイス・カージナルス) |
ポスト・モリーナ最有力候補の若手捕手。性格的にもキャッチャー向きと言われる。昨季は予想より早いメジャーデビューを飾った。春季キャンプでモリーナから直接指導を受けたことがある。 |
【内野手】 |
3 ジョナサン・アラウズ(メッツ傘下AAA) |
打撃が向上すればメジャー定着間違いなしの守備職人。昨季はシーズン途中にオリオールズに移籍後マイナーに降格。メジャーリーガーでなくなったため秋のWBC予選に出場でき、大きく貢献した。 今季は3Aのルール5ドラフトで指名され、ニューヨーク・メッツ傘下でプレーするになった。 |
10 エドガー・ムニョス(コロン/パナマ) |
WBC予選の大事な場面でホームランを放ち貢献したユーティリティ。バッテリー以外の全ポジションで出場経験がある。近年はメキシカンリーグでプレー。 |
11 ルーベン・テハダ(アメリカ独立リーグ) |
”チェイス・アトリー・ルール”が生まれるきっかけになった悲運のショート。メッツ時代、2012年から俊足、好守を武器にメジャーに定着して迎えた2015年の地区シリーズ第2戦。セカンドのベースカバーに入ったときに一塁走者のアトリーから激しいスライディングを受けて骨折。後にセカンドへの併殺崩しが目的の”純粋なスライディング”ではないプレーは禁止されることとなった。 15年までは常時メジャーで出場していたのが翌年から居場所を失い、出場機会を求めて球団を転々とした。昨季は通常のシーズンの試合には出ず、ドミニカのウィンターリーグにだけ参加した。WBC後に引退の可能性もある。 |
24 ジェラルド・チン(メトロポリタノ/パナマ) |
3年間アトランタ・ブレーブス参加のマイナー下位にいたことがある二塁手。 |
39 ジョシュワン・ライト(アスレチックス傘下A+) |
昨季アスレチックス傘下のA+でプレーした22歳のユーティリティプレイヤー。国際大会のパナマ代表チームによく呼ばれている。セカンドとサードがメインの内野手だが昨季から両翼でも出場するようになった。コンタクト能力に長けるがパワーレスで恐さに欠ける。 |
77 ホゼ・カバジェロ(マリナーズ傘下AA) |
マリナーズのAAに所属する俊足遊撃手。打撃では選球眼を向上させている。 |
98 エラスモ・カバジェロ(チリキ/パナマ) |
強打が魅力の若手キャッチャー。指名打者や一塁手での出場も多く先々コンバートされる可能性も。 メジャーリーガーのベタンコートとヘレラが本戦から加わり、予選で控え捕手だったカバジェロはキャッチャー3枠から漏れたが、ホームランバッター不在のパナマ代表にとっては外すことができず、内野手登録で選出された。 |
【外野手】 |
13 アレン・コルドバ(ラグナ/メキシカンリーグ) |
ルーキーリーグでしかプレーしたことが無いのに翌年メジャーで100試合に出場した俊足外野手。 パナマから国際FAでカージナルスと契約し、ドミニカンサマーリーグで2年、ルーキーリーグで2年過ごした。翌2017年はA+に上がろうとした矢先、パドレスがまさかのメジャーフェーズでのルール5ドラフトで指名。指名後はメジャー25人枠に入れなければ選手を返さないといけないため、どう見てもメジャーレベルに達していなかったコルドバだったが無理やり起用され、100試合に出場して1シーズンを乗り切った。 その後は再びメジャーに上がることなくメキシカンリーグに活動の場を移し、昨季は打率4割超と大爆発した。WBCでも同様の打撃を見たい。 |
42 ロドリゴ・オロスコJr.(アメリカ独立リーグ) |
父親もパナマ代表選手だった俊足外野手。2019年に3Aで好成績を残すも翌シーズン以降はマイナーを離れた。パワーはそれほどではないがコンタクト能力に長けている。 |
81 ヤディエル・サンタマリア(チリキ/パナマ) |
身長190cm超のベテラン外野手。2000年代後半にマイナー下位にいたことがある。 |
89 ルイス・カスティーヨ(コロン/パナマ) |
無名のルイス・カスティーヨ。2007~13年までタイガース傘下のマイナー下位でプレーしていた。 ”ルイス・カスティーヨ”は複数いて、2000~10年代にゴールド・グラブを3度受賞したルイス・カスティーヨやマリナーズのエースのルイス・カスティーヨが有名。また、昨季デトロイト・タイガースから第3のルイス・カスティーヨがメジャーデビューしており、混乱は必至。 |
94 ジョニー・サントス(チリキ/パナマ) |
走塁と外野守備に定評がある元マイナーリーガー。2021年までマーリンズとアスレチックス傘下に所属した。 |
99 ホゼ・ラモス(ドジャース傘下A+) |
外野3ポジションを守るドジャースの有望株。粗さが目立つものの昨季マイナー3階級合わせて25本塁打を放った。 |
【監督・主なコーチ】 |
監督 ルイス・オルティス |
ドミニカ出身で現在レッドソックスの打撃コーチ補佐を務めている。元メジャーリーガー。 1997年にヤクルトスワローズにちょっとだけ在籍していた。登録名はルイスで、主砲として期待されたが三振の山を築きシーズン途中でクビに。一緒に来日し全く期待されていなかったデュエイン・ホージーがホームラン王になってしまったのとは対照的だった。 2004年に引退したためWBCの出場歴は無い。メジャー球団で打撃コーチ”補佐”を任されたシーズンが多い。 |
エンリケ・ブルゴス |
まだ元気にメキシカンリーグで投げている元メジャーリーガー。パナマ人で唯一の親子メジャーリーガー。右のオーバーハンドから150km/h前後の速球と高速スライダーで攻めるピッチング。 |
ビセンテ・ガリバルド |
昔ショートを守っていたパナマでは有名な53歳の元選手。1988~90年にロイヤルズ傘下のマイナー下部でプレーした。WBCの第1回大会に出場している。 |
【参加できなかった有力選手】 |
ヨハン・カマルゴ(ロイヤルズ傘下AAA) |
レギュラーにはなれなかったがアトランタ・ブレーブスで根強い人気を誇った巧打の内野手。メジャー2年目に19本塁打を放って以降は年縁成績が下降。今季はマイナー契約でシーズンを迎える。 |
エドムンド・ソーサ(フィラデルフィア・フィリーズ) |
セントルイス・カージナルスで重宝され、昨季フィリーズにトレードされた便利屋。内野ならどこでも守れる充分な守備力を持つ。フリースインガーだが四球より多く死球を受けて出塁率を確保している。 |
アリエル・ジュラード(キウム/韓国) |
メジャー定着は叶わず、今季からはキウム・ヒーローズ(韓国)と契約した先発投手。テキサス・レンジャース時代は先発の柱になることを期待されていた。よく動くツーシームがピッチングの基本線。 |
by【MLB名鑑.com専属コラムニスト】デッドボーラー
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