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グレン・オットー


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Glenn Otto (フルネーム/Glenn David Otto)

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1996-03-11生|191cm109kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 テキサス州スプリング

ドラフト/2017年NYY5巡目(全体152位)指名

メジャーデビュー/2021-8-27
■選手紹介

ヤンキースに入団後、ジョーイ・ギャロの見返りでレンジャース入りした先発ローテーション候補。ライス大学在学中はリリーバーだったが、プロ入り後はスターターとして起用されている。

オットーはテキサス州の地元コンコルディア・ルーテラン高校に通った。1学年下にキブライアン・ヘイズ、3学年下にシェーン・バズが在籍していた。高校ではドラフトにかからず、ライス大に進学した。ソフモア(2年生)の2016年に日米大学野球の代表として来日した。1試合だけリリーフ登板して京田陽太にタイムリーを浴びている。

2017年にヤンキース入団し、肩の故障の影響でしばらくルーキーリーグで足踏みしていたが、2021年にAAAに昇格。同年7月にギャロとジョエリー・ロドリゲスとの2対5のトレードでレンジャースに移籍すると、手薄な先発陣のおかげでメジャーで投げる機会を掴んだ。デビュー戦は5回無失点・被安打2・奪三振7・与四球0の好スタートを切ったが、その後はスライダーを見極められて防御率9.26に終わった。

投球スタイルは、92~94マイルのフォーシームとスライダーが中心。クロスステップ気味に投げるスライダーはデビューイヤーはほぼ2種類のみで勝負していたが、2022年からはシンカーとカーブ、チェンジアップも織り交ぜるようになった。コントロールとコマンドのレベルアップと、スライダー以外の球種の質を上げないとメジャーでは厳しいかもしれない。2022年までにヒジの故障歴はないが、シングルA時代に右肩の血栓を取り除く手術を受け、長期離脱した経験がある。

寄稿日:2022-05-18 最終更新日:2022-05-18
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼メジャー初登板を5回無失点に抑えるグレン・オットー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2021 TEX  6 0 3 0  9.26 23.1 32 24  2  8 2 28 1.71 3.50


テイラー・ハーン


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Taylor Hearn (フルネーム/Taylor Lynn Hearn)

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1994-08-30生|198cm104kg|先発、リリーフ 左投左打

出身地/アメリカ合衆国 テキサス州ロイスシティ

ドラフト/2015年WSH5巡目(全体164位)指名

メジャーデビュー/2019-4-25
■選手紹介

4年連続でドラフト指名されるという変わった経歴を持つサウスポー。球種と制球力の点でリリーフ向きと評されることがあるが、希望の先発投手として生き残れるだろうか?2021年後半からテキサス・レンジャースの先発陣の一角としてまずまずのピッチングをしている。昼間の試合に強い。

テキサス州のど田舎で育ち、4歳から野球を始めた。地元の高校在籍時の2012年にドラフト22巡目指名されたが大学で野球をやるため進学。2013・14年にもドラフト指名されていずれも拒否。2年課程終了後、編入先のオクラホマ・バプテスト大学で1年を過ごし、2015年にワシントン・ナショナルズにドラフト5巡目指名で入団した。

入団から1年たたないうちにトレードの駒となり、ピッツバーグ・パイレーツに移籍。2018年には地元であるレンジャースへトレードされた。レンジャースではAA・AAAで多くの登板機会に恵まれ、翌年6月にメジャー初登板が決まった。わずか1アウトしか奪えない間に5失点(自責点4)を喫するホロ苦いデビューとなったが、次の日に左ヒジを検査すると疲労骨折していたことがわかった。2021年にメジャーで42試合・104イニングに登板。7月半ばから先発として起用され、先発投手としては4勝4敗・防御率は5点台だったが課題の与四球率は2.65と安定したピッチングを見せた。

ピッチングは92~95マイルのノビのあるフォーシームが最大の武器。調子が良いときは99マイルを計時することもある。変化球はスライダーとチェンジアップがあり、2021年からはツーシームも投げ始めた。フォーシーム以外の球種はまだまだで、苦しい場面でフォーシームに頼りがちになるのが課題。特にツーシームは、これまで歩の悪かった右打者を抑えるカギになりそうだ。

