次に来るであろうMLB用語を紹介したい


 2021年の大谷選手の快進撃から始まり、昨春のWBC制覇によって日本にもメジャーリーグの波が完全に押し寄せている。ニュースでメジャーの話題が占めるに連れ、これまで日本では馴染みがなかったMLB用語が入ってきた。

最近では「ノンテンダー」「マダックス」「ライブBP」「スイーパー」あたりが市民権を得たように思う。

そこで、MLB名鑑.comでは近いうちに日本のスポーツメディアが使い出すであろうMLB用語を挙げていきたい。

【Tier1:2024年内に定着するMLB用語】
【Tier2:徐々に浸透しそうなMLB用語】
【Tier3:条件次第で流行るかもしれないMLB用語】


【Tier1:2024年内に定着する】
今年スポーツニュースで耳にすること間違いなしの用語がこちら↓。

☆イマキュレイト・イニング
 1イニングを3者連続3球三振に斬って取ること。
 昨年どこかのテレビ局が使っているのを聞いたことがある。投手の球速が昔よりアップしたことや、ツーナッシングから1球外す行為をムダと考える人が増えたことで、かつてより9球で終わらせやすい環境になった。そろそろ本格的に使われ始めるのではないかと見ている。

☆スプラッシュヒット
参考記事:歴代スプラッシュ・ヒット本数ランキング

 大谷がナ・リーグ西地区に来たことでサンフランシスコ・ジャイアンツとの対戦が増加する。いま最もマッコビー湾に打ち込むことができるバッターは間違いなく大谷であり、実際に打ち込んだ日には大騒ぎする絵が浮かぶ。それと同時に昔バリー・ボンズが特大弾を放った映像もたびたび流れることだろう。

☆プロスペクト
 若手有望株のこと。MLBではドラフトや国際FAからの新人が即メジャーの試合に出ることはほとんど無いのに対して、NPBでは2軍を経ずにレギュラーに就くことも珍しくない。それでも最近ではポテンシャルの高い選手が育成契約から侍ジャパンレベルに成長するケースが増えてきた。またSNSでも1軍デビュー前の若手有望株に特化したアカウントが視聴数を増やしており、SNSやネット発信で”プロスペクト”の単語が広まると予想する。


【Tier2:徐々に浸透しそう】
●バックアップ
 MLBでは2010年代中頃あたりから、将来的に規定打席をクリアするキャッチャーは絶滅すると唱えられていた。昨シーズンは規定打席(503打席)に到達した選手は9人いたが、純粋にキャッチャーとして(DHやファーストでの出場を除いて)打席に立ったのは最多のJ.T.リアルミュートでも485打席に留まった。予言通り、1人でプレートを守ることが困難な時代になった。
 レギュラー野手の次に控える選手のことをMLBでは”バックアップ”という。NPBでも近いうちにキャッチャー受難の波は訪れ、その時には第2捕手のことをバックアップ捕手と呼ぶようになっているだろう。

●ユーティリティ、プラトーン起用
 ユーティリティは複数ポジションを守れる野手。プラトーン起用は野手の起用法のひとつで、打力の近い2人の野手を相手投手や試合展開に応じて使い分けるのが主流。
 MLBではユーティリティの存在が不可欠であり、NPBでも複数ポジションをこなす選手が相手の利き腕によって出場機会が増える流れが来ると予想している。

●WAR/OPS+/UZR、DRSなどセイバー系指標
 WARが完璧だとは思わないが、イメージで個々の選手を評価するのはそろそろ止めにしよう。
 OPSは広く知られるようになったので次はOPS+を、守備指標ではUZRやDRSをスタンダードにし、ゴールデングラブ賞をはじめ各種アワードが公平に選ばれることを願う。

●スイープ
 スイープとは同一カードの試合を全勝すること。3連戦が多いNPBでは3タテと呼ばれているが、そのうちスイープに置き換えられていくのではないか?と考えている。

●ストリーク
 連勝や連敗のこと。野球からほかのスポーツにも波及すると予想。

●コマンド
 コントロールが四球を出さない能力なのに対して、ストライクゾーン内の狙ったところに投げる能力をコマンドと呼んで区別している。
 だいぶ前からメジャー好きの人には馴染みのある用語ではある。

●ピッチトンネル
 バッターが判別不可能なポイントまで速球と変化球を同じ軌道で投げ分けることを「ピッチトンネルを通す」という。

【Tier3:条件次第で流行るかも】
△コンテンダー、タンキング
コンテンダー:優勝争いに参戦できる状況のチーム。
タンキング:優勝争いから脱落したチームが数年後に照準を合わせて計画的にチームを解体する行為。主力の大量放出と若手有望株の収集がセットで行われる。

 MLBでは中途半端な戦力を保有ぐらいであれば一度チームを解体することが多く、そのためなら大負けも厭わない風潮がある。昨季エンゼルスが大谷翔平を無駄遣いしたと批判を受けるのは世界一の価値を認めてこそである。

 NPBで例えると、中日ドラゴンズが今年も最下位に甘んじるようなら、FA権取得済みの高橋周平や祖父江を1軍デビュー前のリリーフ投手と交換(カープの河野佳が欲しいな)。大野雄大はSBホークスと1対4の大型トレードを敢行する(SBなら育成に原石がゴロゴロいるだろう)。アンタッチャブルなのは高橋宏斗のみで、ほかの選手の引き合いはいつでも受けて良かろう。

 そのぐらい思い切ったことをする球団が出てきたら、MLBに倣ってコンテンダーとタンキングの用語が使われるようになるだろう。
※ちなみに筆者デッドボーラーの贔屓はドラゴンズであり、最も好きな選手は祖父江投手である…

△ユニバーサルDH
 2022年からナ・リーグでもDH制が導入され、少なくとも2026年まではユニバーサルDHとなると決まっている。日本ではピッチャーが投打で活躍するところにも楽しみを見出しており、今のところ両リーグ指名打者制にはならなさそう。

△オープナー
 オープナーとは普段リリーフの投手が先発して最初の1~2回程度投げる役割のこと。2018年にタンパベイ・レイズが先発ローテを揃えられなかったが、苦肉の策でとったオープナー戦術がハマり90勝72敗でシーズンを乗り切った。
 150km/hを投げるリリーバーを全球団揃えるようになってきた今こそ、オープナー戦術を取り入れる格好の機会だ。

△ABS
 Automated Ball Strike System の略。日本ではロボット審判と訳されているが、実際はストライクボールの判定を補助するだけで、ABSの判定どおりにコールしなくてもよい。
 球速や打球速度のアップによって審判にかかる負担が増えているのは事実なのだから、堂々と機械の助けを借りて構わない。

△オプトアウト、バイアウト
 複数年契約に組み込むオプションの代表格で、途中で現契約を破棄できる権利がある。前者が選手側の権利で、後者は球団側。
 過去にノンテンダーFAで選手を手放した日本ハムファイターズが、そろそろ取り入れるのではないかとみている。


なお、MLB名鑑.comでは用語集を掲載している。こちらもぜひご覧いただきたい。

<MLB名鑑.com専属コラムニスト>デッドボーラー