地元のロイスシティでは英雄扱いされている。2017年2月23日に式典が行われ、母校ロイスシティ高校での背番号21が永久欠番となると同時に、"テイラー・ハーンの日"が制定された。また、2022年は本拠地での開幕戦に先発登板することになり、ロイスシティの住民たちは大いに喜んだ。

寄稿日:2022-05-16 最終更新日:2022-05-16
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼エンゼルス相手にキャリア最長7イニングスを投げるテイラー・ハーン

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2019 TEX  1 0 1 0 108.00  0.1  3  4  0  4 0  0 21.00 0.00

2020 TEX 14 0 0 0  3.63 17.1 13  7  2 11 1 23 1.38 2.09

2021 TEX 42 6 6 0  4.66 104.1 96 54 17 42 3 92 1.32 2.19


トニー・ケンプ


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Tony Kemp (フルネーム/Anthony Allen Kemp)

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1991-10-31生|168cm73kg|二塁手、外野手 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 テネシー州フランクリン

ドラフト/2013年HOU5巡目(全体137位)指名

メジャーデビュー/2016-5-17
■選手紹介

身体は小さいがボールの見極めに長けている二塁手兼外野手。アストロズ在籍時にサイン盗みを拒否した選手の一人と言われている。アスレチックスではセカンドのレギュラーを務めるが、外野もそつなくこなすユーティリティ性も魅力。あまりメジャーにいないタイプの選手に成長した。

2016年にメジャー初出場。アストロズのレギュラーに故障者が続出した2018年はメジャーに定着しかけたが、翌年は不振に陥りDFA。マーティン・マルドナドとのトレードでシカゴ・カブスに移籍した。

その後、セカンドのレギュラー不在のアスレチックスにトレードで移籍。持ち前のヒッティングスキルと選球眼で1番・セカンドの座を手にした。2020・21年と続けて三振数以上の四球を選んだが、ケンプのほかにはホアン・ソトしかいない希少性の高い記録だった。

なお、ケンプのアマチュア時代は高校では野球とフットボールで活躍。黄金期のバンダービルト大学に進学し、フレッシュマン(1年生)からスタメン出場した2011年は同大初のカレッジワールドシリーズ出場に貢献した。絶対的エースとして君臨したタイラー・ビーティ、遅咲きのマイク・ヤストレムスキー、後輩のウォーカー・ビューラーとダンズビー・スワンソンら豪華な面々と一緒にプレーしている。

寄稿日:2022-05-15 最終更新日:2022-05-15
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼取った本人もビックリのダイビングキャッチを披露したトニー・ケンプ

▼古巣アストロズ相手に超好プレーを見せつけるトニー・ケンプ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2016 HOU 59 120  26  4 3  1  7 14 0 27  2 .217 .296 .325

2017 HOU 17  37  8  1 0  0  4  1 1  5  1 .216 .256 .243

2018 HOU 97 255  67 15 0  6 30 32 3 44  9 .263 .351 .392

2019 HOU 66 163  37  6 2  7 17 16 4 29  4 .227 .308 .417

2019 CHC 44  82  15  3 2  1 12  7 2 18  0 .183 .258 .305

2020 OAK 49  93  23  5 0  0  4 15 3 14  3 .247 .363 .301

2021 OAK 131 330  92 16 3  8 37 52 6 51  8 .279 .382 .418


アダム・オラー


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Adam Oller (フルネーム/Adam Oller)

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1994-10-17生|193cm102kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 テキサス州コンロー

ドラフト/2016年PIT20巡目(全体615位)指名

メジャーデビュー/メジャー経験なし
■選手紹介

クリス・バシットの1対2の交換トレードでアスレチックス入りした右の先発候補。メジャー到達までの道のりは険しく、独立リーグやオーストラリアでプレーしていたこともある、いわゆる苦労人。2022年5月に大谷翔平にメジャー通算100本目の一発を献上した。以前はゴーグルのようなメガネを着けて投げていた。

2016年にドラフト20巡目で選ばれたオラーは、パイレーツのマイナーで3シーズン過ごしたが、A+より上のクラスに上がれず解雇される。2019年にジャイアンツと契約する前に、オラーはフロンティア・リーグ(独立リーグの1つ)に活躍の場を求めた。2020年シーズンオフに、メッツにマイナーフェーズのルール5ドラフトで指名され、AAとAAAでスターターとして活躍。合計して120回・防御率3.45・138奪三振を記録し、メッツのマイナーリーグ年間最優秀投手に選ばれた。翌年もルール5ドラフトの対象となり、メッツは40人枠にオラーを登録したが、シーズン途中にバシットの交換トレードでオラーを放出した。

右のスリークォーターから投げる92〜94マイルのツーシームがメインで、87~89マイルのカッターと85マイルのスライダー、80マイル台後半のチェンジアップが持ち球。チェンジアップはメッツ時代に鍛えられて試合でも使えるようになった。ストライクゾーンで勝負するタイプで、逆に慎重に行くべき場面でもゾーン内で勝負してしまう傾向がある。

27歳にしてに初めてメジャーリーグに到達したが、オラーの年齢から考えてある程度結果を残さなければ定着は難しいかもしれない。2022年5月15日現在、デビュー後4試合で0勝3敗・防御率12.27のメッタ打ちにあっているが、AAAでは抑えており、何かきっかけを掴むことができるだろうか。

寄稿日:2022-05-15 最終更新日:2022-05-15
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼大谷翔平に日本人最速のメジャー通算100号アーチを浴びるオラー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

(~2021年メジャー経験なし)


シェルドン・ノイジー


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Sheldon Neuse (フルネーム/Sheldon Lynn Neuse)

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1994-12-10生|183cm105kg|二塁手、三塁手 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 テキサス州フォートワース

ドラフト/2016年WSH2巡目(全体58位)指名

メジャーデビュー/2019-8-30
■選手紹介

出戻りとなったアスレチックスで主軸を打つパワー系中距離ヒッター。最初のアスレチックス在籍時はサードにマット・チャップマンがおり他のポジションを模索していたが、出戻り後はチャップマンの放出で空席のサードに収まった。右打ちだが左投手が苦手。初めての満塁ホームランは大量点差の試合で外野手のブレット・フィリップスから放った。

オクラホマ大学時代、何度もBig12カンファレンスの1stチームに選ばれる活躍。主にショートを守った。機会は少なかったがたまにリリーフ登板し、大学3年間で29試合・36回1/3・防御率1.60と出れば抑えていた。2016年にナショナルズから2巡目指名を受けて入団した。

2021年に2対2のトレードでドジャースへ移籍。このトレードのメインは中継ぎ左腕のアダム・コラレックだったが、ほかにオクラホマ大の元チームメイトのコディ・トーマスも交換相手に含まれていた。ドジャースではOPS.505・66打席でわずか1四球・26三振を喫した。守備面でもミスが多くロサンゼルスのファンからブーイングを浴びた。オフにDFAとなると古巣アスレチックスに拾われた。

マイナー時代から左投手をまったく打てていない。メジャーでもその傾向は顕著で、今の能力ではプラトーン起用でないと厳しいかもしれない。守備の評価はもともと高い。わりと広めの守備範囲とわりと強めの肩を備えている。

ちなみに、弟のディラン・ノイジーは同じBig12カンファレンスのテキサス工科大で外野を守っていて、2022年からミネソタ・ツインズのマイナーに所属している。似たようなタイプの右投げ右打ちで、同じく左腕に弱い。

寄稿日:2022-05-15 最終更新日:2022-05-15
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼シェルドン・ノイジーのキャリア初ホームラン

▼外野手のフィリップスから容赦なく満塁ホームランを放つノイジー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2019 OAK 25  56  14  3 0  0  7  4 0 19  0 .250 .295 .304

2021 LAD 33  65  11  1 0  3  4  1 0 26  1 .169 .182 .323


シェーン・マクラナハン


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Shane McClanahan (フルネーム/Shane McClanahan)

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1997-04-28生|185cm91kg|先発 左投左打

出身地/アメリカ合衆国 メリーランド州ボルチモア

ドラフト/2018年TB1巡目追補(全体31位)指名

メジャーデビュー/2021-4-29
■選手紹介

スターターながら100マイル超を投げられる左の若手先発投手。サウスポーの先発投手の中では最も球が速く(2022年現在)、曲がりの大きいスライダーとのコンビネーションで三振を量産する。レギュラシーズンの初登板は2021年4月だが、前年の2020年のプレーオフで先にメジャーデビューしている。また、2021年のレッドソックスとの地区シリーズでは、大量5点を取られて降板後のベンチで悔しさのあまり大暴れした姿が全米に流された。

マクラナハンはボルティモアに5歳まで住んだ後、フロリダに移り住んでケープコーラル高校でプレーした。高校通算で防御率1.02・123回で187三振を奪い有望選手として知られるようになった。メッツからドラフト26巡目で指名されたがサウスフロリダ大学(USF)への進学を選んだ。USFの入学直後はトミー・ジョン手術を受けて出場できなかったが、ソフモア(2年生)からは快速左腕として主戦を務めた。

ドラフト全体31位でレイズ入りすると、2020年のポストシーズンでメジャーデビュー。前年までは近代野球でポストシーズンが初出場だった選手は2人しかいなかったが、2020年はマクラナハン以外にもアレックス・キリロフ、ライアン・ウェザーズもデビューしている。プレーオフ出場枠の拡大とコロナによる短縮シーズンの影響で起きた出来事だった。2021年は4月にレギュラーシーズンデビューを果たすと、オールスターブレイク後に7勝3敗・防御率2.84と活躍。ジョシュ・フレミングと並んでチーム最多のシーズン10勝を挙げた。

ピッチングの内容は、とにかく速いファストボールが魅力。マクラナハンの2021年のファストボールは平均球速96.4マイル。同年500球以上投げた投手のうち11番目の速さだが、左腕に限定するとメジャー最速を誇り、2位のカルロス・ロドンの95.4マイルより1マイルも差があった。また、16球のファストボールが100マイル超だったが、2021年ではジェイコブ・デグローム(185球!)、サンディ・アルカンタラ(58球)、ゲリット・コール(31球)に続く4番目の多さ。2015年以降記録を取り始めてから左腕では2番目に多い球数だった。(最多は2016年のジェームズ・パクストンが投げた42球)。また、ファストボールに注目が集まりすぎているがカーブに近いスライダーも強力な奪三振ツールになっている。

一方で大学からシングルA時代の頃までは9イニングあたり6個フォアボールを出していて、コントロールが身につかなければリリーフに転向と言われてきた。コマンドは今ひとつだが、メジャー昇格以降の与四球率が大幅に良くなっている。リリーフに収まるにはもったいない素材なのでこのままスターターとして育ててほしい。あとは精度の低いチェンジアップが使えるようになれば、個人タイトルを狙えるレベルになれるだろう。

ちなみに、フロリダで育ったがボルティモアに5歳まで住んでおり、オリオールズの試合に家族でよく観戦した。カル・リプケンJr.が一番のお気に入りである。そのため背番号62は足し算してリプケンJr.の背番号8になるように選んだ、かどうかは定かではない。

寄稿日:2022-05-11 最終更新日:2022-05-11
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼ALDS第4戦で打ち込まれ、ベンチで大暴れするマクラナハン(2:17頃登板、3:40頃降板)

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2021 TB  25 10 6 0  3.43 123.1 120 47 14 37 2 141 1.27 3.81


コーリー・クルーバー


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Corey Kluber (フルネーム/Corey Scott Kluber)

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1986-04-10生|193cm98kg|先発 右投右打

出身地/アメリカ合衆国 アラバマ州バーミンガム

ドラフト/2007年SD4巡目(全体134位)指名

メジャーデビュー/2011-9-1
■選手紹介

輝かしい実績を誇る元サイ・ヤング賞投手。2014・17年の2度のサイ・ヤング賞に加え、最多勝、最優秀防御率に輝いた経験がある。メジャーに定着した2013年には"最もエグい変化球を投げる投手"と言われた。インディアンス時代のような150km/h超えのシンカーは投げられなくなったが、それでも多彩な球種と抜群の制球力でスターターとして価値を保ち続けている。アラバマ州で生まれてテキサス州の高校に通ったが、妻の実家のあるマサチューセッツ州に住んでいる。

球種が多く、カットボール・スライダーに近いカーブ・シンカーをそれぞれ3割ぐらい、残りの1割をチェンジアップの配分で投げている。インディアンス時代に比べてフォーシームをあまり投げなくなった。全盛期はシンカーの平均球速が93~94マイル出ていたが、2度目のサイ・ヤング賞を受賞した2017年以降低下し続け、2022年現在は平均90マイル(145km/h)を下回っている。

プロ入り前のクルーバーは高校時代、テキサス州ダラス近郊のコッペル高校でプレーしていたが、右ヒジを骨折したためドラフトに掛からなかった。高校時代にコーチから誘われていたステッソン大学ではジュニア(3年生)で圧巻の成績を残し、サンディエゴ・パドレスからドラフト4巡目指名を受けて入団した。

2010年にセントルイス・カージナルスを巻き込んだ三角トレードでインディアンスに移籍する。ちなみにこのトレードはパドレスの1人負けのような結果となっている。当時のクルーバーはまだAAで目立った成績を残しておらず、有望株ランクでチーム20位にすら入っていなかった。インディアンス傘下のAAAコロンバスでルーベン・ニーブラ投手コーチの指導でツーシームを取得するとここから急成長を遂げる。(奇しくもニーブラは2021年からパドレスの投手コーチに就任する。)

2013年に先発ローテーションに定着し11勝5敗。当時、最もエグい変化球を投げる投手と呼ばれるようになると、翌2014年に大ブレイク。18勝9敗(最多勝)・防御率2.44・269奪三振の好成績で初のサイ・ヤング賞を受賞。2015年は9勝16敗だったが内容は悪くなく、4度完投勝利を挙げていてFIPも2点台の内容でサイ・ヤング賞投票で票が入っている。ようやくオールスターに初選出された2016年はサイ・ヤング賞投票で3位、2017年に18勝4敗・防御率2.25で2度目のサイ・ヤング賞を受賞、最多勝と最優秀防御率の2冠に輝いた。2018年にはシーズン20勝(9敗)でサイ・ヤング賞投票3位とエースとして好結果を残し続けた。

2019年はこの頃から球速低下が目立つようになった。シーズン序盤からピリッとしない投球が続き、7試合目の登板で打球を右ヒジに受けてしまい骨折。その後マイナーでの復帰登板中に腹筋などを痛め、メジャーでは登板できず。チームがクルーバーの1,700万ドルのクラブオプションを行使した後、エマニュエル・クラッセとの交換トレードでテキサス・レンジャースへ移籍が決まった。骨折した試合がインディアンスでの最後の登板となった。レンジャースでは大円筋の断裂により1イニングしか登板できなかった。

再起をかけて2021年にニューヨーク・ヤンキースと1年契約。自身初のノーヒッターを達成したが、シーズンの半分を故障離脱する評価の難しいシーズンとなった。故障リスクの高い投手のイメージが付いてしまっており、レイズ入りした2022年は年俸800万ドル+先発30試合登板で500万ドルもの出来高の契約を結んでいる。2018年までのインディアンスでのパフォーマンスは望めないだろうが、久々にフルシーズン先発ローテで投げるクルーバーを見てみたいものだ。

寄稿日:2022-05-11 最終更新日:2022-05-11
オールスター:3回(16,17,18)

主な表彰:サイ・ヤング賞2回(14,17)

タイトル:最多勝2回(14,17), 最優秀防御率1回(17)

▼1試合18奪三振と圧巻のピッチングのクルーバー

▼ノーヒッターを達成したクルーバー

▼試合中にインタビューを受ける冷静なクルーバー

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 勝 敗 セ 防御率 イニング 安 責 本 四 死 三振 WHIP K/BB

2011 CLE  3 0 0 0  8.31  4.1  6  4  0  3 2  5 2.08 1.67

2012 CLE 12 2 5 0  5.14 63.0 76 36  9 18 4 54 1.49 3.00

2013 CLE 26 11 5 0  3.85 147.1 153 63 15 33 5 136 1.26 4.12

2014 CLE 34 18 9 0  2.44 235.2 207 64 14 51 6 269 1.09 5.27

2015 CLE 32 9 16 0  3.49 222.0 189 86 22 45 11 245 1.05 5.44

2016 CLE 32 18 9 0  3.14 215.0 170 75 22 57 7 227 1.06 3.98

2017 CLE 29 18 4 0  2.25 203.2 141 51 21 36 5 265 0.87 7.36

2018 CLE 33 20 7 0  2.89 215.0 179 69 25 34 3 222 0.99 6.53

2019 CLE  7 2 3 0  5.80 35.2 44 23  4 15 3 38 1.65 2.53

2020 TEX  1 0 0 0  0.00  1.0  0  0  0  1 0  1 1.00 1.00

2021 NYY 16 5 3 0  3.83 80.0 74 34  8 33 5 82 1.34 2.48


ブランドン・ラウ


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Brandon Lowe (フルネーム/Brandon Norman Lowe)

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1994-07-06生|178cm84kg|二塁手、左翼手 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 バージニア州サフォーク

ドラフト/2015年TB3巡目(全体87位)指名

メジャーデビュー/2018-8-5
■選手紹介

Loweと書いてラウと読ませるレイズの正二塁手。メジャー2年目以降、毎シーズン.500以上の長打率を残している(2022年現在)。2021年に放った39本塁打はカルロス・ペーニャ以来レイズ歴代2位に多いホームラン数だった。

ラウはバージニア州の地元の高校に通い、州を代表するプレーヤーとして名を馳せた。高校卒業後はメリーランド大学に進学。デビューするはずだった最初の公式戦の2日前、左膝の前十字靭帯を断裂するケガに見舞われ、フレッシュマン(1年生)では1試合も出場できなかった。2~3年次はカンファレンスで申し分のない成績を残したが、ドラフトのまたしても2日前に腓骨骨折の重傷を負い、3巡目と評価を落としてレイズに指名された。

レイズ入団後、すっかり傷が癒えたラウは打撃で猛アピール。2017年に長打率.524・OPS.927の好成績でA+シャーロットの球団記録を更新、フロリダ・ステートリーグのMVPを獲得する活躍で早々にAAに昇格。翌2018年8月にはメジャー昇格の声がかかった。これまでキャリアではあまり守ってこなかった両翼を2018年からサブポジションにするようになった。

メジャー2年目の2019年、開幕前にチームから長期契約の打診があり、2年のオプションを含む6年2400万ドルで契約延長した。現状の活躍を考えれば超格安契約となっている。レギュラーシーズンでは前半戦の活躍によりオールスターに選出されたが、その後は足の怪我により長期離脱。スラッシュライン.270/.336/.514の好成績ではあったが82試合の出場にとどまった影響で、新人王投票は3位に終わった。

短縮シーズンとなった2020年はさらにラウの価値を高めた。8月第2週に4本塁打を放ち、初めての週間MVPに選出。14本塁打・37打点・出塁率.362・長打率.554の成績で、全米野球記者協会のタンパベイのメンバーからチームMVPに選ばれた。プレーオフでは、ラウはワールドシリーズの第1戦まで56打数6安打と極度の不振。しかしレイズはラウを上位打線に置き続けると、第2戦で2ホーマーを放ち、以降はスランプを脱した。2021年は5月17~23週の週間MVPに選ばれ、シーズン全体でも39本塁打、MVP投票10位の好成績をマークした。

打撃で進化を続けるラウだが、強いて言えばチームワーストのDRS-10(2021年)だった守備を改善したい。

妻のマディソンは学生時代、メリーランド州を代表するソフトボール選手だったが、新型コロナの自粛期間中にSNSに上げたスイーツの写真がバズり、スウィート&ラウ・ベーカリーを開店した。ブランドンはそこの"非公式の味見係"ということになっている。

寄稿日:2022-05-11 最終更新日:2022-05-11
オールスター:1回(19)

主な表彰:ALL-MLB 2nd1回(20)

タイトル:なし

▼3本塁打7打点の大爆発でヤンキースを粉砕するブランドン・ラウ

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

2018 TB  43 129  30  6 2  6 25 16 2 38  2 .233 .324 .450

2019 TB  82 296  80 17 2 17 51 25 5 113  5 .270 .336 .514

2020 TB  56 193  52  9 2 14 37 25 4 58  3 .269 .362 .554

2021 TB 149 535 132 31 0 39 99 68 9 167  7 .247 .340 .523


レネ・ピント


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Rene Pinto (フルネーム/Rene Rafael Pinto)

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1996-11-02生|178cm88kg|捕手 右投右打

出身地/ベネズエラ アラグア州マラカイ

プロ入り/2013年10月TB契約

メジャーデビュー/メジャー経験なし
■選手紹介

プロ契約10年目にして初めてメジャーデビューを果たしたベネズエラ人キャッチャー。2013年にプロ入りしてから長い道のりだったが、2022年4月にメジャー初昇格。ホームランも放っている。実はケビン・キアマイアーに次いで2番目のレイズの古株選手でもある(2022年現在)。

2013年に国際FAでレイズに入団し、そこから昇格には時間がかかった。A+で初めてプレーしたのが2018年、翌2019年は通年AAで過ごした。2021年はブレイク候補として球団から注目される年となる。これまで年間9本以上ホームランを打ったシーズンはなかったが、この年AAとAAAで計20本塁打。ポストシーズンではタクシー・スクワッドに選ばれチームに帯同した。もしマイク・ズニーノにアクシデントがあったら、メジャー史上4人目のレギュラーシーズンより先にポストシーズンでプレーしたメジャーリーガーになる可能性があった。シーズン終了後、ピントの流出を阻止するため、レイズはAA以下のほか捕手より優先してメジャー40人枠に登録した。

2022年4月にメジャーデビューを果たし、ホームランも1本放ったものの、攻守両面で課題が残った。前年にAAモンゴメリーとAAAダーラムで計93試合・20本塁打・60打点・OPS.825の好成績だったが、一方で30%近い三振率に6%未満の四球率の荒い打撃はメジャーでは厳しい。また、守備の評価が高かったがメジャー5試合で2個のエラー、パスボールは無かったがワイルドピッチが4個あり、盗塁阻止率も.000(0個/2盗塁企図)と厳しい結果となった。

現状、ズニーノとスランシスコ・メヒアに続く3番手捕手の位置付けであることに違いない。1~2歳若いキャッチャーの有望株フォード・プロクターとブレイク・ハントがメジャーに呼ばれる前に良いところを見せておきたい。

寄稿日:2022-05-11 最終更新日:2022-05-11
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼キャリア初ホームランを放つピント

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2021年メジャー経験なし)


トリストン・カサス


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Triston Casas (フルネーム/Triston Casas)

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2000-01-15生|193cm114kg|一塁手、三塁手 右投左打

出身地/アメリカ合衆国 フロリダ州マイアミ

ドラフト/2018年BOS1巡目(全体26位)指名

メジャーデビュー/メジャー経験なし
■選手紹介

近い将来ボストンの4番に君臨しているであろうスラッガー。各媒体から将来性を高く評価されている。2021年の東京五輪でアメリカ代表としてタイラー・オースティンの後ろを打ち、青柳(阪神)から逆方向に3ランホームランを放ったことで日本人にも名前が知られるようになった。

フロリダのアメリカン・ヘリテージ高校(エリック・ホズマーの母校)でファースト兼サードとしてプレー。強肩のためマウンドに上がり、96マイルを投げたこともあった。2017年に行われたWBSC・U-18ワールドカップではアメリカ代表の金メダル獲得に貢献し、自身も大会MVPに選ばれている。ドラフト資格を得るために1年早く高校を卒業。2018年に1巡目(全体26位)でレッドソックスから指名され、契約金2,552,800ドルで入団した。

カサスはその辺にいるパワーヒッターとは一線を画している。193cm・113kgの恵まれた体格と強靭なリストを活かしたスイングスピードだけでなく、広角に打球を飛ばす能力に長けていて、パワーに頼らないバッティングができる。以前から悪くなかった選球眼もAA昇格以降さらに磨きがかかり、ボール球に手を出さなくなった。ルーキーリーグでの出場2試合目に右手親指の靱帯を断裂するケガを負ったが、それ以降は順調に階級を駆け上がり、2021年にAAとAAAあわせて86試合・27本塁打・打率.279・出塁率.394・長打率.484を記録。打率も出塁率も残す恐いスラッガーに成長しつつある。

また、打撃だけでなくファーストの守備も評価が高く、フレディ・フリーマンやマット・オルソンのようにゴールドグラブとシルバースラッガーの両方に縁がある選手になれる。スピードが無いのは唯一の欠点かもしれないが、カサスに走力は求められていないので問題ないだろう。

2022年開幕時点の有望株ランキングでMLB公式から全体16位、ベースボール・アメリカ19位、ベースボール・プロスペクタス44位と軒並み高い評価を受けている。いずれも2022年中にメジャー昇格すると予想されていて、レッドソックスファンは真のスラッガーの誕生を待ち切れずにいる。

寄稿日:2022-05-05 最終更新日:2022-05-05
オールスター:なし

主な表彰:なし

タイトル:なし

▼AAAで477フィート(145m)の特大アーチを放つカサス

▼レギュラーシーズン個人成績

年  チーム 試 打席 安打 2B 3B 本 打点 四 死 三振 盗 打率 出塁 長打

(~2021年メジャー経験なし)